米中が手を組みウクライナ停戦?バイデンが水面下で進める仰天シナリオ

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ロシアによるウクライナ侵攻を始め、現在数多くの危機に見舞われている国際社会。ゼロコロナにこだわる習近平中国国家主席の施策も、世界経済の混乱を招く要因となっています。「どん底」と言っても過言ではないこの状況に、もはや打つ手はないのでしょうか。今回のメルマガ『冷泉彰彦のプリンストン通信』では米国在住作家の冷泉彰彦さんが、ここ半月ほどの間に各国各地で起きたさまざまな出来事を取り上げ詳細に解説。さらに米中ロが瀕している危機を好転させるため、水面下で進んでいると考えることも可能な大きな動きを、あくまで仮説とした上で記しています。

※本記事は有料メルマガ『冷泉彰彦のプリンストン通信』2022年5月17日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会に初月無料のお試し購読をどうぞ。

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米中ロ、3カ国の危機が一気に好転?

それにしても、この2022年5月というのは、戦後77年の中でも特記すべき「歴史の岐路」になるように思います。どう考えても、戦後最大級の危機が進行中で、それも3つ重なり合っているからです。

1つは、新型コロナウィルスのパンデミックで、先進国ではオミクロンBA.4、BA.5が拡大期にある中で、感染とワクチンによる抗体値とはほぼ均衡しているものの、依然として出口は見えません。問題は中国と北朝鮮で、ゼロコロナ政策がほぼ破綻する中で政治的危機が顕在化しています。

2つ目は、その中国です。政治経済における中国の行動は、すべて国の規模から来ています。規模が大きいため強い中央政府を必要とするし、その中央政府には信じられないほど強大なパワーが生まれてしまいます。また国内だけで巨大な市場を形成する中で、他の国とは次元の違う規模の経済が成長します。政治においても、経済においても中国においては規模の統御が停滞しており、これは建国以来の危機と言えます。

3つ目は、ロシア=ウクライナ戦争の問題です。ロシア連邦がソビエト連邦を「帝国」として継承しているというファンタジーが、自由経済による繁栄を志向する旧ソ連圏共和国内の遠心力と衝突するのは宿命かもしれません。ですが、ここまで大規模な人命とインフラの破壊を伴う紛争を、どう終結させるのかは難題です。

以上の3つは非常に歴史的な、大規模な危機ですが、これにやや小さめの2つの危機が重なっています。4つ目は、EUの求心力と遠心力です。フランス大統領選は現職勝利となりましたが、ロシアに対峙する中で欧州の結束は強くはありません。このまま危機が継続すると、欧州に動揺が広がる中で西側同盟の中に、地割れのような現象が起きるとも限らないのです。

5つ目は、アメリカの政治危機です。支持率低下に喘ぐバイデンを追撃しようという共和党は、脱トランプを模索しつつそれが達成できない中で、もがいています。民主党は、とにかく激しいインフレの中でバイデンは立ち往生しており、現時点では、22年11月の中間選挙も24年11月の大統領選も劣勢必至という情勢です。そんな中で、アメリカは極めて内向きとなっており、1から4の問題に関してリーダーシップを発揮するのは難しくなっています。

というわけで、この5つが重なった現在というのは、政治的・軍事的に非常に厳しい状況であることは間違いありません。けれども、冷静に考えてみると、ここまで問題が深刻な中では、このままズルズルと事態が長期化して、危機が恒常化するということは考えにくいと思います。

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