核戦争は不可避か。プーチン「怒りの炎」に油を注いだ独首相の発言

 

実際に最近「核兵器は見せびらかして自慢するためにあるのではなく、絶対的な利益を守るためにあるのであり、ロシアとロシアの同胞に対して危害を加える際には使用を辞さない」と、【電撃的な対抗措置】という表現を用いて、核戦争の危機は深刻かつ現実的なものであることをプーチン大統領は繰り返しています。

そして、実際にいつでも使用可能な状態に置かれているとされており、そろそろプーチン大統領によるブラフという扱いでは語れなくなってきているように思われます。

威嚇というレベルから、いかなる偶発的な衝突でも核が使用される可能性がある危険な状態に陥っているとも言えるでしょう。

問題は、このところ、NATO諸国と日韓などがウクライナへの軍事支援をアップグレードしていることで、次第に破壊力の高い武器をウクライナへ供与するという決定と行動は、確実にプーチン大統領を苛立たせ、かつ刺激する材料として使われる危険性をはらんでいます。

プーチン大統領の恐れと怒りの炎に油を注いだのは、相次ぐバイデン政権からの煽りと、現在来日中のショルツ独首相の「ロシアの企てに対して、NATOは勝利を納めなくてはならない」という発言だと言われています。

バイデン大統領の煽りはもう慣れっこなので驚かなくなりましたが、ショルツ首相によるドイツの安保政策と対ロ距離感の大きな変更による明確な対決姿勢の表明は、もしかしたら欧州各国にとって大きな転機になるかもしれません。

そして、今後、注目しなくてはならないのは、フランス大統領に再選されたマクロン大統領は、これまでのように積極的にウクライナでの紛争の解決に乗り出そうとするかということでしょう。

これまでに行ってきたことも、実際には実現不可能な空約束であったことが、ロシア・ウクライナ双方の情報で分かってきましたが、それでも声を上げ、実際に足を運んで直に話してきた姿勢は評価できると思います。

ただし、大統領に再選され、あと5年の任期を得た今、果たして実を結びそうにない役割をあえて引き受けるかは微妙です。

「いや、マクロン大統領が積極的なのは、EUの議長国だからだろう」という意見もあるかと思いますが、フランス国内の雰囲気を聞いてみると、「ロシアによる侵攻を最後まで防ごうと努力したことは評価できるし、侵攻後も停戦を呼び掛けた姿は立派だが、そろそろフランス国民の生活に対する悪影響が明確になり、堪えがたい状況になってきていることも確か。もうそれに対応することを優先すべきだ」という意見が強くなってきています。

そのような声の高まりを受けて、マクロン大統領はどのような方向転換を行うのか。注意深く見てみたいと思います。

ちょっといろいろと書いてみて、まとまりがなくなってきたので、そろそろ締めにしたいなと思いますが、最後に批判を覚悟で一つ皆さんに尋ねさせてください。

【マリウポリの製鉄所での攻防で取り上げられているアゾフ連隊・大隊は、一体何者なのでしょうか?】

ウクライナ軍の一部としてロシアの侵攻に対抗し、マリウポリの一般市民を守る英雄的な部隊?

ロシアに刃を向け、ウクライナ軍に対しても刃を向ける独自の武装勢力で、マリウポリの一般市民をアゾフスターリ製鉄所に閉じ込め、人間の盾として使うならず者?

それとも…?

その答えは皆さんにお任せしますが、2月24日のロシアによるウクライナ侵攻以前に、すでに2月16日の段階でルハンスク州やドネツク州で砲撃を加えていたのは、何を隠そうアゾフ連隊であり、もし、彼らがウクライナ側なのだとしたら…。

そしてそのアゾフ連隊に武器供与を行っているのがアメリカだったとしたら…(ウクライナへ供与されている各国からの武器がこちらに流されているという情報もあります…)。

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