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多くの店がやりがち。なぜ飲食店のアプリはことごとく失敗してしまうのか?

アプリを利用する飲食店が増えてきています。予約や情報発信、注文など顧客には便利なこともある反面、ビジネスとしてこれが役立つ販促になり得るのかは疑問も生じます。今回のメルマガ『飲食・デリバリー企業向け/業績アップメルマガ』では、船井総合研究所で史上最年少のフード部マネージャー職に就き、現在は京都で外食・中食業態を複数経営しつつ、多くの企業をサポートする堀部太一さんが、飲食店アプリで絶対やってはいけないことなどのアドバイスを紹介しています。

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飲食店アプリで絶対やってはいけない事と必要な固定化手法

飲食店にアプリが必要かどうか。アプリの話題になるのはこのようなケースです。

などなど。しかし飲食でのアプリはほとんどが失敗しています。なぜか?

それはアプリに求める「役割」がぐちゃぐちゃになり、それにも関わらず「全て」対応しよう!とするからです。

アプリで求められるもの。ぎゅっと集約すると3つになってきます。

それぞれで見ていこうと思います。

<情報発信>

「アプリで情報を発信したい!」「プッシュ通知できるのは効果的と営業マンも言っていた!」などのケースがありますが、飲食店におけるアプリの活用として「情報発信」は最も適しません。むしろ情報発信が目的ならアプリは絶対に止めた方が良いです。

理由として多分皆様もそうだと思いますが、そもそも「プッシュ通知をオフ」にしますよね?そんなに来店頻度が高くない業態やお店からしょっちゅう連絡が来るアプリは鬱陶しいです。

最初は開封しても徐々に開封せず、その後に通知をオフにしてしまい、使わないアプリとなって削除する。こんな事が多々あります。

実際にある地域一番のご支援先では、「アプリ会員数」は1万人くらいと基盤はあります。1万人に情報発信ができるなんて最高!と思うかもしれませんが…開封率はたったの2%でした。

・200人=10,000人×2%

ちなみに「かなりお得」な案内です。年に1回だけの強販促です。

それにも関わらず「2%」です。各店舗で頑張って頑張ってアプリの会員数を増やしても「98%」が無視する状態です。

これってやる意味ないですよね?「情報発信」を目的とするならば、「LINE」でお願いします。

理由は物凄くシンプルで開封率が高いからです。ご支援先のデータ分析をしていると、「60%~70%」くらいの開封があります。

上記の例で10,000人の登録数があるなら、

・6,000人=10,000人×60%

同じ分母であっても「200人」か「6,000人」か。どちらに成果が出るか?はもう明確ですよね。

ちなみに、多分全国的に知らない人はいないんじゃないかな?という大手芸能事務所のご支援先でのデータ分析でも開封率は低く。

この辺りからも「飲食店のアプリ」の役割を「情報発信」とするのは全く向かない。このような結論として捉えています。

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<顧客管理>

アプリを通じての顧客管理はどうか。フリー来店の業態で一番検討するやつですね。予約型業態などだと「トレタ」を筆頭に「予約・顧客管理台帳」は今は一般化しました。

しかしフリー型業態にとっては少しでも顧客管理を行うことでLTVを上げたい!という思いが出てきます。ここで考えるのは「顧客管理」で何をしたいか?です。

例1)来店頻度別でのクーポン

いわゆるポイントカードですね。上述の通り「LINE」で出来てしまいます。敢えてユーザーにとって不便なアプリでそれをやるか?と見ると投資対効果も悪いです。

例2)最終来店別での離脱防止

これはLINEなどでは難しいので確かにアプリの活用が良いと言えます。しかしここからは費用対効果の視点です。

アプリにいくら投資するか?という問題ですがやりたい事をしようとすると200万円前後。アプリを通じて200万円の粗利アップができるか?です。

仮にカフェ業態としましょう。

客単価 :500円
粗利額 :325円(粗利率65%)
必要客数:6,153人

アプリを通じて6,153人の追加集客ができるなら、やってみよう!という意思決定になります。これが離脱防止のみで考えるなら、離脱防止の平均的な反響率は5%です。

これで考えると、

・約12万人=6,153人÷5%

1年で離脱候補のお客様がいらっしゃれば、試してみてもとなりますが、事業規模が必要になりますよね。

業態にもよりますが、この辺りの成果を感じたのは単体業態(低単価・店舗数多い)な年商30億円以上のご支援先くらいでした。

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<注文管理>

いわゆるモバイルオーダーですね。マクドナルドやスターバックスがイメージしやすいと思います。常に行列で店舗数が多い企業だと、アプリで注文ができるのは本当に便利ですよね。

しかし、多くの中小企業にとっては敢えてアプリ化せずとも、事前注文のサービスはいくらでもあります。むしろアプリよりもブラウザの方がお客様にとっては便利です。

インスタのストーリーズ
 ↓
リンク先で事前注文

ツイッターのURL貼り付け
 ↓
リンク先で事前注文

これで十分ですよね。ここにアプリが入る方が利便性低く、そこだけで結局離脱してしまいます。

<まとめ> 

ここまで見ていただくと「大半のケースが不要」というのはよくわかると思います。

固定化策でやりたいのはこの3つです。LINEで上2つが出来てしまいます。アプリで強みを発揮するのは下1つです。

ではここで投資対効果の成果が出るのはどれくらいの規模になってくるのか。

それは上述の通り、かなり限られてしまいました。無駄な出費をすることなく、しかしやるべきCRMをやり切る。

そんな形を作っていきたいですね。

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(メルマガ『飲食・デリバリー企業向け/業績アップメルマガ』2022年7月4日号より一部抜粋。続きはご登録の上お楽しみください。初月無料です)

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関西学院大学卒業後、新卒で船井総研に入社。当時史上最年少にてフード部のマネージャー職へ。その後事業承継と起業を行い、 京都にて外食・中食業態を複数経営しつつ、多くの企業をサポート。事業規模は年商2,000万~1兆円企業まで幅広いです。外食/フードデリバリーが専門領域なので、それについての情報を書いています。

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