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長渕剛自身も知らぬ愛国心の正体。なぜ「外国人に土地を買い占められる日本」に目覚めたのか?

歌手の長渕剛(66)の「外国人に日本の土地を売らないでほしい」という発言が物議を醸している。SNSでは「さすが長渕さん!日本の誇りだ」など称賛される一方、「長渕本人もファンもネトウヨそのもの」といった批判も。だが、このような賛否どちらの声も、長渕の現在地を正しく指し示しているとは言えないようだ。

長渕剛が「北海道の中国化」に対抗?

「この北海道という街はその昔、開拓民たちが一生懸命、開拓した街だ。お願いだから、この自然に満ち満ちたこの土地を、外国人に売らないでほしい――」

REBORN 2022 with THE BAND」と題した全国ツアーの北海道公演(9月10日・札幌文化芸術劇場)で長渕がそう語りかけると、詰めかけた観客らは万雷の拍手で応え、会場内に日の丸の旗がはためいた。

長渕の念頭には、中国をはじめとする外資勢による土地買収やリゾート開発への危機感があるのだろう。

香川公演(9月24日・レグザムホール)でも同様の主張をしていることから、これは失言や放言ではなく、長渕本人の強い信念に基づくメッセージであることが窺い知れる。

一連の発言についてSNSでは、

《長渕さんに賛成!中国人による侵略を許すな》

《これは勇気のある発言だな》

《今の日本に重要な視点》

など称賛の声が上がる一方で、

《でもアメリカ人には文句言わないんでしょう?》

《水源地買い占めのフェイクニュースに騙される差別主義者》

《いい歳してネトウヨ化はキツイ……》

など批判の声も。ネットはまさに賛否両論の様相だが、いったいどう解釈すればよいのか。

長渕剛は「ネット右翼ではない」という事実

「どの意見も一理あると言いたいところですが、『長渕剛=ネトウヨ』説だけは、どうにも違和感がありますね」(週刊誌記者)

そう指摘するのは自身も長渕ファンという40代の男性記者だ。違和感とはどういうことか。

「近年のいわゆるネット右翼には、盲目的な中国敵視、安倍元総理に対する個人崇拝、カルト宗教との癒着といった特徴がありました。また歴史を遡れば、国際勝共連合や旧統一教会と半ば一体化した戦後日本の自民党政治は、旧ソ連や中国を仮想敵とする一方で常にアメリカの飼い犬状態だった。その点、長渕さんの思想はまるで真逆に思えるのです」(前同)

長渕はその言動やファッションから「右派」と見られることが多い。だが、安倍政権の森友・加計疑惑や安保法制を批判したり、時に反戦や反原発を訴えることもあるなど、昨今増殖したエセ保守・ビジネス保守の面々とはまったく異なる考えの持ち主なのだという。

「長渕さんの『しゃぼん玉』という曲をご存じですか?1991年にドラマ主題歌として発売されたシングルCDは110万枚を売り上げる大ヒットとなりました。実はそのC/W曲の『親知らず』が、かなりの反米ソングなんですよ。長渕さんは昔からこんな調子でブレませんね(笑)」(前同)

同曲の歌詞には、「俺の祖国 日本よ! どうかアメリカに溶けないでくれ!」「俺の祖国 日本よ! ちかごろふざけすぎちゃいねえか!」など忖度なしの過激なワードが並ぶ。

1991年と言えば、湾岸戦争で米軍を中心とする多国籍軍が地上戦に突入した年だ。バブル末期の当時、長渕にはアメリカやそれに隷属する日本への怒りがあったのだろうか。この歌からは、反戦リベラルとも今どきのネット右翼とも異なる、長渕節とでも言うべき素朴なナショナリズムが伝わってくる。

こうして見ると、長渕剛の主張は30年以上前から何も変わっていないように思える。少なくとも長渕に「ネトウヨ」のレッテルは相応しくない。

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長渕剛に擦り寄りはじめた「エセ保守」の醜い面々

長渕剛は「愛国心」と「反米」や「反安倍」を、長年に渡ってナチュラルに両立させてきたという点において、今の日本では極めてユニークな存在のようだ。

「安倍氏銃撃事件や旧統一教会問題によって、やっと自称愛国保守派のウソと矛盾が露呈しましたが、つい最近まで“安倍は国家なり”の異常な空気が日本中に蔓延していましたからね。長渕さんが今どき珍しいタイプなのは確かです。そんな彼を素朴なナショナリストと呼ぶか、真正保守主義者と呼ぶかは人それぞれ、意見が分かれそうですが……」(前同)

漫画家の小林よしのり氏(69)はMAG2NEWSの記事で、「安倍マンセー」しか能がないエセ保守派の欺瞞を痛烈に批判し(関連記事1)、所詮彼らは「反日・反天皇カルト」に与する売国勢力にすぎないと喝破している(関連記事2)。

長渕もこれまで、そのような多数派の“なんちゃってビジネス保守”とは一線を画してきたのだが――

「ただ最近になって、エセ保守の代表格である『月刊Hanada』や門田隆将氏が、長渕さんに擦り寄ってきているのは気になるところです。そもそも外国からの投資を呼びかけ、外国人労働者の受け入れ拡大に邁進してきたのは、彼らが崇拝する安倍元総理なのですが、それに対する反省は一切ありません」(前同)

『月刊Hanada』の現実逃避、安倍崇拝、統一教会擁護、無節操ぶりはつとに有名だ。ビジネス目的にせよ、人気歌手をカルト側に取り込む狙いにせよ、長渕はこのようなエセ保守の接近を警戒すべきだろう。

手のひら返しが得意なビジネス保守の面々は早速、長渕の人気を利用しようとしているが、それをもって世間が長渕まで「ネトウヨ認定」してしまうのは早計と言えそうだ。

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長渕剛にもう1つの注目点。参政党との関係は?

長渕剛には、もう1つ注目すべきポイントがある。それは参政党との関係だ。

参政党は2020年に設立されたばかりの右派系団体で、当初は泡沫と見られていたが、TwitterやYouTubeなどネットを駆使した選挙戦略で頭角を現した。国政に初挑戦した2022年7月の参院選で公選法上の政党要件を満たす得票率2%を上回り、比例で1議席を獲得したのは周知のとおり。

そして実は、参政党と長渕に共通しているのが、他でもない「日本を買収されるのを防ぐ」「これ以上、外国人に土地を買わせない」といった主張なのだ。

長渕が参政党の政策に傾倒しているのか、参政党が長渕を宣伝に利用しているのか、あるいはそのどちらでもない偶然なのか。現時点で明確な結論は出ておらず、さまざまな憶測を呼んでいる。

なお、参政党の副代表兼事務局長を務める神谷宗幣参議院議員に関しては、旧統一教会や分派のサンクチュアリ教会との関係性を指摘する意見が一部にある。(関連リンク1)(関連リンク2

ただし、これに関して神谷氏は自身のサイトで「参政党にもいろんな信仰をお持ちの方がいらっしゃるでしょう。その信仰までチェックはしません。​ただ、党内での宗教の勧誘などは禁止していますし、一定の宗教の方が集団で入っていることが明らかになれば、私が事務局長として対処します。​参政党はどこの宗教団体の支援もうけていません」​と否定。

さらに参政党公式サイトのFAQでも「党員にも多くのメンバーがいますから、宗教団体や日本会議に所属している方(していた方)はいると思います。しかし、政党としてそういった団体の支援を受けているということは一切ありません」と否定している。

また、参政党のトランプ支持や反ワクチン姿勢には疑問の声もあり、陰謀論や疑似科学、情報商材、スピリチュアルとの親和性を指摘する意見もネット上では散見される。しかし、MAG2NEWS編集部で調査した限りでは、具体的な消費者トラブル等の事例は発見されなかった。

このような“悪評”は、敵対する団体等が流布している可能性もある。真相はいずれ明らかになるのだろう。

いずれにせよ今後、長渕剛と参政党の関係に、これまで以上の注目が集まるのは間違いないところだ。

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image by: 長渕剛 公式YouTubeチャンネル

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