読者の皆さんは「人前で話すのが苦手」「ビジネス相手との雑談がうまくできない」といった悩みを抱えていませんか? 特に4月に新入社員になった人は、コミュニケーションで自分に自信をなくす時期かもしれません。今回、メルマガ『スピーチコーチ・森裕喜子の「リーダーシップを磨く言葉の教室」』の著者である森裕喜子さんが、コミュニケーションや話し方の悩みについての解決法を紹介しています。
営業力や社内コミュ力…ご相談を一気に解決
こんにちは。スピーチコーチの森裕喜子(もりゆきこ)です。
週末の発行となった今月。新たな年度が始まりましたがいかがお過ごしでしょうか?
今回は新しい季節ということもあり、これまでいただいたことがある疑問やご質問に対してまとめてお答えしてみます。
あくまでもスピーチコーチ、言葉を扱う立場としての考え方を書いております。
ご参考としてお役立ていただけたらと思います。
相談1:沈黙が怖くて人前で話すのが苦手です
森さんの答え
人前で話すとき、言葉に詰まったりして黙るのが怖い、とおっしゃっているのかなと思いました。そうですね、確かに「ちゃんと話さなくては」「上手につっかえないように」などと思われるかもしれませんね。
でも、そもそも沈黙する、黙る、ということは聞いている人にとってダメなことではありません。
黙っている間に聞いている人は話を咀嚼したり、逆に「なんだろう」と惹きつけられることもあります。
まずは「沈黙は悪」の思いを捨てましょう。
そうすれば自ずと話すことが楽になりますよね。
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相談2:工夫しても話しているつもりでも、上司にわかってもらえない
森さんの答え
上司とのコミュニケーションについてですね。
ちょっと具体的な状況がわかりませんが、本当にその上司にわかってもらえていないのか、確認したほうがいいと思います。
なぜかというと、これは聞き方の問題なのですが、「はい、すごく良くわかりました」とシグナルを見せながら聞く人はかなり少ないからです。
大抵の場合、聞いてるんだかわかってるんだか判断がつかない聞き方をしていることが多い。
ですので、きちんと「恐れ入ります、今お話ししたことはご理解いただけたでしょうか」のように、失礼のないように尋ねるのも一手ですよね。
「まあ大体ね」と上司が言ったなら「XXXの部分は、*※**ということなんです」と加えたりしてみる。そして上司が「うん、なおさらよくわかった。でも+++のところはちょっとわからないなあ」「あ、そうですか、そこはですね…」となれば、会話が弾んで行きますね。
こうして「わかりあう」ことができる。
一度話して100%伝え切る、というのはかなりハードルが高いことです。最初からそれを目指さないほうがいい。まずは対話しながら話をご理解いただく。上司との関係性を構築していくという点でも決して悪い方法ではないと思います。
やり取りの物理的回数が増えれば自ずと互いの言語や伝え方の癖を理解できるようになり、次からはもっと伝わりやすくなるでしょう。
対話を重ねながら信頼関係も強くしていける。一挙両得。詰まるところ、社内コミュニケーションというのはこういうことの繰り返し、積み重ねではないでしょうか。
一番よくないのは「どうせわかってもらえないから」と伝えることを諦めてしまうこと。こちらがギブアップしたらコミュニケーションはそこで断絶ですので。粘り強く行われてはどうでしょう。
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相談3:営業先で、雑談するのが苦手です
森さんの答え
若手のビジネスマン、それも技術系の方などからよくお聞きすることです。
答える前に…まずは「雑談」そのものが本当に必要なのか?なくてはならないものなのか?これを申し上げたく思います。
「雑談力」などと言われていますが、雑談だけで仕事を取ってくる営業マンがいたらそれはもうサギに近いんじゃないか?と思うくらいなのです。個人的には。実際、そんな人はいないはずですよね、今の時代。
昭和のイケイケゴーゴーの時代にはあったかもしれません。植木等(うえきひとし)の映画で「無責任男シリーズ」というお調子者のサラリーマンがなぜか大成功していくという映画がありました。ご存知でしょうか。映画としてはすごく好きなんですね、これ。
どういう話かというと、植木等演ずる主役のサラリーマンはテキトーなことを言って全然真剣に仕事をしないんですがなぜか社長になっちゃったりする。もちろん話すことはテキトーでおかしなことばかり。人を笑わせたり面白おかしく気持ちよくさせたりして、まあ重宝される存在なわけです。
確かに、営業マンとしてはどんな時も明るく振る舞える、面白い話ができる、雑談が得意、というのはコミュニケーションの潤滑油として有益なスキル、かもしれません。
でも、営業だろうがマーケだろうが経理だろうが、仕事をする上で大事なのは「雑談が上手いかどうか」ではなくて、「仕事をちゃんとする人かどうか」「その仕事を通して、人として信頼できるかどうか」ではないでしょうか。
この人は信頼できる人だな、と感じさせることができる方法は、雑談以外にもあるはずですよ。
雑談が苦手だったら、聞く側に回ればいい。つまり、相手やお客様が雑談したくなるような人物になればいいのです。難しいことじゃない。単に聞き上手になるのです。
人って、なんだかんだいってやっぱり話を聞いてもらいたいですよね。仕事でも色々あるし、言いたいこともいっぱいあるし。ちょっと息抜きでおしゃべり、というのは誰にでも必要。絶対。ならば、雑談がうまくなくても聞き上手になればいいだけです。
ちょっとそもそも論になりますが、この質問をされた方は「雑談ができる人間になりたい」と思っているのかどうか?ここ、ポイントですね。
もしもYESならば、今は学ぶことがかなり容易です。バラエティー番組で場を回すことが上手い漫才師や芸人さんに学ぶといいと思います。
彼らはお金をとってやっているんですから、その道のプロ。こんなにいい手本はいません。好きだなあと思える人をとことん真似るといいですよね。
でも、もしも「いや、雑談できるようになりたい、と本気で思っているわけじゃない、できれば黙っていたい」というNOでならば、無理に雑談上手になろうとする必要はないですよね。雑談が上手くなりたいのは、相手と良いコミュニケーションを取りたいから、という本来の目的があるわけでしょうから。
であれば、手段を「雑談する」に限定する必要はない。自分の個性、すなわち、人の話を聞いたりするほうが得意なら、その力を使わないのは勿体無いです。
私がよく知っている生保のスーパーセールスマンの方はすご~く聞き上手です。その人に会うと、なんだか話を聞いてもらいたくなってしまう。つまり「会いたくなる人」なんですよね。
雑談がうまくて「また会いたい」と思える人もいるでしょうけど話を聞いてもらえるから「また会いたい」というのも当然アリですよね。
無理に誰かになろうとするのではなく、自分にできることを精一杯するのが一番お客様に喜んでいただけることにつながると思います。
最後に。
「話す前に、聞く力」
これはコミュニケーションにおいて最も大事なことです。どうぞ、お忘れなく。 (この記事はメルマガ『スピーチコーチ・森裕喜子の「リーダーシップを磨く言葉の教室」』4月22日号の一部抜粋です。この続きをお読みになりたい方はご登録ください。初月無料です)
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