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「少女支援」なぜシャブ漬けに?元ヤクザNPO牧師がキメセク逮捕…覚醒剤を尿から検出、社会運動標ぼうゴロに怒りの声

「人生はやり直せる」と優しい言葉を投げかける牧師が、シャブをやめられないのだとしたら洒落にならない。神戸の教会に所属する牧師・森康彦容疑者(64)が8日、覚醒剤使用の容疑で逮捕された。内縁関係にある女性に「キメセク」被害をタレこまれたもの。ヤクザから牧師に転身した異色の経歴を持つ森容疑者は、非行や虐待、不登校などの問題を抱える少年少女たちの自立を支援するNPO法人「ホザナ・ハウス」を運営していたが、一部サービスでは受け入れ対象を少女のみに限定していたこともあり懸念が広がっている。 

子どもを守る牧師が「シャブ漬け」裏の顔

集英社オンラインなどの報道によると、7日深夜、別のトラブルの通報で森容疑者の施設に警察官が出動。挙動不審な女性がおり話を聞いたところ森容疑者の内縁の妻で、「キメセクされた」(覚醒剤を打たれて性交させられた)と被害を訴え、尿検査でも陽性反応が出たため逮捕・保護された。

その際、森容疑者は任意聴取を拒否し逃走を図ったが、翌8日に車を運転中のところを警察に発見され、検査で覚醒剤の陽性反応が出たという。森容疑者は容疑を否認している。

警察は施設内から注射器を押収。森容疑者は検査の際に、「点滴を打ったから陽性反応は出ない」など、警察を挑発するような態度をみせたとも報じられている。

森容疑者は先月14日、心を打つ地道な活動によって社会に貢献する人を表彰する「関西こころの賞」を受賞したばかり。

「道を踏み外して行き場がなくなった若者を自立できるようにしたいとの思いでNPO法人を設立し、何十人もの少年少女たちを更正させてきた」ことが受賞の理由。森容疑者は「私たちは彼ら(少年少女)の傷ついた心に寄り添いながら、責めることをせず、否定せずに寄り添い、そういう支援を続けています」とコメントしていた。

NPOが反社の隠れ蓑に?「少女支援標榜ビジネス」の可能性

内閣府のWebサイトによると、森容疑者が代表理事を務めるホザナ・ハウスは2011年11月18日、「刑務所や少年院から社会復帰を目指す人たちに対して自立、更生と社会参加促進に関する事業を行う」「不登校の子ども等とその親を支援するためのフリースクールを運営する」などを目的として設立。

自立援助ホームの「カリス・ホーム」「カリス・ボーイズ」や、家庭で虐待などを受けた少女の駆け込み寺となる「ガールズシェルター」、放課後等デイサービスの「ホザナ・ルーム」、就労継続支援B型作業所「ホザナ・ファクトリー」などを運営し、福祉事業分野で様々な助成金や補助金を受ける一方、「子どもたちへの食事提供、相談業務、事業所や作業所での利用者さんの補助」を名目にボランティアを募集していた。

さまざまな問題を抱える少年少女たちを支援しようと現場に集った人々に罪がないのは言うまでもないことだが、多くの善意を食い物にしながら森容疑者が薬物に耽っていたのだとしたら、その罪はあまりに大きい。

ネットでは、「覚醒剤中毒の元ヤクザが少年少女を保護って危なすぎる」「内縁の妻だけじゃなく、施設の少女にも手を出しているんじゃないだろうな」「真剣に子どもたちを支援している人たちへの風評被害が心配」など、卑劣なやり口に怒りの声が多く上がっている。

「キメセク」はやめられない?過去に覚醒剤経験を告白

夜遊びにハマって大学を中退後に暴力団に入り、みかじめ料集金や違法薬物売買で幹部に出世。だが自身も薬物絡みのトラブルで43歳のとき破門されたと報じられている森容疑者。

所属していた教会や関係団体の記事はすでにほとんどが削除されているが、森容疑者に直接話を聞いたことがあるという人物のブログが残っていた。

今から約9年前に書かれたそのブログでは、

森 康彦さん。わたしの急なご連絡にも優しく、親身に対応してくれた素敵な方です。実は元ヤクザで銀座でぶいぶい言わせていたんだとか・・・。(笑)

森さんはヤクザで、覚せい剤も散々経験していたのだそう。しかし、教会と出会い、回心し、クリスチャンヤクザとして活躍し、その後ヤクザ界の兄貴の借金を一気に背負うことになり、その後破門。それから、関西にて、神学の道に進んだのだそう

今のホザナハウスの原型ができたのが数年程前で、最初は3LDKのマンションからスタートしたのだそうです。それがどんどん知り合いの口コミで入居者が7人にまで増えてしまい、去年の3月から今のホザナハウスに至った。

しかし、そのような保護施設に対する地域住民の反発は激しく、なかなか理解をしてもらえないいのが現状。森さんはいつだって抵抗していたのだが、今度は矛先が家主さんのところへ向かい、やむなく立ち去ることを決意しました。

など、森容疑者の「素顔」が紹介されている。

この内容が事実で、今回の容疑も報道どおりなら、森容疑者もまた「覚醒剤の快楽」を断ち切れなかった一人のようだ。

2016年に覚醒剤取締法違反で逮捕された元プロ野球選手の清原和博氏は、2019年の朝日新聞のインタビューで「今も突然、覚醒剤を使いたくなることがある」と赤裸々に告白している。

屈強なアスリートをして「主治医をはじめ色々な人の助けがなければ、ずっと薬をやめ続けるのは無理だった」「一日一日の積み重ねでここまできました」と言わしめるほど、覚醒剤には恐るべき依存性があるのだ。

そこに性交が加われば、もはや薬物中毒から抜け出すことは不可能とも言われる。それは一体なぜなのか?

「通常の何十倍もの快楽」が優しい牧師を狂わせたか

一旦ハマったが最後、覚醒剤を手放せなくなる原因の1つとして挙げられるのが、覚醒剤を注射して行うセックス、いわゆる「キメセク」がもたらす強烈な快楽だ。

元麻薬取締官(マトリ)の薬物アドバイザー・廣畑徹氏は、2020年放送の「じっくり聞いタロウ」(テレビ東京系)で、沢尻エリカ逮捕のきっかけともなった違法薬物「MDMA」(覚醒剤と似た化学構造を有する)を用いた性交の恐ろしさに警鐘を鳴らしている。

それによると、MDMAを“キメた”状態での行為は、通常の行為と比較して何十倍もの快楽を得ることができ、「相手と話がしたくなり、共感を持つ、仲良くなれる、肌も敏感になる。ずっとイキっぱなしになる」のだという。

一体感を高める目的で、カップルが半分ずつ使用することも多いというが、このような薬物の使用が悲惨な死亡事故を招いたケースは複数あり、決して手を出してはならないものだ。

暴力団時代に覚醒剤を自ら使用していたという森容疑者もまた、「今回を最後にしよう」と思いながら、覚醒剤の使用を繰り返してしまう中毒状態だったのかもしれない。

「私たちは『買われた』展」や「Colabo」との関係は?

「私たちは『買われた』展」とは、未成年者を含む女性たちが様々な事情から売春に追い込まれている実態を広く世に問う企画展で、女性たちの写真や過去の体験談を綴った手記などを各地で展示するもの。

10代の女性を支援する一般社団法人「Colabo」が、手を挙げた個人や団体に作品素材を貸し出す形で各地で開催されており、このうち2018年の神戸展を森容疑者のホザナ・ハウスが主催した。ホザナ・ハウスで生活している少年少女たちも準備を手伝ったという。

この事実がSNSで拡散したことにより、「あの展示は胡散臭いと思っていた」「同じ穴のムジナか」などの批判の声が一部で上がっているようだ。

しかし当然のことながら、未成年者や女性を支援する個人や団体のすべてが、森容疑者のような悪事に手を染めているわけでは決してない。展示内容に対する好き嫌いは個人の自由だが、その点は十分に理解しておく必要があるだろう。

今回の森容疑者の逮捕について「Colabo」は、代表の仁藤夢乃氏が森容疑者と会ったのは2回のみで、Colaboから森容疑者の団体に女性を紹介したり保護を依頼した事実はなく、その他イベント等での交流もなかったと説明(PDF)している。

二次元好きのフェミニストはダブルスタンダード?

ただ、そんな感情的な「誹謗中傷」に混じって、気になるコメントもいくつかあった。

特定の個人や団体を名指ししているわけではないようだが、「なぜ女性支援団体やツイフェミの類は、こういう事件に対してダンマリを決め込むのか?」「広告ポスターを性的だの女性差別だの批判する連中ほど、いざというときに頼りにならない」といった指摘だ。

たしかに言われてみれば、アニメの女性キャラクターが「巨乳すぎる」とか「パンツを履いていない」とか、ネットでよく見かける炎上騒ぎの類など、現実の世界で起きている女性搾取(今回の「キメセク」事件などはその典型だろう)に比べれば、心の底から本当にどうでもいいことのような気もしてくる。

有識者に言わせれば「それはそれ、これはこれ」なのかもしれないが、果たしてあなたはどう感じるだろうか。

image by: 森康彦容疑者フェイスブック

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