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パワハラ、セクハラで信頼を失ったUberが「再構築」できたワケ

一度失った信頼を取り戻すというのはとても難しいことです。信頼の失墜は、企業の話であれば「死活問題」にもなり得ます。そこで、今回のメルマガ『尾原のアフターデジタル時代の成長論』では、著者で、Google、マッキンゼー、リクルート、楽天の執行役員などを経て、現在はIT批評家として活躍されている尾原和啓さんが、 一度失った信頼を再構築したUberのスピーチを紹介しています。

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パワハラ・セクハラ問題で信頼が失墜したUberはどうやって信頼を再構築したか?

「Trustの作り方」という有名な話が2018年のTEDの中にあります。

これは、パワハラ・セクハラ問題で信頼が失墜したUberに、あるチーフマーケティングオフィサーの方が入られて、どうやって信頼を再構築していったかという素晴らしいスピーチがあるので、その話をしたいと思います。

このスピーチは、僕はカナダのバンクーバーに行って観ていたんですけど、動画には日本字幕もあるので、ぜひ時間のある方は見ていただくとすごく良いです。

How to build (and rebuild) trust | Frances Frei

今日はこれをざっくり分かりやすく解説したうえで、「なぜオンライン時代に必要なのか?」も含めて話をしていきたいと思います。

信頼を作るための3つの要素とは?

彼女が言っている「信頼(Trust))の作り方」というのは3つあって、

1. 共感(Compassion)
2. 論理(Logic)
3. 真正性(Authenticity)

この3つが大事だという話をしているんですね。

ここで、何かを考える時に、大事なのは「逆を考える」と分かりやすいんですよね。どういう人間が信頼できないんだろう?と考えると、信頼は「信」じて「頼」れるという事なので、つまり何かのときに知らない人の車に乗せてもらっても大丈夫、という、人が移動する瞬間を信じて頼るわけですから、疑う気持ちが入るとダメなんですね。

そうすると、逆に「信じて頼れない」というのは、「何かあったときに、こいつって自分の事とか別の事を優先するやつなんだろうな」と思えちゃうと、信じて頼れないわけです。

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1. 共感(Compassion)

まず一つ目は共感になります。共感というのは、「何かあったときに自分のことを感じてくれるんだな」という事ですよね。そうじゃない人は何かあったときに共に感じるのではなく、自分しか感じない、ここを優先するやつって信頼できないですよね。なので共感というのがすごく大事になってきている。

共感というのは、

・自分を犠牲にしてでも良いから何かなしたい事がある、それは誰かのためのものである、ということをやって周りの共感を呼ぶ
・何かあったときに、自分の事を横に置いておいて相手のことを感じにいく、応援しにいく

というこの2つが大事なんですよね。

どうしても、僕たちは仕事をしている中で、

「今月の売上げどうしよう…」
「自分が失注してしまったらどうしよう…」

という風に近視眼的になってしまうと、共に感じる時間より自分を感じる時間をついつい優先してしまうのはしょうがないことで、その時に、

・自分を感じる時間ではなく一緒に感じ合おうという冒険をどうやっていくか
・相手の冒険に対して、僕も共感するよ、という風にPassionをAccompanyしていく(=寄り添っていく)

これらが大事になってきます。

2. 論理(Logic)

次が論理になります。単純に言えば、論理が破綻している人には信じて頼れないですよね。論理が一貫しているってすごく大事で、単純に言えば「何を優先するか」が明確になっている。

要は、僕はこれこれこういった順番でこれをやろうとしているから、と分かると信じられるわけです。

例えば西野(亮廣)さんの場合だと、「夢を追いかけているのが好き」。それに対して、自分の生活に対してはそこまでこだわってないよ、という一貫性があるから彼に夢を託せるということだったりとか、一方で彼は夢に対してめちゃくちゃこだわって、ありえないくらい緻密な世界観を作るという優先順位がある。というのが分かっていて、論理的にそこが結果として見えているから、チューハイを4缶飲んでダメな男になって寝てしまっても、彼を信じて頼れるわけですよね。

つまり、その人の行動というものがどういう優先順位でそれが成り立っていて、そこに常に論理として順番があるわけです。

一方で、信じて頼るというのは“感情”なんですよね。理性じゃないんです。そうすると論理を感情に変換してあげないと、人は論理を信じて頼れないんですよ。

論理って、「こういう結論があって→それはこういう論点に分けられて→そこの理由はこうである」みたいな分解ですよね。これは人に信頼を生まないんです。

ここで大事なのが“Narrative”になります。

「こういう事が昔生い立ちとしてあって、ある時にこういうトラブルがあったんだけど、そこでこういう事を大事にしているからこれを選んだんだよねー。そしたらこういう仲間が現れて、仲間と一緒に歩いてたらまたトラブルが現れて、、こういう選択肢をしてこういう風になって、でもやっぱり結果一番大事にしているのはこれだ!っていう風に気づいたんだよね。」

という風に論理を物語に変換する、そうすると信頼って生まれるんですよね。

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3. 真正性(Authenticity)

最後に真正性です。これは、ずっと一貫して過去からこの人はこれを大事にしてこれを結果として出しているよね、というのが一致していれば、

じゃあ未来もその人はそういう人であり続けるよね、という「過去から現在に首尾一貫している」という事なんです。

これは、けんすうさんが言っている“物語思考”ともすごくハマる話で、今までは他者との関係性の中で、自分のキャラとか自分を相対的に浮かばせてきて、敵を作ることで、自分は信頼できる、という事をやってたんだけど、いまはネットでずっとつながっているから、今も昔もずっと僕はこれを大事にして、これを結果として出してきています、というのが見て取れるわけですよね。

これが見て取れると、その人はそのものに生きてるんだなというのがあるから信じて頼れるし、何を重視するのかがしっかりと論理だてられていて、かつその論理だてているものが感情に訴える形の物語に繋がっている、何よりもそれが共感を生むものとしてできている。

それが分かると、結果として信じるに足るものになっていくという事でTEDの元ネタも英語ですが字幕もしっかり付いているので、良ければ見て頂ければです。

How to build (and rebuild) trust | Frances Frei

こういう風に、色んな海外のエピソードからつながる時代の皆さまにプラスになるものもお伝えしていければと思います。

今回は「Trustの作り方」という事でお話をさせていただきました。

という事で、皆さん良い冒険を。

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image by: Shutterstock.com

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IT批評家、藤原投資顧問 書生 1970年生まれ。京都大学大学院工学研究科応用システム専攻人工知能論講座修了。 マッキンゼー・アンド・カンパニーにてキャリアをスタート。 NTTドコモのiモード事業立ち上げ支援を経て、リクルート、ケイ・ラボラトリー(現:KLab取締役)、コーポレートディレクション、サイバード、電子金券開発、リクルート(2回目)、オプト、Google、楽天(執行役員)の事業企画、投資、新規事業立ち上げに従事。 経産省 対外通商政策委員、産業総合研究所人工知能センターアドバイザー等を歴任。 現職は14職目。シンガポール・バリ島をベースに人・事業を紡ぐカタリスト。ボランティアで「TEDカンファレンス」の日本オーディション、「Burning Japan」に従事するなど、西海岸文化事情にも詳しい。

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【著者】 尾原和啓 【月額】 ¥550/月(税込) 初月無料 【発行周期】 毎週 月・木曜日 発行予定

 

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