韓国の政府内部は大混乱。代表を解任させられた李俊錫に踊らされる隣国

 

第三の変数は、党内の一部の親柳承敏(ユ・スンミン。李俊錫とは仲がいいことで知られる)系を中心にした非尹系の派閥づくりだ。キム・ウン議員は李前代表記者会見直後、フェイスブックに「一行評、『それでも私たちは前進する』」とし、「誇らしく切ない国民の力、私たちの代表」と書いた。

キム・ビョンウク議員はフェイスブックに「李代表は権威主義的権力構造に寄生する汝矣島の既成政界を精密爆撃した」とし、「李俊錫は汝矣島に『先に来た未来』だ。恥ずかしく、申し訳ない」と書いた。ただ、親柳承敏系全体が組織的に李前代表を擁護する動きを今のところまだ見せていない。国民の力関係者は「党内世論は尹核関(ユンヘックァン)と李前代表の両方に批判的なのが事実」と話した。

最後の変数は国民世論だ。政治的問題は結局、世論によって決定される可能性が高いためだ。国民の力支持層と一般世論はまだ交錯しているようだ。党のホームページには記者会見後、同日夜までに2,700件以上の書き込みが掲載された。

ある人は「(李前代表は)悔しいという気持ちで公然と大統領を中傷した。党代表が大統領と同級であると勘違いした『権力心酔者』の李前代表は除名されなければならない」と書いたが、別の人は「尹大統領が結者解之しなければならない。自分が殺されようとしているのに、じっと座ってただ待てと言われたら誰がそんなことをするだろうか」と書いた。

結者解之とは、結び目を結んだ者が解かなければならないという意味で、事を犯した人が事を解決しなければならないことを比喩した漢字成語。

一言でいえば、現在、大統領と政府与党(国民の力)は、ハチャメチャになっているということ。尹錫悦が李俊錫の前ではにこにこしていながら、陰では「あの野郎」(チョセッキ)などと(韓国語では最大級の)罵りことばを弄していたというのは、にわかにはちょっと信じがたい。法と常識に忠義を尽くすといっていた尹錫悦だ。この李前代表のことばが真実だとすると、人間性を信じていた尹錫悦なのだが、結局この人もただの「政治屋」か、ということになる。どうなんだ?

(無料メルマガ『キムチパワー』2022年8月16日号)

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韓国暮らし4分1世紀オーバー。そんな筆者のエッセイ+韓国語講座。折々のエッセイに加えて、韓国語の勉強もやってます。韓国語の勉強のほうは、面白い漢字語とか独特な韓国語などをモチーフにやさしく解説しております。発酵食品「キムチ」にあやかりキムチパワーと名づけました。熟成した文章をお届けしたいと考えております。

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