「バフムト陥落」でプーチンの勝利。それでもウクライナ戦争を終わらせない米国が覇権を失う日

 

無能なふりすらも作戦。プーチンの「偽悪戦略」

激戦が続いていた今年3月末、ゼレンスキーは「露側がバフムトを陥落したら、ウクライナ(と米国側諸国)の厭戦機運が高まって戦闘を続けられなくなり、露側と和解せざるを得なくなるかもしれない」と言っていた。

Zelensky Says if He Loses Bakhmut, He Will Be Pushed to ‘Compromise’ With Russia

米政府内でも「バフムトが陥落したらウクライナの勝利が遠のき、米欧による支援継続が難しくなる」と考える傾向が強かった。バフムトは、戦争の勝敗を決める天王山だった。

ウクライナ政府は、バフムトで盛り返す反攻作戦をやるやると言いながら結局やらずに陥落に至った。これでウクライナ戦争は軍事的な決着がついた観がある。

Zelensky Says if He Loses Bakhmut, He Will Be Pushed to ‘Compromise’ With Russia

ロシア側でバフムトの戦闘を主に戦っていたのは民兵団のワグネルで、政府軍は補助的な存在だった(ワグネルも諜報や補給は政府軍に依存している)。ワグネルと政府軍の間には、バフムトの戦闘に対して温度差があった。

ワグネルは、できるだけ早く勝ちたいと考えていたが、政府軍を動かすプーチンの露政府は、戦争状態が長引いた方が米覇権の崩壊が加速し、露中や非米側の結束と台頭も進むのでゆっくり勝ちたいと考えてきた。

Inside the ‘Bakhmut meat grinder’: How Russia forced Ukrainians to retreat from Artyomovsk, their supposed ‘fortress’ in Donbass

露政府は開戦直後から、わりと楽に勝っているのに苦戦しているふりをしたり、有能なのに無能なふりをする「偽悪戦略」をやってきた。

プーチンの偽悪戦略に乗せられた人類

ロシアはこの戦略によって優勢な状態で戦争を長びかせ、米欧が「もうすぐロシアを倒せる」と勘違いして頑張りすぎて軍事経済の資源を浪費し、非米諸国が米欧に愛想を尽かして米覇権が崩壊する流れを作ってきた。

CIAなど米諜報界は隠れ多極派が牛耳っているので、配下のマスコミを動員して、ロシアの偽悪戦略に(わざと)まんまと騙される姿勢をとり続けている。

The Western Media Disinformation Campaign: Fall Of Bakhmut, A Case In Point

米諜報界は、ゼレンスキーのウクライナ政府に「武器弾薬や兵士を、全力で前線に投入し続けろ。武器弾薬や資金が足りなくなったら、欧米政府を加圧恫喝して供出させろ」とけしかけてきた。諜報界の一部である米欧日マスコミは、ウクライナ支援を渋る同盟諸国政府を容赦なく非難し、支援を強要した。

欧米がウクライナの前線に送り込んだ大量の武器弾薬は、ウクライナ軍を操る米諜報界(多極派)によって、露軍が簡単に攻撃して破壊できる位置に意図的に置かれ、露側に撃ち込まれる前に多数が露軍によって破壊された。

Ukraine sent untrained conscripts into Donbass ‘meat grinder’ – WSJ

米国の軍事産業はフル操業が続き、軍産複合体とその傀儡議員らは大喜びでウクライナ戦争を全力支持した。露軍は今にも負けそうな演技を続けた。しかし実際は、欧米がいくら武器弾薬を送り込んでも、隠然としたロシアの優勢が続いた。今にも負けそうになっているのは欧米やウクライナの側だった。

ウクライナで兵器を浪費し尽くし和平を余儀なくされる米国側

プーチンの露政府と露軍は、劣勢のふりをしつつ隠然と優勢で、米国側を自滅させていく偽悪戦略をできるだけ長く続け、米覇権の崩壊と多極化・露中や非米側の台頭を進めたかった。米国の隠れ多極派も、ウクライナ軍に反攻させ、バフムトの戦いの膠着を演出したかった。

そこに殴り込んできたのが、資本家のプリゴジンが軍資金を出してロシアの監獄にいる囚人らを集めて作った傭兵団のワグネルだった。

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