兵器不足と財政難で「非武装化」される西側諸国
ワグネルは、4月末にバフムト市街の95%を占領し、プリゴジンが「アルティモフスク(バフムト)はもうすぐ陥落するから、露政府は勝利宣言してウクライナ戦争(特殊作戦)を終わらせるべきだ」と表明した。
だがプーチンら露政府はプリゴジンの要請を無視した。プリゴジンによるとその後、露軍はバフムトでの戦闘を全てやめてしまい、露政府はバフムトのワグネルに弾薬を送らなくなった。バフムトの戦いを膠着させる演技をして戦争状態を長期化したい露政府にとって、ワグネルの活躍はありがた迷惑だった。
● Head of Russia’s Wagner Group Says We Are Starting to Get Ammunition
プリゴジンは、政府軍の戦闘中止や弾薬不足の放置について公式に不満を表明した。露政府は仕方なく弾薬供給を再開し、ワグネルはバフムト市街の最後の5%をウクライナ軍から奪い、5月20日にバフムトを解放(陥落)した。
プーチンはバフムトを称賛した。露政府の建前は、できるだけ早くウクライナに勝つことだから、称賛しないわけにいかなかった。
● 露政府がウクライナの激戦地に武器弾薬を十分に送ってない、という演技??
ワグネルと露政府は親密だ。ワグネルはアフリカなどの親露的な諸国に進出してその国の軍隊を助けることもやっており、露軍がやれない非公式な軍事行動を世界的に展開している。露政府はワグネルに感謝し、ワグネルは露政府に忠誠を誓っている。
● US Plans Hybrid War Vs Wagner In Africa
全体的にはそうだが、バフムトでの状況は変則的だ。プーチンがプリゴジンに裏の戦略を説明して戦線膠着の演技に協力してもらうことはできたはず(米覇権を破壊する偽悪戦略はロシアの国益に沿っている)。しかし、そうならなかった。裏戦略の漏洩を恐れたのかもしれない。
● Wagner Chief Clarifies That Only His Forces Making Gains In Bakhmut
プリゴジンは最近、露政府のやり方に批判的だ。彼は「露政府は、ウクライナを非武装化するために開戦したのに、それは米欧がウクライナに大量の兵器を送って武装を増大させる逆効果を招いた」「露政府はウクライナを非ナチ化(懲悪)するはずだったのに、世界(米傀儡諸国)がウクライナを良い国として支持する結果を招いている」と語っている。
● Wagner Chief Reveals 20,000 Of His Fighters Killed At Bakhmut, Says Putin’s War Has Backfired
● With Bakhmut Hanging In Balance, Will Putin Order Takedown Of Wagner Boss?
それは、確かにそうだ。しかし、もっと広い観点で見ると逆のものが見えてくる。欧米はウクライナに大量の兵器を送り続け、露軍がそれを破壊し尽くすことで、この戦争はウクライナの背後にいる欧米を兵器不足と財政難に陥らせて「非武装化」している。
欧米の軍事産業は今後5年ぐらいフル稼働しないと開戦前の兵器在庫量に戻せない。これからドルが崩壊していくと、米欧は財政力が低下して軍事産業の長期のフル稼働ができなくなる。
米国側は、この戦争によって兵器の保有量が減って「非武装化」されていく。いずれ米国側は覇権低下でウクライナを支援できなくなり、ウクライナも非武装化される。この戦争は長期的に、ウクライナだけでなく米国側全体を非武装化する。
米国側では「ロシアは追い詰められたら核兵器を使うぞ」と言われている。だが戦争の長期化で実際に追い詰められていくのは米国側だ。ドル建て金融が崩壊し、資源類を握る中露非米側が世界経済の中心になる。
米国は、内戦や社会方向など大混乱になり、特に民主党側が核兵器を使いたがるようになる。トランプや孤立主義の方がましだ。
● Zelensky Admits Ukraine Already Ran Out Of Ammo









