危機感なし。台湾有事シミュレーションで露呈した日本の「他人事」感

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8月2日のペロシ米下院議長の訪台により、明らかに緊張の度合いが高まった中台関係。中国による武力侵攻が秒読み段階に入ったとの専門家の見立ても報じられていますが、果たして信用するに値するのでしょうか。今回のメルマガ『浜田かずゆきの『ぶっちゃけ話はここだけで』』では著者で国際政治経済学者の浜田和幸さんが、そんな見立てを証拠付けるような中国から漏れ伝わってくる数々の情報を紹介。さらに中国の怪しい動きを見逃さず民間にも有事に備える動きが広がる台湾と、官民共に台湾有事を「他人事」と捉えているとしか思えない日本との温度差を指摘しています。

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中国の台湾攻撃は本当に秒読み段階か??

ぶっちゃけ、真夏の亡霊がさまよっているように思えてなりません。

何かといえば、このところ加熱する一方の「台湾海峡波高し」報道です。

例えば、中国研究で知られるゴードン・チャン氏が自身のブログで「中国による台湾への軍事攻撃が近い」と警告を発しました。

その根拠となっているのが、中国共産党による国内企業並びに実業家に対して出されたとされる「軍事最優先」の指示に他なりません。

また、中国の大学では外国人研究者を解雇する動きが加速しているともいいます。

しかも、中央軍事委員会の権限が格段に強化されている模様です。

中央政府の幹部に対して、配偶者や子供が海外資産(株を含む)を所有することを禁止する通達を出したとも情報が飛び交っています。

もちろん、外国の金融機関に口座を開設することも原則ご法度になったようです。

こうした中国国内の動きを分析し、チャン氏は「中国による開戦は既定路線に入った」と結論したに違いありません。

8月23日からは中国軍が香港、マカオの沖合でも軍事演習を始めました。

そうした状況を受け、台湾側でも対応策が進んでいます。

軍事演習を強化し、アメリカの議会関係者を頻繁に招き、対中抑止力を高めようとしていることはご承知の通りです。

とはいえ、そうした動きがどこまで効果を発揮するかは定かではありません。

そのため、民間サイドでの非常事態対応の努力も活発化してきました。

例えば、台北の故宮博物館では重要な展示品の避難訓練を始めています。

同博物館には70万点の所蔵品がありますが、その内9万点を緊急避難させる準備を整えたとの報道がありました。

それ以外にも、個別の事業体ごとに有事に備える動きが見られるようになっています。

日本では先頃、民間のシンクタンクが主催し、現役の国会議員や防衛省の元幹部らによる「台湾有事シミュレーション」が行われました。

アメリカでも手を変え品を変え、似たような戦時シミュレーションが繰り返されています。

しかし、日本でのシミュレーションにおいては、中国役を演じるプレーヤーがいないのが「玉に瑕」でした。

しかも、日本の総理役を日本の国会議員が演じるのはまだしも、アメリカの国務長官・国防長官役を日本の国会議員が演じていたのでは、アメリカの本音は引き出せません。

いずれにしても、台湾海峡の危機的状況に対して、日本の出方は官民共に「他人事」として受け止めているようにしか見えないのです。

ぶっちゃけ、次回のシミュレーションではゴードン・チャン氏あたりに中国のトップ役を演じてもらう必要がありそうです。

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image by: Fasttailwind / Shutterstock.com

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