10代がヒロポンを使用する韓国の闇。深刻すぎる隣国の「麻薬事情」とは

 

「今、韓国では中高生にも麻薬が蔓延している」と話すのは、無料メルマガ『キムチパワー』で、韓国在住歴30年を超え教育関連の仕事に従事する日本人著者です。今後、どう対策すべきなのか?韓国の国立科学捜査研究院(国科捜)で麻薬鑑定を行うスペシャリストの話を引用し、紹介しています。

10代の麻薬使用者が急増

国立科学捜査研究院(国科捜)のイ・ジェシン毒性学課長は26年間毒性学を研究してきた「ベテラン」だ。だが、依然として鑑定書一つを送る度に「刃の上を歩く気分」と話した。国科捜の鑑定結果で一人の人生が変わる可能性もあるからだ。

イ課長は「それでも私が書いた鑑定書で事件が解決され、世の中がまともに進んでいるということを感じる時、最も大きなやりがいを感じる」と話す。彼は分析して研究するのが好きで1997年2月、国科捜に入社した。入社前までは国科捜がどんなところなのか知らなかったという。その一方で「26年もいたということはそれだけ適性に合っていたという話でしょう」と話した。イ課長に5月上旬、国立科学捜査研究院原州本院で会った(下は国民日報記者との一問一答)。

――課長になってちょうど1か月が過ぎた

「課長昇進のニュースが知らされた時『おめでとうございます』という挨拶もきたけど、今毒性学科の状況を少しでも知っている方々からは『ご苦労様ですね』という話をもっと多く聞いた。昨年、国立科学捜査研究院に入ってきた麻薬鑑定依頼量が8万9033件だ。ところが鑑定依頼を担当している研究人材は他の部署から志願した人員2人を含め22人だけだ。本来課長は行政業務だけを処理するが、毒性学科長は行政業務とともに麻薬鑑定依頼研究も同時に行うしかない状況だ」

――国立科学捜査研究院の麻薬白書を見ると、最近新型麻薬類の増加が目立つ

「麻薬流通犯には新型麻薬が摘発されないという認識がある。麻薬の場合、法に確実に規定されてこそ規制や処罰ができるという点を狙ったものだ。当局が新型麻薬を発見し、これを摘発できる検査キットを出せば、麻薬犯らは麻薬の分子配列だけを少しずつ変えながら新しい麻薬を市場に出す方式で監視網を避けていく」

――新型麻薬類の一つが合成大麻

「合成大麻の場合、流行がとても早い方だ。例えば、Aという合成大麻を作って広める際に当局がこれを摘発して規制すれば、分子配列だけを少し変えてA’という合成大麻を新しく流通する方式だ。実際、合成大麻が初めて世の中に登場した2009年には麻薬だが、法にはひっかからないということで全世界的にこれを「リーガルドラッグ」(legal drug)と呼ばれたりもした」

――フェンタニルも社会的問題として浮上している

「フェンタニル(Fentanyl)は致死量がヒロポンより非常に少ない。少しでも間違えると、0.01グラムの差でも死亡する可能性がある。全く死ぬ気がなかった人が一度楽しむために麻薬をやって死ぬこともありうるという意味だ。前回(投薬)した時は大丈夫だったので、今回も大丈夫だという保障もなく中毒性もあまりにも強いため、一度始めたらやめられなくなるのがフェンタニル類だ。米フィラデルフィア・ケンジントンの「ゾンビ通り」が韓国で登場しないという保障はない」

――流通犯が絶えず新しい麻薬を作る理由は

「彼らの目的はひたすら『お金』だ。問題は分子配列を変える時、麻薬の効果が10分の1に減ることもありうるが、100倍以上に跳ね上がる可能性もあるという点だ。麻薬流通犯は効果が100倍以上強くなった麻薬で、人が死んでも全く気にしない。彼らは、自分たちが製薬会社でもなく、責任を負う理由もないと考えている。米国で麻薬による死亡者が多いのもこれと関連がある」

――韓国の麻薬流通量のうち、ヒロポンが1位である理由は

「習慣のようなものだ。韓国でも特定焼酎ブランドだけを求める高齢者がいる。『チョウム・チョロム』を召し上がる方は、『チャミスル』はあまり飲まない。似たようなものだ。自分に馴染みのあるものを探すようになり、またヒロポンの場合は昔からあったので手に入れるのも相対的に簡単だ」

――10代のヒロポン投薬事例も増えている

「それだけ韓国で麻薬へのアクセスが簡単になり、入手しやすくなったという話だ。もちろん韓国は米国のような外国に比べて麻薬統制がよくできている方だ。しかし、今の状況で麻薬を統制できなければ、幾何級数的に韓国社会に麻薬が広がりかねない。解剖死体から麻薬類が検出される件数も、この3年間で60.47%も増加した。我々は今、重要な岐路に置かれている」

――新任毒性学科長としての目標は

私たちは現場で活躍している捜査官に科学的根拠という砲弾と弾丸を提供する役割をする。敵軍が新種麻薬という新兵器を作るたびに、我々もこれに対抗する新しい新兵器を開発しなければならない。新型麻薬探索のためのプラットフォームを開発し、麻薬流通モニタリング室も運営する必要がある。今は毒性学科が麻薬まで担当しているが、国立科学捜査研究院内に『麻薬対応科』を新設するのが目標だ」

今韓国では、高校生、中学生にまで麻薬が蔓延している。対策が急がれるところだ。

(無料メルマガ『キムチパワー』2023年5月16日号)

image by:Shutterstock.com

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韓国暮らし4分1世紀オーバー。そんな筆者のエッセイ+韓国語講座。折々のエッセイに加えて、韓国語の勉強もやってます。韓国語の勉強のほうは、面白い漢字語とか独特な韓国語などをモチーフにやさしく解説しております。発酵食品「キムチ」にあやかりキムチパワーと名づけました。熟成した文章をお届けしたいと考えております。

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【著者】 キムチパワー 【発行周期】 ほぼ 月刊

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