スペイン代表も大きな文化的問題を抱えています。まず、スペインというのはかなりややこしい国で、カタルーニャやバスク、アルザス地方等々独立問題が解決していません。スペインの超ビッグクラブであるバルセロナFCというチームはカタルーニャ地方にあり、スペインという国というよりもカタルーニャのクラブであるという意識が強いです。またバスク地方出身者だけが加入できるクラブもありますから、代表でそれぞれが一つに固まると結構コミュニケーションに問題が出ます。近年はチームの中心選手をほぼバルセロナFCの選手のみで組むという戦略が上手くはまっているようですが…。
イングランドは政治的な問題というよりはサッカーの母国ならではの文化的軋轢があります。イングランドのプロリーグは歴史が古く、各地方に密着した一流クラブがあり、それぞれを非常にライバル視しています。例えばマンチェスターの強豪、マンチェスターユナイテッドとマンチェスターシティという2クラブは、お互いをライバルとしてほぼ憎みあっています。有名なロックバンド、OASISのノエル・ギャラガーは熱狂的なマンチェスターシティサポーターですが、嫌いなクラブは1位から10位まで全部マンチェスターユナイテッドだと回答した程です。他にもライバル関係のチームは数多くあり、ノースロンドンに構えるアーセナルFCとトッテナム・ホットスパーズFC等々、様々なダービーが存在します。やはり選手同士もあまり仲良くはなれないらしく、代表でも一切話さないというような難しい関係があると、元代表選手が話しています。
スポーツと政治は切り離す必要があるとはいいますが、決して切り離せないからこそ注意が必要ということなのです。
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