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一線を越えてしまった日本。露からの「ミサイル飛来」の覚悟が必要なワケ

泥沼化の様相を呈しているウクライナ情勢。すべてをプーチンのせいにして戦争を長引かせたい勢力があると語り、ロシアが窮地に陥ったケースでの最悪の幕引きシナリオに関する重大な警鐘を鳴らすのは、心理学者の富田隆さんです。今回のメルマガ『富田隆のお気楽心理学』では、日本が支援物資輸送に「空中給油機」を使用したことでロシアを本気で怒らせてしまったと指摘。与野党すべての政治家に対し、日本がスケープゴートとして利用される材料を与えた自覚があるのかを問います。そして、富田さん自身は、ミサイルの飛来を覚悟しながら生活を始めたと伝えています。

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クマ踏んじゃった:ウクライナ紛争はまだまだ続く

ロシアは当初からリストアップしていた攻撃目標(キーウなどの占領は最初から計画外でした)をほぼ全て攻略し、大方の勝敗はついているのに、英米や日本のメディアでは、まだウクライナの側に勝機があるかのような報道をしています。

要するに、まだまだ戦争が続いて欲しいのです。このように、外野の応援団が鉦や太鼓で気勢を上げ、ゼレンスキーが「徹底抗戦」を叫び続けている間にも、ウクライナの国民は毎日命を落としています。

しかし、米国のバイデン「大統領」にしてみれば、秋まで戦争状態が続いてくれないと11月の選挙は絶望的です(なぜか、米国では戦争が起こると大統領の支持率は高くなります)。それに、ウクライナをめぐる息子ハンター・バイデン絡みの汚職問題を米国内の主要メディアも報道し始めました。FBIも重い腰を上げたようです。これの証拠や証人を葬り去るためにも、もっと時間が欲しいところです。

さらに、米国内のインフレは収まらず、先週に続き今週も株価は大暴落、こうした経済上の失政をすべてプーチンに擦り付け続けるためにも、戦争を続ける必要があります。

しかも最悪なことに、これまで米国防省やクリントン財団などが係わって来たウクライナ国内の「生物兵器研究所」などは、すべてロシア軍に制圧されてしまいました。戦争が終われば、バイデンやネオコンにとって都合の悪い「証拠」をロシア側が全て暴露するでしょう。

さらに、逮捕されたアゾフ連隊の要人や外国人傭兵なども、ロシア系住民への虐殺行為やロシア兵への拷問などを証言するでしょう。ついでに、彼らのスポンサーの名前も出て来るかもしれません。これだけは避けたい。何とかもみ消すための時間が欲しい。

そんなわけですから、バイデンやネオコン、英米の国際金融資本や産軍複合体は、ウクライナで何年も戦争が続き、泥沼化するように動いています。そして、できるだけ多くの関係国をこの泥沼に引きずり込みたいのです。

ドイツのショルツ首相が言うように、このままロシアとの関係が悪化して石油や天然ガスが止まるようなことになれば(今はロシアからの供給が続いています)、ヨーロッパの経済は破綻してしまいますが、ネオコンや一部の国際金融資本にとって、そんなことは気になりません、と言うより、それこそが「グレート・リセット」であり、狙い通りなのです。

彼らは、ヨーロッパもロシアも滅茶滅茶になって構わないのです。もちろん、ウクライナの国民が戦争で死ぬのも織り込み済みです。彼らは「尊い犠牲」であり、みんな「プーチンが悪い」で片付けることができるのです。

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そして、私たちの日本も、その泥沼に引きずり込まれかねません。日本の首相は、のび太君のように英米ジャイアンが恐いので、彼らの言われるままに、あれこれウクライナに支援をしています。

人道的な援助物資を送るのなら結構なことですが、もし、結果的にウクライナ軍の「攻撃能力」を高めるような「武器に準ずる支援」をやってしまえば、これは危ない一線を越えることになります。なぜなら、ロシア側からみればそうした支援は「参戦」しているのと同じだからです。

たとえば、日本政府がウクライナに送った支援物資が、防弾チョッキやヘルメットである限り、これはぎりぎりでセーフです。ところが、これらを運んだ自衛隊機がKC-767という「空中給油機」であるということ、これは大問題です。空中給油機は、戦闘機や爆撃機などの「航続距離」を伸ばすためのものです。

これがウクライナ周辺のポーランドなどで活動することになれば、ウクライナ側の戦闘機は空中で給油を受けて航続距離を伸ばし、ロシアの心臓部まで攻撃することが可能になります。素人が考えても、これは単なる「防衛」の枠を越えており、「攻撃」に参加していることとなります。これは「アウト」です。ロシアは当然、怒っています。それも、かなり。完全にこれは「クマ踏んじゃった」状態なのです。

そんなわけですから、いつ何時、北からミサイルが飛んでくるか分からないので、私はそれなりの覚悟をもって毎日を過ごしたいと思っています。

それにしても、あれだけ「平和」を叫び、プーチンに対して拳を上げている人たち、取り分け野党の国会議員が、日本からの「支援」の内容に異議を唱えなかったのが不思議でなりません。金科玉条の如く崇め祭っていた「専守防衛」はどこへ行ってしまったのでしょう。

もちろん、米国とは同盟関係にあるわけですから、「旗色鮮明」にして、歩調を合わせるのは当然かもしれません。これまでアメリカが引き起こした数々の戦争のことはケロッと忘れて、「戦争を始めたのはロシアだから、ロシアが悪い」と非難するのも結構です。友人を庇うためには「ダブルスタンダード」も仕方ありません。

しかし、具体的にどういう形で支援するか、どこまで制裁に加わるかは、当然、日本政府が決めるべきことです。それが独立国家の外交というものではないでしょうか。

ところが、今回、政府は越えてはならない一線を越えてしまいました。あれだけプーチン大統領の「精神状態」に関する疑念を書き立てていた(ほとんど狂人扱いだった)にもかかわらず、日本の言論界は心の底で、ロシア政府やプーチン大統領の「良識」を信頼しているとでも言うのでしょうか。

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日本政府が一線を越え、ロシアから「敵」と認定された以上、そして、彼の国と日本の間では第二次大戦後の平和条約すら結ばれていない以上、もしこの先、戦火が拡大したり、ネオコンの戦略が功を奏してプーチン大統領が追い詰められたりした場合、(あるいは、日本の一部?メディアが言うようにプーチン大統領がマジで狂っていた場合)、日本という国は手頃なスケープゴート(scapegoat:贖罪の山羊)として血祭りに上げられるかもしれません。

というのも、あまりに条件が揃い過ぎているのです。まず、全面的な第三次世界大戦に発展して人類が全滅するという悲劇を避けるために、世界の影の支配者たちは、どこかの地域を限定的なスケープゴートにする可能性があります。

たとえば、ロシアのいずれかの都市一か所に対して、西側の主要都市一か所に原爆が投下されるといった具合です。上手くすれば、これで、「双方痛み分け」となり、「手打ち」に持ち込めるかもしれません。問題は、どこが選ばれるかです。

西側で国連の「敵国条項」の対象となっているのはドイツ、イタリア、日本です。おそらく、この中から「スケープゴート」が選ばれると考えて良いでしょう。そして、かつて、ヨーロッパ諸国に向けて、「欧州共通の家」構想をぶち上げていたロシアが、ベルリンやローマを廃墟にするとは思えません。となると……。

消去法で考えれば分かることです。岸田首相や林外務大臣は、ネオコンにそそのかされてクマの尾(短いけど)を踏む前に、こうした最悪のシナリオを考慮したのでしょうか?

とにかく「後悔先に立たず」、今更、クマを踏んづけた後になってから繰り言を言っても仕方ありません。こうなった以上、「一期一会」の覚悟を持って、毎日を精一杯生きるしかなさそうです。私たちの平和な日常は、まさに「薄氷」の上にあります。

不思議なもので、一旦、覚悟を決めると、日常の何気ない事象や人々が美しく、愛おしく感じられるようになります。庭に咲いた小さなバラの花がいかに美しく健気なことか。散策路に広がる新緑の何と清々しく、気持ちの良いことか。家族の些細な諍(いさか)いまでもが可愛らしく感じられるのです。

明日はどうなるか分かりませんが、少なくとも今日一日、このように生かされていることが奇跡のようにも感じられ、感謝せずにはいられないのです。

とは申しますものの、私は、希望を捨てたわけではありません。毎日、孫たちの世代が平和のうちに生活できるよう祈ってもいるのです。もちろん、そのために何ができるのかも、考えています。

そして、長年の経験から、ヒステリックに大声を出したり、誰かを呪ったりすることが、状況をさらに悪化させるということも心得ています。憎悪の中から平和は生まれません。立場を越え、穏やかに本音で語り合うことが必要です。

聖徳太子がおっしゃった「和を以て貴しとなす」というのがこれかもしれません。太子は、互いに打ち解け、胸襟を開いて、腹蔵なく話し合うことを大切にしたのです。

歴史の流れを変えられるレベルにまで、ある種の「良識」を拡げるためには、私たちの一人一人が自分の「持ち場」をしっかり守りながら、まずは、自分たちのコミュニティーの状態を平和志向、未来志向にチューニングする、そんな地道な戦略の方がかえって早道なのかもしれません。

image by:Free Wind 2014/Shutterstock.com

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