客層もカネも大違い。国や自治体が「カジノ」を誘致したがる裏事情

 

永江さんからの回答

これはとても面白い質問ですね。カジノは国内の公営ギャンブルとは狙っている層が全く違い、外国から観光客を呼び込むために作られているものです。海外の富裕層に観光に来てもらって、旅客・宿泊・飲食・サービス業を潤すためのものなので、地方自治体の公営ギャンブルとは違う大きな経済効果が期待できます。大阪のIRも面積ではカジノは5%くらいのはずです。

まず日本の公営ギャンブルって(言葉は悪いですが)日本の労働者階級に向けたものです。競馬や競艇、競輪などがCMを打って設備をきれいにして伸びてはいますが、外国人に向けているものではありません。

競馬はどの馬が勝つか日本のレースの戦績や血統など見て予想しなければ楽しめませんし、オートレースはくじで決まるエンジンの性能や選手のメンテナンス能力まで評価しなければならず玄人向きです。しかも大穴ばかりで、どちらも外国人が観光で寄って楽しめるようなものではありません。実際、東京競馬場に外国人なんてほぼいませんし、我々がスペインに旅行に行って毎日闘牛場に通いたいかというとそうではないですよね。

その点カジノなら、世界共通のルール・遊戯ですし、現地の労働者にまみれることなく楽しめるので海外観光客・特に富裕層の需要が期待できます(日本人の入場料で6,000円取るのも、パチンコ屋にいるような客層がカジノに入ってきてほしくないからです)。

カジノで大金を使ってもらうことが目的ではなく、カジノもあることを一つの魅力として日本に来てもらい、旅客・宿泊・飲食・サービスなどを利用してお金を落としてもらうことが目的です。日本人が旅行するときも、ラスベガスやマカオに行ったらずっとカジノに入り浸るわけではなく、1日だけカジノに行ってその他の日程は観光しているのと同じです。カジノはインバウンド需要獲得の一手段なんです。

日本は人口減少で内需も減り、メーカーも製造拠点を海外に移して空洞化し働き手の若者もいないので、インバウンドの観光業を事業の柱にしようとしてコロナ前から進めています。その中で、カジノ設置は、他の海外都市に観光の魅力が劣らないようにする(香港もマカオもタイもシンガポールも韓国も台湾も中国も韓国もオーストラリアも、北朝鮮でさえどの国もカジノがあるので、カジノがないからと日本を忌避されないようにする)必要があって進められているものですね。

長くなりましたが、今の日本の自治体がやっている公営ギャンブルをどれだけ磨いても外国人観光客を呼び込むことにはつながらないので、カジノ設置が進んでいるのだと思います。

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