プーチンの「偽悪戦略」に乗せられた人類。露がキーウ近郊にまで攻め込んだ意図

 

近現代の人類の戦争では、オスマン帝国や日独からサダム・フセインまで、負ける側が戦争犯罪者として極悪のレッテルを貼られてきた。覇権を持つ英米はいつも正義で、いつも勝者だった。ベトナムやイラクやアフガンで米軍が極悪な戦争犯罪をやって敗退しても、マスコミ権威筋は米国に敗北や極悪のレッテルを貼らず、米国は無傷のまま次の戦争を展開してきた。日独の戦争犯罪は、戦時プロパガンダをそのまま「事実」にした誇張歪曲捏造だらけだが、今でも日独は極悪のレッテルを貼られたままだ。戦争犯罪は真偽と関係なく永遠の汚名だ。永遠の土下座。そのような常識からすると、プーチンの偽悪作戦はコペルニクス的転回だ。完全洗脳で軽信的な日独の人々(とくに知識人)には理解不能で想像もつかないだろう。

権威筋や米国覇権のゾンビ化

英米は、戦争をめぐる善悪関係を絶対的なものにしているので、米国側(英米傀儡)の人々は勧善懲悪の善悪観念に縛られ、プーチンのロシアを永久に極悪の戦犯とみなし、米国側を自滅させロシアを強化する極度の対露経済制裁をやめられない。欧州などはエネルギー資源不足になって窮乏しているが、対露制裁をやめるのでなく、制裁を続けるふりをして抜け穴を作って必要な資源類をこっそりロシアから輸入し続けている。米国側のネオコンや、その傀儡であるゼレンスキーとかが「もっとちゃんとロシアを制裁しなきゃダメだ」とネジを巻き直し続け、米国側の経済自滅を加速している。最近はリトアニアが、EUの対露制裁の一環として、ロシア本土から飛び地の領土であるカリーニングラードへの物資の輸送を止め始めており、それへの報復としてロシアが欧州へのガスなどの輸出をさらに減らし始めている。米国側、とくに欧州の経済自滅がこれからひどくなる。

Germany accuses Putin of trying to sow ‘chaos’ by slashing Europe’s gas supplies
Oil Giants Warn Of Much Higher Prices For The Next 3-5 Years Amid Lack Of Supply

このように大成功している偽悪作戦は、プーチンや側近群らロシア人の発案なのか??私の勘では、そうでなく、米国の諜報界のネオコンら隠れ多極派の発案だと思われる。多極派は、米国の覇権を自滅させて世界を多極化するために、ベトナムやイラク・アフガン戦争などで米国の政府や軍に稚拙で過激で残虐な殺戮を手がけさせて失敗させ、世界の人々が米国に愛想を尽かし、米国が自滅するとともに対米自立する国々が増えて覇権が多極化する流れを作ろうとした。だが実際は、親米だけでなく非米的な諸国まで、米国が覇権を保持していた方が便利だと考えて米国の残虐な戦争犯罪から目をそらし続け、善悪が歪曲された状態を容認し続けた。

ポスト真実の覇権暗闘

米国はいくら極悪な戦争犯罪を重ねても人類から見てみぬふりをされ、ネオコンの隠れ多極化策は失敗し続けてきた。米国は何をやっても悪にされず、対照的に、米国が敵視した諸国は濡れ衣もしくは針小棒大に極悪にされる。それならば、その善悪歪曲の構図を逆手にとって、ロシアがウクライナで見かけだけ派手な侵攻劇(実際の市民の死者は戦争として僅少)をやって戦争犯罪のレッテルを貼ってもらい、それをテコに米国側が自滅的な対露制裁をやって覇権を失って多極化するというシナリオはどうだろう、良いじゃん、やろうぜ、とネオコンとプーチンが意気投合し、実行してみたら大成功して今の事態になっているのでないか。

米諜報界を乗っ取って覇権を自滅させて世界を多極化

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