米中が手を組みウクライナ停戦?バイデンが水面下で進める仰天シナリオ

 

コロナ、中国、ロシア、どの危機も激しい消耗を伴う危機です。例えば冷戦期の危機のような「静かな睨み合い」ということはありません。実際の流血ということでは、戦争だけでなくコロナでも多くの犠牲が止まりません。また、経済的な「国富の蕩尽」という観点でも猛烈な勢いで富が消えて行っています。

では、20世紀的な発想で「ある臨界点を超えたら壊滅的な破壊が起こる」可能性は低いと考えられます。つまり世界大戦であるとか、核戦争であるとか、あるいは世界大恐慌になるかというと、そのような「自暴自棄的な喧騒」であるとか「恐怖と憎悪の連鎖」が発生しているかというと、これはありません。であるならば、物事には大きく右に振り子が触れると、ある点からは戻るような反力が働くはずで、今回の危機においてもそろそろ解決へ向かう反力が見えてきてもいいはずです。

一般論を続けても仕方がありません。まず、このコラムが長く続けている「定点観測」の原則に従って、アメリカの動向から考えてみることにします。

アメリカの現在において、優先順位の高い順に課題を10個並べてみるとどうでしょうか?今日現在、つまり2022年5月中旬の状況としては、1から5までは全てが「物価高」になると思います。1も2も3も4も5もそうです。たとえばですが、ガソリンが1、食品の中でも卵が2、ベビー用のミルクが3(これは品不足が発生しており、世論には激しい怒りが渦巻いています)、そして牛乳に肉に中古自動車、更には不動産と、生活に必要なあらゆるものが「全く経験したことのないような急激な物価上昇」に見舞われているのです。

理屈では、戦争による原油高に物流の混乱が加わり、更に鳥インフルや、ベビーミルク工場の操業停止、そして一般的な「ポストコロナ」の需要増が加わるといった要因が重なっている、世論は一応この状況は理解しています。

ですが、それでもとにかく「これでは生活が成り立たない」というような物価への悲鳴が出ている中では、そのエネルギーは「現政権」に向かうのは当然だと思います。バイデン政権の支持率は、支持41%、不支持53%ぐらいで貼り付いていますが、とりあえず左右対立に基づく基礎票はある中で、中間層・無党派層だけを抽出したら、もっと厳しい数字になります。

例えばですが、ロイター・イプソス連合調査の場合は、中間層における大統領支持率は34%まで落ちます。これは異常事態です。

こうなると、中間選挙の予備選が佳境を迎える中での、共和党内の「トランプ対アンチトランプ」の戦いなどは霞んでしまいます。そんなことより、バイデンの民主党は「異常事態」だということです。その「異常事態」に立ち至ったバイデンは、事態の打開をしなくてはなりません。つまり、根本的で効果的な解決策を、どうしても発見して実行する必要があります。これは政権にとって「生か死か」という大きな岐路であると考えます。

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