なぜ、本物志向の洋服を着れば着るほど日本人はダサくなるのか?

Mannequin with basted jacket by a tailor
 

2.理想の肉体をモデルとするテーラード

高温多湿、あるいは高温乾燥の気候の民族衣裳は、開放的な構造です。それが最も快適ですが、やはり公式の場では西欧が決めたドレスコードに従わなければなりません。

例えば、どんな国でも結婚式の時に、新郎、新郎の父親は、テーラードジャケットを着用することが多いようです。これは日本でも同様です。女性は民族衣装を着ても、男性は世界共通のスーツを着用する。紋付き袴を着ても、お色直しではタキシードを着用します。やはり立体的で身体にフィットしたテーラードジャケットには近代的な男性美を感じるのでしょう。

テーラードクロージングでは、近代的男性美をどのように表現しているのでしょうか。これは理想的な男性のシルエットとは何かという問題につながります。

まず、身体にフィットするという点では肩が重要です。肩は真上からみると、背中が膨らむ形で弓形にカーブしています。前肩は少し凹み、後ろ肩は肩甲骨が張っています。

胸は大胸筋等による張りがあり、腹部は腹筋で引き締まっています。背中の筋肉も含めて、ボディには程良い厚みがあり、逆三角形のシルエットを形成しています。

仮に貧弱な体型の人が着用しても、こうした美しいシルエットに見えるように造形することがテーラードの基本です。実際の肉体以上に美しい立体を作ることがで重要です。

腕は軽く前方に振れています。この方向性の表現も重要です。

袖山を立体に表現するために、必要に応じて肩パッド、ゆき綿等を使い、縫製では、袖山をいせこみ、身頃に伸び止めテープを貼るなど、美しいシルエットをつくり出し、かつ、型崩れしないように配慮されています。

加えて、腕を動かすための運動量を調整して、機能的で美しいシルエットを生み出します。

こうした立体への意識がテーラードクロージングのポイントです。

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