宗教心が薄いといわれる日本人なのに宗教法人の数は多い!
文化庁がまとめた令和元年版の「宗教年鑑」によれば、日本での宗教法人の数は18万665団体もあります。
そして、これらを包括するおおもとの宗教団体も、法人が399、非法人が78で合計477団体となっています。
結構な数の団体数なのです。
系統も神道系、仏教系、キリスト教系、諸教といろいろに分かれています。
そして、従事する僧侶や神官といった職員の数は、寺が35万人強、神社が7万2,000人弱、キリスト教系は3万1,000人強、諸派が20万人となっています。
そのうえ届け出られた信者の合計数は、1億8,133万人にものぼりますから、日本の人口を軽く超えています。
ところで、こうした宗教法人は公益法人です。
公益法人は営利を目的とせずに公益に資することを条件に、特別法に基づき活動範囲に応じて都道府県知事や所轄大臣の認証を得て法人格を有します。
しかし、こうした宗教団体の収入はピンキリです。
前述した通り、信者が多ければ寄付も多く集まりますが、田舎の寺などで檀家も少なく、後継者もおらずに廃社寸前のところまで散見されるのが実態だからです。
とまれ、宗教活動で得た収入には基本的に税金がかからないという最強最大の特典があります。
宗教法人になるとオイシイ税制優遇制度が活用できる!
宗教活動と認められていれば、法人税もかからなければ、不動産を購入しても宗教施設(墓地に供する土地も含む)なら、不動産取得税も登録免許税も固定資産税も払わなくてもよくなります。
また宗教法人が経営する保育園や幼稚園に供する土地でさえ無税になるなど、ものすごく優遇されているのです。
おまけに幼稚園の入園料、保育料、施設設備費までもが無税です。学校法人とは大きな違いがあるのです。
墓地の販売や、戒名料、祈祷や読経といった活動、お守りやお札、おみくじの販売活動で得た収入も、宗教活動と看做されるので、無税となります。
面白いことに、宗教法人法には、「礼拝の施設その他の財産を所有し……」といった宗教法人になるための条件があるために、収入の多い宗教法人はやたらと不動産を保有したがります。
収益事業に相当する「法人税」まで優遇されている!
もちろん、宗教法人が営利事業を行って得た利益には課税されます。
ただし、これも優遇された法人税です。
法人税率は一般企業では23.2%ですが、宗教法人は19%に軽減されています。
そのうえ、どういうわけか、所得の80%にしか課税されないのです。
ゆえに実質税率は15.2%になります。優遇しすぎでしょう。
近年では新規の宗教法人設立はハードルが高いため、休眠状態の宗教法人を、脱税を狙いたい悪徳企業や強欲な富裕層が1,000万円単位の金額で買収・購入するケースまでもあるのです。
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