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中国の恫喝には屈せず。南洋の小国「ツバル」と「台湾」その深い信頼と絆

金の力にあかせて小国や途上国を取り込み、国際社会からの台湾の排除を目論む中国。しかしそんな大国に屈しない姿勢を堂々と示したツバルの行動が世界に報じられ、称賛の声が上がっています。今回のメルマガ『黄文雄の「日本人に教えたい本当の歴史、中国・韓国の真実」』では著者で台湾出身の評論家・黄文雄さんが、中国の札束外交に転ぶ国が相次ぐ中、南洋の小国であるツバルが台湾との外交維持を選択した理由について考察・解説。その上で日本政府やアメリカに対して、今後中国による嫌がらせや圧力が予想されるツバルへの支援の強化を呼びかけています。

※本記事は有料メルマガ『黄文雄の「日本人に教えたい本当の歴史、中国・韓国の真実」』2022年6月29日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会に初月無料のお試し購読をどうぞ。

プロフィール:黄文雄こう・ぶんゆう
1938年、台湾生まれ。1964年来日。早稲田大学商学部卒業、明治大学大学院修士課程修了。『中国の没落』(台湾・前衛出版社)が大反響を呼び、評論家活動へ。著書に17万部のベストセラーとなった『日本人はなぜ中国人、韓国人とこれほどまで違うのか』(徳間書店)など多数。

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【中国】中国の12万分の1の小国が中国の恫喝に屈しない理由

国連海洋会議 中国、台湾人の出席認めず ツバル外相が退席し抗議

6月27日にポルトガルで開催された国連海洋会議(UNOC)で、ツバル代表団のメンバーとして加わっていた3人の台湾人が、中国から出席を拒否され、会議から排除されてしまいました。しかし、これに対してツバルのコフェ外相は敢然と会議を退席し、中国への抗議の意を表したのです。

ツバルといえば、ポリネシア最西端の諸島国家であり9つの環礁島からなります。海面上昇により水没の危機にさらされていることでも知られ、コフェ外相は昨年11月に開催された国連気候変動枠組条約締約国会議(COP26)で膝まで海に浸かりながら気候変動対策を求めるスピーチを行ったことが、メディアに大きく取り上げられました。

ツバルの外相、膝まで海に浸かりながら、気候変動対策を訴える【COP26】

現在、南太平洋諸島に対して、中国が経済支援を餌に外交攻勢をかけていることはよく知られています。とくにソロモンとキリバスは、支援と引き換えに台湾と断交しました。ツバルに対しても、中国は海面上昇に対処するために4億ドルの人工島建設をもちかけました。しかし、ツバル政府はこれを拒否し、台湾と外交関係を維持しているマーシャル諸島、パラオ、ナウル3カ国との連携を強化する方針を打ち出しています。

ツバルが中国企業の人工島建設提案を拒絶、親台湾姿勢を堅持

これらの国々のうちパラオについては、中国からの圧力にも屈せず、台湾との国交を維持していることについて、以前のメルマガでもご紹介しました。

台湾とパラオという日本が統治した国が、今も中国に屈しない理由
中国から嫌がらせを受け続ける2国、台湾とパラオで今も息づく「日本精神」

ツバルは独立国としてはナウルに次いで人口が少ない国です(厳密にはバチカン市国が世界で最も人口が少ないですが、世界中に13億の信徒がいるので除外)。人口はわずか1万1,000(ナウルは1万人)。中国の12万分の1です。そのような小国が、大国である中国の圧力に屈せず、堂々たる外交を行っていることは、大変な称賛に値します。

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ツバルと台湾の関係は深く、1979年から国交を結んでいます。ツバルは台湾の国際組織への参加についても支援しています。6月20日には台湾の蔡英文総統がツバルの新大使の信任状捧呈を受け、その際に、蔡英文はツバルの台湾支援に対して感謝の意を表明しました。

また、ツバルは、水没の危機と関連した気候問題について、環境をテーマとした作品を手がけている台湾人アーティスト、黄瑞芳(Vincent J.F. Huang)氏をツバルの気候危機担当大使に任命しています。

ツバルのパエニウ新大使、信頼とロイヤリティで台湾に報いると強調

黄瑞芳氏は、ツバルのカウセア・ナタノ首相と共にCOP25への出席や国連事務総長との会談なども行っています。今回の国連海洋会議で中国から拒否された3人の台湾人に黄瑞芳氏が含まれているかどうかはわかりませんが、中国側は台湾が国連加盟国でないことを理由に、台湾人の入場を阻んだそうです。

では、なぜツバルは中国の誘惑や圧力をはねのけ、台湾との国交を維持し続けるのでしょうか。そのヒントは、ツバルの外交方針にあります。ツバルは「平和愛好国とのみ国交を持つ」という方針を有しているのです。そのことは、下記の太平洋諸島センターの「各国情報」にも掲載されています。

国際機構太平洋諸島センター 各国の情報 ツバル

もちろんツバル政府は中国を非平和愛好国だと表明しているわけではありませんが、中国になびかないのは、やはりこの外交方針が大きいのではないでしょうか。中国が台湾に対して「文攻武嚇」(言葉と武力で攻撃・威嚇すること)を執拗に繰り返していることや、香港で香港人の自治権を無理やり奪ったこと、ウイグル人への弾圧、南シナ海の侵略行為などを見れば、どう考えても「非平和愛好国」です。

しかも中国は、ソロモン諸島と安保協定を結び、彼の地に中国の船舶寄港や中国軍・警察の派遣もできるようになりました。ソロモン諸島が中国の軍事基地化する恐れが出ているのです。

それだけにツバル、パラオ、マーシャル諸島、ナウルという南洋4カ国が台湾と国交を維持し、さらには対中国で一致団結することは、台湾のみならず、近隣のオーストラリアやアメリカ、さらには日本にとっても非常に重要なことなのです。

そのため、岸田首相も4月に、ツバルの首脳とも中国対策の一環として会談を行っています。

首相、カンボジア首相らと会談 ツバルとは中国の海洋進出を議論

ツバルが中国の嫌がらせに対して毅然とした態度を示したことは、他の小国にも大きな勇気を与えるものだといえるでしょう。それと同時に、今後、中国の同国へのさらなる嫌がらせや圧力も予想されます。

中国の圧力に一致団結して立ち向かうことを示すために、台湾はもちろんですが、日本やアメリカもツバルを支援する体制を強化すべきだと考えます。

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