統一教会の信者が、自殺ほのめかす息子を病院へ連れて行かなかった訳

 

2.「信教の自由」の名のもとで教団はやりたい放題の活動。刑事事件にはならないなか、ようやく実を結びつつある、民事訴訟

1980年代霊感商法が社会問題となるなか、元信者らは教団の組織的な不法行為を刑事事件として取り上げてほしい思いを持っていました。しかし「信教の自由」もあり、警察は事件としては取り上げてはくれません。

この現実を前に弁護士らともに「民事裁判にて教団の違法性を積み重ね、刑事裁判にもつなげて、社会に被害の実態を訴えていこう」ということになりました。

私自身も裁判を提訴して、最高裁にて勝訴判決を得ましたが、他の元信者らも同様な裁判を数多く起こして、たくさんの勝訴判決が積み重ねられてきました。そして2009年の新世事件にて、教団の関連会社が警察に摘発されます。ここから一気に教団へのメスが入るかと思われましたが…。

その後は、パタリと音沙汰無しになります。

教団側が手口を変えて、モノを売る霊感商法から、多額の献金を出させて、モノを与える形に変わったのです。政治の力もあり、警察の捜査が止まったと、有田芳生さんもおっしゃっていますが、まさに教団が地下に潜った10年になりました。その間に、教団は羊の皮をかぶって、これまで以上に、自民党などの政治家との距離を近づけていきました。それが今日の姿です。

先日の国会で、教団の法的責任を認めた判決は少なくとも29件に上る(全国霊感商法対策弁護士連絡会による)と明らかになりました。私が提訴してから20年以上経って、ようやく実を結ぶ時がきているように感じています。

私は教団を辞めてから、詐欺や悪質商法の取材を進めてきました。その中で教団の使っていたのと同じような手口を使う悪質業者を見てきました。その多くは、行政処分などの摘発を受けたり、逮捕されます。しかし教団の活動は、まったく摘発されません。それに対して、苦々しい思いを持っていました。

もしかすると、今後も再び地下に潜ろうとするかもしれませんが、もう首根っこをつかんだ状況です。もう絶対に逃がしません!

3.10月20日に行われた、6回目の旧統一教会の記者会見

教団内では「6」という数字は「サタン数」といわれて、忌み嫌われるべき数字として扱われます。聖書のヨハネの黙示録から来ているといわれていますが、私自身は「オーメン」という映画を教団内でみさせられて「6」は悪魔の数字と教え込まれました。

そんなわけで、6回目の教団の会見はどのようなものになるのかを楽しみに見ていました。私の目には「教会改革」とは裏腹な、魔が入ったような会見に見えました。

やはり注目すべきは、橋田さんの元妻の証言です。

元夫の橋田さんによると、信者である元妻は、1億円もの献金をしてしまい、家族は崩壊して、長男は2年前に自ら命を絶ったと話します。

一方で橋田さんの元妻はVTRにて反論します。

「入会したことで夫婦関係に変化したことはありますか?」の質問に対して「これといってないんですけど」と切り出します。

さらに「新婚当時から喧嘩していて、しない日はなかった。教会に入ってから悪くなったのではなくて、教会に入る前から悪くなって。教会に入ってからはどちらかというと喧嘩しなくなった」と話します。

この言葉は、元夫の言葉とは真っ向から対立していますが、大きな疑問があります。

信者を持つ多くの家庭では、家族の一人が教団に入ることによって、高額な献金などにより家庭崩壊など、大きな影響を受けています。関係省庁連絡会議にも、この種の相談電話が数多くかかっていることからもわかります。

なぜ「教団の影響はない」と元妻は断言できるのでしょうか?これまでの被害家族の状況を見てきて、どうにも本当のことを言っているようには思えません。

ついには、息子さんが「田んぼ、売ったらええよ」の言葉までも話します。こうなると、もはや死人に口なしの状況で語られており、亡くなられた息子さんが不憫でなりません。

さらに「自分は売りたくなったけれど、息子が売ったらとあまりいうので」「息子さんは売ったらと言わなかったら、売らなかった」と話しますが、大きなお金が動く土地売買には、必ず教団の関係者がかかわるものです。息子さんの一存で決められるはずはありません。教団の意思が働いていると考えるべきです。

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