日本全国に数多くの飲食店が存在していますが、お店選びは「サービスの良さ」が決め手になることもありますよね。しかし「度を越している!」と、お客さんが躊躇してしまうほどのサービスを提供するお店が千葉県にあるようです。今回のメルマガ『繁盛戦略企画塾・『心のマーケティング』講座』の中で、そのお店のマーケティングと店主の心意気を紹介しています。
ワンオペ厨房の問題解決!?麺類を頼むと、「炒飯食べ放題」がついてくる!
ここは、お金の無い人のための「大人食堂」なのか?
そんな思いに駆られるお店が、千葉県南房総市にあります。
麺類を頼むと、「炒飯食べ放題」がついてくるのです。つまり、無料。
一番安い500円のラーメンを頼んでも、炒飯は食べ放題となります。
こんな嬉しいサービスのお店は、どこにもありません。
というより、度を越していると言っても良いでしょう。
麺類を頼むと、麺類が来る前に、大きな器に盛られた炒飯が運ばれてきます。
そこから、好きなだけ取ることができます。
なぜ、これほどまでの大盤振る舞いをしているのでしょうか。
サービスの発端は、厨房をひとりで切り盛りするためにはどうすれば良いかを考えたことです。
その答えが、注文の多い炒飯をあらかじめ作っておくことでした。
欲しいお客さまが、勝手に食べるようにしておけば、ひとつひとつ作る手間は掛かりません。
手間を掛けない代わりに、無料にしたのです。
わかるようで、よくわからない理屈なのですが、店主もあまり深くは考えていないようです。
「採算は?」の問いに、「あまり深く追求しちゃダメ」。「赤字では?」「あんまり気にしない男だから」。
ギリギリでも生活できれば良いという考えのようで、お客さまが喜んでくれれば、それが嬉しいと言います。
他にも、お客さまを喜ばせるための心遣いが、チラホラと見受けられます。
麺類を頼まず、単品だけの人でも、100円を払えば、炒飯食べ放題になります。
つまり、炒飯が100円です。
また、ラーメンなどは、お客さまを見て、醤油の量を調整したりしています。
まさに、熟練の料理人です。
ゆで玉子を切る時は、糸を使って、ギザギザになるよう、飾り切りにしています。
町中華では、そこまでしません。
炒飯は、敢えて薄味にしています。
麺類と一緒に食べるなら、薄味の方があっさりと食べやすくなり、たくさん食べられるからです。
もし、もの足りないと感じるなら、テーブルの調味料で味つけすれば良いと言います。
私が感心したのは、あるひとつのメニューです。
「肉だけ酢豚」。
中華屋さんの酢豚には、人参、玉ねぎ、ピーマンなどが必ず入っています。しかも、固いことが多い。
私もそうですが、野菜はいらないと思う人は多いはずです。でも、仕方なく食べているのです。
そんな思いを店主はよくわかってくれているのです。
これは、かなり嬉しいメニューです。迷わず注文してしまいます。
こうした小さな心遣いがあちらこちらに見えて、お客さまも大満足で帰って行くのです。
しかし、あまりのサービスに、「値上げして欲しい」「チップ箱を置いて欲しい」というお客さまも多くいます。
値上げはしないのかと問うと、「メニューや電光掲示板を変えるのにお金が掛かる」と言います。
これは、値上げをしないという強い意志を隠すために言っているようにも聞こえます。
あるいは、考えるのが面倒なのかも。
お客さまが喜べばそれで良い、ということです。
他のことは、あまり考えないのです。
深く考えないからこそ、長く続けられるのかもしれません。
お客さま思いの商売人。
当たり前のことですが、どんどんいなくなっているように感じます。
これからも長く続けて欲しい、大切な人だと思います。
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