米中が手を組みウクライナ停戦?バイデンが水面下で進める仰天シナリオ

 

次に、中国、特に上海の事態について考えてみます。都市封鎖作戦はかなりの行き詰まりに至ったようです。この点に関しては、何が起きたのかはかなり明確に推定ができます。それは、オミクロン株(もしかしたらBA.2?.4?.5?)という感染力の強い株に対しては、アルファ株で経験した「ゼロコロナによる封じ込め」という対策はミスマッチであったということです。

では、世界最高の頭脳集団であるはずの中国共産党がどうして、そのような判断ミスをしたのかというと、そこには政治が絡んでいると思われます。具体的には、習近平総書記派が「ゼロコロナ」にこだわったとして、反対派は「命懸けで諫言して止める」ことはできないので、「消極的賛成で様子を見る」という動きに出たものと思われます。巨大さゆえに、政治力学が複雑になる一方で、民意を正確に吸い上げたり、専門家の知性をオープンに競わせたりという仕組みを持たない社会としては、そのような手法が取られるしかなかったわけです。

結果的に、オミクロンは防げませんでした。ほぼ完全にロックダウンをする中で、あれだけの感染拡大に立ち至ったというのは、一斉PCR検査の際の僅かな外出や、距離を取ったデリバリーサービスでも感染が広がったということだと思います。それだけオミクロンが怖いというよりも、今となっては2020年5月12日、ちょうど今から2年前に私が予言したように(「『コロナ後の世界』に立ちはだかる2つの難題」)、抗体を持たない10億人という集団のリスクが、この時点では想定しなかった最悪の事態でネガティブな作用に転じているということです。感染して軽快した人の抗体もほぼゼロ、そしてワクチンは旧式であってその抗体力も低いという中での、非常に厳しい事態になっているわけです。北朝鮮の状況もこれに類似であると考えられます。

そんな中で、5月第1週まで習近平総書記は「ゼロコロナの推進」ということを言い続けていました。そして、社会的にはある臨界点まで来てしまったのだと思います。つまり、社会的にも経済的にも「ゼロコロナ」は行き詰まってしまったのです。

同時に中国では、政治的な駆け引きが活発化しているようです。これは、ダイレクトにこの秋の中国共産党の党大会において、中央政治局常務委員会という最高指導部を選任する、この人事に直結する動きであり、その事実上の決定の場である夏の北戴河会議(非公式)へ向けての動きと言えます。

表面的には、報道されている情報を総合しますと、つい最近、次のような動きがあったと考えられます。

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