なぜ岡田武史氏は中国プロサッカーの監督挑戦に“失敗”したのか?

 

一番近い例を言うと、中国当局は11月26日、サッカー中国代表の前監督で、イングランド・プレミアリーグでもプレーした李鉄(Li Tie)氏に対し、「重大な違反」の疑いで調査を開始したことを発表した。中国メディアによると、李鉄は瀋陽の一つ銀行だけで1億元(約19億円)以上持っており、国内の監督の中で最もお金持ちだという。

拘束された李鉄は元中国男子サッカー代表3人の不正行為を供述し、これには、賄賂をもらって不正をした選手も含まれる。

サッカーは政治闘争の道具や犠牲品にさえなっている。強かったサッカークラブの大連実徳は、大連市長だった薄熙来と習近平の政治的な争いの中で、消されてしまった。トップが変わる度に大規模な粛正が行われて、伝統が消されてしまうという。

サッカー元日本代表監督で、中国のプロサッカーリーグ「杭州緑城」の監督を二年間務めていた岡田武史氏が、中国でのサッカー監督としての挑戦は失敗に終わった。それは監督の問題ではなく、中国サッカーの体制が病んでいると言わざるを得ない。プロサッカーリーグに相次ぐ八百長事件、人気に甘えて努力しない選手たちなど、これが中国サッカーの現状だ。サッカーもコロナ対応も、どちらも政治の束縛から解放されることはない。

最近、中国マスコミも日本サッカーを絶賛している。日本がドイツとスペインに勝ったことを祝福するべきだ。しかし、これらはあくまで日本サッカー界の進歩であって、中国マスコミの「欧米に勝つ」とか「アジアの光」とか、そういう地域主義とは無縁であるべきだと思う。日本サッカーは今、どんな強い相手にも勝てるようになっている。

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image by: Supakit Wisetanuphong / Shutterstock.com

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在日中国人作家。日中の大学でマスコミを専攻し、両国のマスコミに従事。十数年間マスコミの現場を経験した後、2009年から留学生教育に携わる仕事に従事。2015年日本のある学校法人の理事に就任。現在、教育・社会・文化領域の課題を中心に、関連のコラムを執筆中。2000年の来日以降、中国語と日本語の言語で執筆すること及び両国の「真実」を相手国に伝えることを模索している。

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