世明大学警察学科のパク・ソンス教授は「韓国の麻薬犯罪の平均暗数率(検挙対比実際の発生犯罪数を計算する割合)は28.57倍と算定されるが10代検挙事犯450人に28.57をかけた1万2,857人ほどが全体の10代麻薬事犯数と推算される」と分析した。
ある捜査機関の専門家は「10代麻薬犯は保護者が子供の未来がかかっていると考え、明らかにすることを敬遠するため暗数率が100倍に達するだろう」と話す。
麻薬犯の平均年齢帯が最近10年間で急速に若年齢化しているという点もこれを裏付ける。2012年、麻薬犯罪全体の38%を占めた40代は、2019年半分水準の21.7%に減り、代わりに30代(25.7%)が年齢別1位に上がった。
ところが、2年後の2021年には20代が5,077人(31.4%)検挙され、年齢別1位を占めた2011年、比重が8.2%に過ぎなかった20代が、10年ぶりに国内麻薬犯罪の主流になったのだ。
20代が麻薬犯罪の最多であることも、それだけ10代の青少年の時に麻薬に初めて接した人が多いという傍証だと専門家らは見ている。
「私はソウル江南(カンナム)に住んでいます。両親は平凡な会社員です。ヒロポン、合成大麻、ケタミン、エクスタシー全部やってみました。コロナ前は大人たちの住民登録証を借りてクラブに行ってやりました。コロナの時は友達とパーティールーム、ホテルを借りてしました。薬を売るおじさんから安くしてもらって友達に高く売って数千万ウォンを儲けたりもしました」(昨年19歳Bさんの検察陳述)
慶尚南道警察庁の金大圭(キム・デギュ)麻薬捜査隊長は、「最近摘発された10代投薬者は、たいてい芸能人志望者や高位層の子息ではなく、平凡な学生だ」と話す。
彼は「私たちの周辺でよく見られる平凡な子供が多い」として「学力水準が高くても低くても、家庭環境が良くても悪くても問わない」と警告する。
10代に広がっている麻薬類は、伝統的な大麻やヒロポン、新種麻薬類のエクスタシー(MDMA)など多様だ。2019年、10代に人気のヒップホップラッパーの間で流行し、社会問題になったアヘン(オピオイド)系合成麻薬であるフェンタニル鎮痛剤など麻薬性医薬品も広範囲に広がっている。
慶南警察庁は昨年5月から釜山・慶南でこのペンタニルを不法処方された後、投薬・所持したり転売したりした10代の高校生50人余りを摘発した。
今年6月には全国15市・道のうち蔚山・済州を除く13か所で10代100人ほどが麻薬性食欲抑制剤であるジエタミンを不法処方された後、投薬したなどの疑いで警察に摘発されたりもした。
ジエタミンも向精神薬であるペンタミン(アンフェタミン)が主成分としてヒロポン(メスアンフェタミン)と程度の差があるだけで、幻覚作用や中毒性は似ていると専門家たちは指摘する。