400億円の談合疑惑も浮上。それでもメディアが五輪汚職を伝えない訳

 

そんな風に嘆いていたら、今度は、本大会での巨額談合があるとわかった(あえて分かった報道にする)。東京地検特捜部は捜査で巨大利権を追い詰めていたのだ。その額、なんと400億円に達するという。ロッキード事件やリクルート事件の比ではない。戦後最大、超弩級の疑獄事件である。

ところがメディアはほぼ黙殺である。『週刊SPA!』の連載がまるで誤報にみえるほど沈黙を貫いている。本来ならば、朝から晩までテレビやラジオで特集が組まれ、新聞は連日の一面トップでもおかしくない。結局、メディアが共犯関係にあるニューズはニュースでなくなるのだ。

先週、佐野眞一さんのお別れ会に行った。集まったジャーナリストや雑誌編集者たちに話しても、この戦後最大級の巨額談合をほとんど誰も知らないのだ。会場にいた300人のうち、10人くらいに声をかけたが、誰一人認識していなかった。

メディアは腐敗し、ジャーナリズムは死んだ。

『週刊SPA!』での私の連載は大人の事情で終わるが、同タイトルで『ZAITEN』で続けることになった。せっかく再開したジャーナリズム活動だが、のっけから茨の道を歩むことになってしまった。いつもながら、なんとツイていないのだろう。

1.公権力の腐敗、2.公人の不正、3.公金の使途。

筆者がニューヨークタイムズで学び、ジャーナリストとして追ってきたのは上記3点のカテゴリーだけである。筆者が芸能ニュースや私人のニュースを扱わないのはこのポリシーを守ってきたからだ。きっと同伴者や伴走者が現れるだろう、必ず追随者が来るだろうと期待していた。だが、結果は、この20年間、無自覚なメディアとジャーナリストに出会うだけだった。ニューズオプエドに出演している同業者を除いては……。

30代のジャーナリストの頃の上杉隆の計算違いは、権力と癒着してしまっているメディアがここまで蔓延っているとは想像しなかったことだ。

メディアが腐ると、国が亡ぶ。

一方で東京地検の捜査は本気だ。今回、私がタブーを冒して、東京地検特捜部の応援をし続けている理由はここにある。

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