終わりが見えないロシアによるウクライナの軍事侵攻。日本ではおおむねウクライナを応援する報道が多いですが、戦地に近いヨーロッパではどのように報じられているのでしょうか。そこで今回は、歴史学者で日仏交流に情熱を注ぐ世川祐多さんが、自身のメルマガ『パリ大学博士・世川祐多のフランスよもやま話』の中でフランスの報道について、専門家の意見を紹介しながら言及します。
フランスのあらゆる情報を紹介する世川祐多さんのメルマガ詳細・ご登録はコチラ
フランスの戦況報道
勿論、今の世の中でロシアに勝ってほしいと願っている人は少ない。大方「ウクライナ頑張れ」という世の熱がある。それ故、日本もフランスも、戦況報道がウクライナに勝ってほしいという匂いがしてしまうのは否めない。
ただし、冷静な記事を探せば、いくつかの終戦のシナリオが描かれているものがある。
日本と同じ様に、西側の武器支援でウクライナがロシアを押し返すであるとか、プーチン政権が崩壊するというものがある。
これはいいとして、モンペリエ大学のロシア地政学者Carole Grimaud-Potter(カロル・グリモー-ポッター)先生の一つの可能性の見立てとしては、オデッサの港を封鎖することで、ロシアがウクライナ経済を締め付けて、ウクライナが負けてしまうかもしれないという仮説だ。
よくよくウクライナの経済構造を考えたことがなかったが、説明を受ければ、なるほどウクライナの経済が東の黒海沿岸を中心に成立していることがわかる。
ここがロシアに占拠され、ロシアの支配下になることで、ウクライナの経済が壊滅してしまうという危惧だ。
攻め込んだもの勝ちになることは、なんとしても避けたい気持ちはある。
ロシアも経済制裁下の軍費の問題で、アフガニスタン侵攻のような10年スパンの長期的な戦争にはできないと見積もられている。
しかし、武器支援や経済支援という支援一本でウクライナが勝つということも、難しいことなのかもしれないと思わされる。
色々な見立てがあるが、結末はどうなるだろうか。
フランスのあらゆる情報を紹介する世川祐多さんのメルマガ詳細・ご登録はコチラ
image by: Shutterstock.com