米中が手を組みウクライナ停戦?バイデンが水面下で進める仰天シナリオ

 

中国に関してはこのような見方を仮にしておこうと思います。一方で、ウクライナと欧州の情勢としては、戦況はやや膠着状態に来ているようで、現時点での喫緊の課題は、ここへ来て浮上したNATO拡大問題です。

今回の状況に危機感を抱いた、フィンランドとスウェーデンがNATO入りを目指すと表明しました。これに対しては、2つの興味深い反応が出ています。1つは、NATOに加盟しているトルコが、特にスウェーデンが「クルド人組織」を数多く亡命受け入れしていることに反発して、NATO加盟反対を叫び出したという問題です。

もう1つは、ロシアのプーチンの反応で、激怒すると思ったら、「フィンランドとスウェーデンがNATOに加盟することは問題ない。軍事施設が(この2カ国に)新しくできるのは困る」というのです。

一方で、バイデン大統領は、と東南アジア諸国連合(ASEAN)の首脳をワシントンに呼んで5月12・13日の2日間にわたって「ASEAN特別首脳会議」を行いました。バイデン大統領はここで「米ASEAN関係は新しい時代が始まる」と宣言しています。また、会議終了後の共同声明では、本年11月に予定される首脳会議でアメリカとASEANの関係を「包括的戦略パートナーシップ」に格上げするとしています。

更に、今週末にはバイデンは韓国、次いで日本に来て、特に日本では「QUAD」首脳会議が開催されます。米国、日本、豪州、インドの4カ国の首脳が一堂に会しての会議ということで、中国をはじめとしたアジア情勢が検討されるのは間違いありません。

そんな中、アメリカでは奇妙な法律が審議されています。これは「枢軸法案」というニックネームで呼ばれているもので、正式には “The Assessing Xi’s Interference and Subversion Act”ということで、習近平その人の個人名が入っています。具体的には、習近平に「ウクライナ戦争においてロシアへの援助や便宜」をさせないという法案です。この法案では、国務省には、成立後30日以内に正確なレポートを提出させ、その後も90日ごとにレポートさせるとしています。この法案ですが、ほぼ全会一致の超党派で下院を通過しており、現在は上院に回っています。

その一方で、バイデン大統領は5月10日に「トランプが始めた、中国からの輸入品への上乗せ関税」を「インフレ退治」のために廃止することを検討していると述べています。これはこれで、大きな動きではあります。

さて、ここ半月ばかりの期間にさまざまな動きがあったことが分かるわけですが、ではこのような情報を総合すると、とりあえずどんな仮説が得られるでしょうか?

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