米中に対する外交方向性も文在寅政府とは正反対に進んでいる。米中覇権競争の中で韓国を味方につけようとする両者の力が強くなる状況で、安米経中(安保は米国、経済は中国)路線で均衡を取ろうとしたのが文在寅政府の外交基調だった。
反面、尹錫悦政府は米国側に重心を移動しながら全体的に「安米経世」(安保は米国、経済は世界)に路線転換をする様相だ。
23日、米国主導の経済協議体である「インド・太平洋経済フレームワーク(IPEF)」発足式に参加したユン大統領は同日、CNNインタビューで「クアッド」加入可否についても「引き続き考慮している」と話した。クアッドは米国主導の多国間安保協議体だ。
ただ、韓国が米国に密接になることに反比例し、神経を尖らす中国をどう落ち着かせるかが尹大統領の宿題だ。
ユン大統領はすでに候補時代、中国が反発するサード追加配置の可能性に言及するなど、中国を刺激するほどの発言を多数やってきた。
これに加えて、前日CNNインタビュー中にIPEF参加で中国が経済報復措置に乗り出す可能性についてユン大統領は「中国側があまりにも過敏に考えるのは合理的ではない」とも話した。
しかし、「尹錫悦引継ぎ委」公約集で、中国を「最大貿易相手国であり、北朝鮮核ミサイル解決などのための主要利害関係国」と明示したことに照らしてみれば、尹錫悦政府も中国の経済・安保的価値を疎かに扱うことは難しい。
一方、この日民主党は、文在寅政府の対北朝鮮政策を「屈従外交」と表現したユン大統領発言に対して強く反発した。
民主党は中央選挙対策委員会公報団名義の書面ブリーフィングを行い、「北朝鮮核を平和的に解決するための努力が尹大統領に屈従的に映ったとは、その認識が実にもどかしく残念だ」とし、「尹大統領は北朝鮮と対決姿勢になるのも辞さないというのか」と反問した。
25日早朝、北はさっそく3発の弾道ミサイルをぶっ放した。
すぐに非難声明は出したものの、非難しているだけの態度なら前政権とさほど変わらない。今後どのように北と対峙していくのか。また中国とどう対峙していくのか。
さらに、日本とは友好雰囲気を築きたいという底意はわかるが、具体的に日韓関係をどのようにもっていくのか。
「反文在寅」構図から尹錫悦独自シフトをいかに敷いていくのかが注目されるところだ。(中央日報を参考にした)
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