なぜ、本物志向の洋服を着れば着るほど日本人はダサくなるのか?

Mannequin with basted jacket by a tailor
 

3.カジュアルのテーラード化 

テーラードの技術を応用して人気を集めたのが、ドクターブレザー、ドクターコートと呼ばれる白衣です。元々、白衣は通常の服の上に羽織る大きめのシルエットでしたが、それをテーラードで仕立て、スタイリッシュにしたものです。ドクターは意外に記者会見等でアップで映されるケースが多く、そういう場面で撮影映えするジャケットとして評判になりました。

最近では、スーツ型作業着も登場しています。これまでは商談の時に、スーツに着替え、現場では作業着に着替えることが多かったのですが、現場でも汚れにくく、しかも機能的で動きやすいテーラードジャケットを作業着メーカーが作っています。

スーツ量販店のアオキは、「パジャマスーツ」というネーミングでイージーケアのジャージー素材によるテーラードスーツをヒットさせています。在宅勤務で直接人と会わなければ、見た目がスーツであれば問題ないということです。

「スーツがカジュアル化で姿を消す」だけではなく、カジュアルウェアがテーラードクロージングによって活動範囲を広げていると見ることもできます。

例えば、カジュアルシャツもテーラードにすることで、身頃をシェイプさせ、肩と袖を作り込むだけで、これまでのシャツとは異なる服になります。

Tシャツやスウェット、パーカーもテーラーが作ったらこうなった、という世界ができそうです。

あるいは、半纏や作務衣といった和装アイテムも直線裁ちではなく、少しだけカーブを与え、身体に沿わせることですっきりとしたシルエットになるのではないでしょうか。

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