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Senior couple on mowed field of wheat

世界の有名人に学ぶ「少ない収入」でもマイペースに隠居する方法とは

近年、世界的なスターや起業家が日本で隠居生活を送っていることが明らかになっています。彼らは日本でどのような生活をしているのでしょうか? 今回のメルマガ『黄文葦の日中楽話』で紹介しています。

ジャック・マーとトニー・レオンのように日本で隠居生活を送ろう

「週刊新潮」3月16日号は、中国のアリババの起業家、ジャック・マー氏の日本での隠居生活に関する内部情報を総力特集している。昨年11月、ジャック・マーが日本にいることがメディアで明らかになったとき、誰もが「秘密を守るのがうますぎる」と思っただろう。先日、ジャック・マー氏が中国に戻った。

もう一人の中華圏の有名人がよく日本で隠居生活を送っている。香港の映画スター、トニー・レオンは20年以上前から日本を自身の裏庭と考えるようになり、時折ひっそりと暮らしている。木村拓哉や妻夫木聡と一緒にSNSに登場することもあるが、この映画スターが会うのは2、3人だけ。サイクリングやサーフィン、スキーを楽しみ、ひっそりと孤独に暮らしている。妻のカリーナ・ラウがマネージャーを務め、多くの出演の誘いを断っている。

ジャック・マーとトニー・レオンの間に接点はないのだが、なぜ偶然にも彼らが日本を隠れ家に選んだのだろう。それは、日本人がお互いに適度な社会的距離を保っているからではないだろうか。日本人はたとえ有名人であっても、他人のプライバシーを詮索したり干渉したりしないし、取り囲まれるような面倒なこともない。

日本では、トニー・レオンは本当に自由である。喫茶店でたまにいるファンに気づいてもらい、うなずきと笑顔を送ってあげるらしい。

日本の女優さんたちのインスタグラムを見ていると、お子さんの幼稚園の行事に参加するとき、周りは彼女たちを芸能人と扱うのではなく、皆と同じく普通のお母さんとして、自然に子育てのヒントを交換し合っていること。

近年、人気がますます高まっている木村拓哉さんは、カジュアルな服装で愛犬を散歩させ、隅っこでしゃがんでいる姿をよくインスタグラムで映されている。彼が通りすがりの人に認識されても、「木村拓哉」と騒ぐ人はいないだろう。

昨年11月、木村拓哉さんが登場した「ぎふ信長まつり」で馬に乗り、46万人が道の両脇に集まり、スターの華麗な姿を陽気に騒いでいた。日本人はスターの仕事とプライベートの違いをはっきり分けられる。

日本では木村拓哉よりも知名度が相対的に低いジャック・マー氏やトニー・レオン氏は、当然、日本での隠遁生活でリラックスできる。ところで、たまたま中国のサイトで動画を見たところ、大陸の俳優と結婚した台湾のアーティスト、伊能静が息子と一緒に中国のどこかの空港を歩いていて、その前後を何十人もの人が携帯電話で撮影しており、明らかにアーティストのパーソナルスペースを侵害しただろう。

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話を隠居に戻す。本来、隠居は庶民には手が届かないような気がする。古来、隠遁生活とは、官職を捨てたり、財産を捨てて地の果て、海の果てまで行って仙人のように生きることを意味した。

しかし、言いたいのは、日本という国は、セレブやお金持ちが隠遁生活を送るのに適しているだけでなく、一般の人が隠居生活を送るのにも適しているということだ。隠居とは、近年中国の寝そべり主義することとは違い、自分に合ったライフスタイルを積極的に選び、人生を満喫することだ。

隠居ライターの大原扁理さんの著書『20代で隠居 週休5日の快適生活』を読んだ。少ない収入で、最も自由で楽な生活をすること。隠居を人生の信条とした。20代前半は東京でアルバイトをして生計を立てていたが、その後、あまりの大変さとストレスに耐えられなくなる。25歳の時、週に2日介護の仕事をし、残りの時間はお茶を飲んだり本を読んだりして過ごした。

その後、台湾に移り住み、数年間、隠居生活を続けた。この2年間は、コロナや両親の介護の必要性から、日本に帰国して隠居生活を送り、本を書いている。社会と一定の距離を置き、マイペースな生活を送っている。

近年、大原扁理さんのように、地方で隠居生活を送る若者は少なくない。地方は特に高齢化が進んでいるため、若い労働力が特に不足している。その結果、多くの若者が、地方政府の呼びかけに応じ、サラリーマンの重い鎧を翼の羽に変えて、広大な田舎に出向き、見事に隠居生活を送っている。彼らは自分たちで食材や野菜を育て、山と川と海を満喫している。このような隠居は地方の活性化に貢献していると思う。

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「ジャック・マーとトニー・レオンのように日本で隠居生活を送ろう」とは、皆がジャック・マーやトニー・レオンと同じレベルの生活をするのではなく、自分に合った隠居生活のあり方を見つけることができるのだ。例えば、作家が文章を書くということは、実は隠居生活を実践しているのです。普通の人間も隠居の楽しみを味わうことができる。

同時に、隠居という概念をもう少し広げて、間隔をあけて、段階を踏んで人と離れて生活することも試す価値がある。人ごみからしばらく離れ、誘惑を捨て、たとえば祝賀会やイベントには行かず、読書や執筆に時間を割く。

時に隠居は一種の気持ちである。例えば、混雑した喫茶店で読書をし、喧騒の中に自分の中の静けさを体験し、心に秘めたるものを感じる。最近では、SNSで身を隠しれば、スポンジを絞らずに水が滴り落ちるように、自分の時間が増えてくる。

一部の中国人観光客は、日本の秘境を旅する術を身につけている。秋葉原や新宿、浅草などの混雑した場所に行くのではなく、佐賀や香川、鹿児島などの人里離れた村の奥深くへ行き、茅葺き屋根の民宿に泊まり、iPad Proを持ち、尾根に座って株式市場の相場を見る…これが新しいトレンド「隠居」である。

ポストコロナ時代、中国人観光客に向ける日本観光の宣伝文句は、次のようなものがいいかもしれない。「ジャック・マーとトニー・レオンのように日本で隠居生活を送ってみませんか」。

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image by: Shutterstock.com

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在日中国人作家。日中の大学でマスコミを専攻し、両国のマスコミに従事。十数年間マスコミの現場を経験した後、2009年から留学生教育に携わる仕事に従事。2015年日本のある学校法人の理事に就任。現在、教育・社会・文化領域の課題を中心に、関連のコラムを執筆中。2000年の来日以降、中国語と日本語の言語で執筆すること及び両国の「真実」を相手国に伝えることを模索している。

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【著者】 黄文葦 【月額】 ¥330/月(税込) 初月無料 【発行周期】 毎月 第1月曜日・第3月曜日(年末年始を除く) 発行予定

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