「鈴木邦男さんを偲び語る会」のスピーチで感じた辛淑玉氏の復活

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2017年に放送されたTOKYO MXの番組「ニュース女子」を名誉毀損で訴えた辛淑玉(シンスゴ)さんの勝訴が、5月1日に確定しました。番組側による沖縄の反基地運動を煽っているとのデマにより、ドイツに避難するほど傷ついた辛さんが「ようやく元気になってきた」と語るのは、共に市民団体「のりこえねっと」の共同代表に名を連ねる評論家の佐高信さんです。今回のメルマガ『佐高信の筆刀両断』では、「鈴木邦男さんを偲び語る会」でのスピーチや、衆議院法務委員会で放った鋭い発言を紹介し、その人柄を伝えています。

辛淑玉への卑劣な攻撃

辛淑玉が彼女への卑劣な攻撃に勝訴した。2017年に東京MXテレビが沖縄の反基地運動を辛がカネを出して煽っているような報道をし、「在日という出自を利用して沖縄差別をあおるデマ」に怒って彼女が訴えた。

しかし、彼女への脅迫は強まり、家族まで危険にさらされるような状態になって、一時、彼女はドイツに避難した。自分たちがカネをもらってやっているから、身銭を切って反対する気持ちが攻撃する者たちにはわからないのだろう。

その辛がようやく元気になってきたなと思ったのが、4月2日の「鈴木邦男さんを偲び語る会」でのスピーチだった。

「私の隣に佐高信、そして宮崎学、そっちに鈴木邦男とセクトたち。この面子でいつも盗聴法反対とか暴対法反対とか様々な記者会見や集会の時に並ぶんですね。どう見ても朝鮮人にヤクザに右翼に左翼に過激派じゃないですか」

と笑いをとった彼女は、講演会の打ち上げで鈴木と歌ったことがあると言い、何を歌ったかと松元ヒロに問いかけた。ヒロが「アリラン」と答えると、首を横に振り、「ここが左翼の限界かもしれませんね」と笑う。

会場から「ふるさと」と声がかかったら、やはり首を振り、「これも右翼の限界かも」といなした。「イムジン河!」には「まったくダメですね」で爆笑。

「君が代」にようやく彼女は頷いて「大きな拍手をお願いします」と言った。

「では、もう一曲は?」に会場は沈黙したので、彼女が「金日成将軍の歌」を一緒に歌ったというのはちょっとした驚きだった。

鈴木には“邦男ガールズ”と呼ばれる親衛隊がいた。それで彼女は友人と、なぜ自分たちは入れなかったんだろうと話したという。それには会場から「年齢制限!」と野次がとんだ。

差別を乗り越えるネットワークの「のりこえねっと」を辛が発足させる時、鈴木も私も共同代表になった。鈴木は辛の依頼にイエスと即答したが、理由は「辛淑玉が怖いから」だったとか。

1999年8月3日、辛は衆議院法務委員会に参考人として呼ばれて、こう言った。

「呼んでいただいて、本当にありがとうございます。来た瞬間から、何と面白い所だと思いました。寝ている人はいるわ、他の仕事をしている人はいるわ、お話している人はいるわ、遅刻する人はいるわ、出たり入ったりする人はいるわ、これは学級崩壊そのもので、子供は真似たのでしょう。二度と来ないと思いますが、私の手元に皆さんの座席表がありますから、態度の悪い人はちゃんと覚えておくつもりです」

『AERA』の「現代の肖像」からの引用だが、私はそこで「彼女を倒れさせたら我々日本人の恥だよ」とコメントしている。

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