バイデンがF16供与に乗り気になった裏事情
中国やロシアなど非米側も全体主義的なところがあるが、非米側は米覇権からの攻撃に対応防御するために全体主義をやっているところがあり、米覇権が崩壊すると非米側も非ナチ化される。米国がいなくなると、日本人も過去の言動をあっさり忘れて中露を敵視しなくなる。
● Bill Maher Blasts “Intellectual Cowardice” Of Those Who “Just Fall In Line” With Woke Madness
ウクライナ戦争は軍事的にバフムト陥落で一段落した。しかし、政治的な意味でのウクライナ戦争はまだまだ続く。
バフムト陥落と同期してゼレンスキーが欧州やサウジアラビアや広島など世界を回り、米国側の諸国はウクライナ支援継続を宣言させられた。
アラブ諸国も5月19日のサミットでゼレンスキーに演説させたが、アラブの対応は冷ややかで、シリアのアサド大統領に対する大歓迎と合わせ、むしろアラブ諸国が対米自立したことを示すものとなった。
● Ukraine’s Zelensky in Saudi Arabia for Arab League summit
米国(諜報界の隠れ多極派)とロシア(プーチン)は(相互作用を感じつつ)別々に、軍事的に終わっているウクライナ戦争を、政治的(プロパガンタ的)にどう継続していくかという策略を考えているはずだ。
策略の試みとおぼしきものがいくつか出てきている。一つは、米国側がF16戦闘機をウクライナに送る話だ。この話は数か月前から出ていたが、これまで消極的だった米政府が最近急に乗り気になって決定した。
● Biden Taunts Russia At G7 When Asked About “Colossal Risk” Of Escalation
F16の送付には、ウクライナ空軍パイロットの訓練を中心に、数か月の時間がかかる。NATOのどの国が保有するF16を送るかも決まっていない。
F16がウクライナに配備されるまで「配備されたロシアを潰せるぞ」とか、逆方向の「F16投入で劣勢になるロシアがNATOに反撃して世界大戦になるぞ」といった喧伝・騒動が続けられ、政治的にウクライナ戦争を継続できる。
● F-16s won’t fundamentally alter the course of Ukraine War
実際は、F16が配備されても戦況は変わらない。ウクライナ空軍はF16と似た性能であるSu27の部隊を持っているが、制空権を露軍に握られ続けて劣勢のままだ。
投入されるF16は使用耐用年数がすぎたポンコツなものになる見通しで、F16が初体験のウクライナはうまく整備できない。F16は気まぐれな飛行機で、もともと整備が難しい。
数か月のパイロット訓練では最低限しか教えられない。ソ連製戦闘機の操縦経験がむしろ邪魔になる。
飛んだら露軍に簡単に撃墜されて終わる可能性が高い。しかし、それまで1年間ぐらいは戦争状態を維持できる。
● Scott Ritter: Sending F-16 to Ukraine Will Backfire
5月25日には、ウクライナ軍内のロシア人部隊が国境沿いのロシア側(Belgorod)に潜入して破壊攻撃を行ったことが報じられた。これはウクライナ軍の正式な動きでなく、軍内のロシア人部隊が勝手にやったとされているが、攻撃には米国が送った装甲車が使われた。
● Ukraine attacks in Russia should be an alarm bell for Washington
ウクライナはこれまで自国内に侵攻してきた露軍と戦ってきた。それが、ウクライナがロシア領内を攻撃する戦争に発展すると、ウクライナを軍事支援している米国NATOが直接ロシアと戦争している「世界大戦」の構図に一歩近づく。
そのため米政府はウクライナに対し、露領内への攻撃を禁じてきたが、その禁が「軍内の一部が勝手にやったこと」として(米国の隠然容認を経て)破られていく。実際の攻撃は小規模で、数人の負傷だけにとどまったが、世界大戦への接近という政治的な衝撃は大きい。
この手の攻撃が繰り返されることも、軍事的に終わっている戦争を政治的に長期化する策になる。
● Ukraine-Backed Saboteurs Launch Cross-Border Raid in Russia’s Belgorod Region









