開催まであと10日あまりに迫った、日米韓首脳会談。大統領山荘であるキャンプ・デービッドに海外首脳を招くのはバイデン政権発足以来初とのことですが、バイデン氏が日韓首脳を歓待する思惑はどこにあるのでしょうか。今回のメルマガ『在米14年&起業家兼大学教授・大澤裕の『なぜか日本で報道されない海外の怖い報道』ポイント解説』では著者の大澤さんが、「アメリカの狙い」を海外有力紙の記事を引きつつ解説。さらに大澤さん自身が、同会談後に出される共同声明が海外でどう報じられるのかに注目すべき理由を記しています。
日韓首脳会談の行方と報道
お盆明けの8月18日に米国バイデン大統領はキャンプ・デービッドに日本の岸田首相と韓国のユン大統領を招いての会談を開きます。
バイデン大統領がキャンプ・デービッドに海外首脳を招くのは初めてだそうです。米国の気合の入り方が分かります。
そこで何が話合われて、どのような発表がされるのでしょうか?
2023年8月4日の香港サウスチャイナモーニングポストを見てみましょう。
表題:日韓は「歴史的」安全保障同盟を締結できるか?
米国は8月18日、岸田首相と韓国のユン大統領をキャンプ・デービッドに招いて両国の防衛に関するコミットメントをより明確にするよう説得したい考えだ。
しかしアナリストは正式な2国間安全保障同盟の締結は難しいだろうと見ている。
専門家によれば、このような協定はまだ多くの障害に直面しており、特に「アジアのNATO」に対する他の地域大国からの反対は大きい。
バイデン米大統領は東京とソウルが攻撃を受けた場合、それぞれの政府が他方の政府と協議する義務を負う協定を結ぶよう提案すると報じられている。
8月2日付のフィナンシャル・タイムズ紙は、バイデン氏が首脳会談の最後に「歴史的な共同声明」を出すことを望んでいると報じた。
解説
米国は日本と韓国に軍事的に連携してほしいのです。それはなによりも中国が現実の脅威となったからです。
韓国は、アジアにおける西側同盟のウイークリンク(一番弱い部分)です。中国は韓国に硬軟混ぜた圧力をかけつづけるでしょう。
韓国を西側に押しとどめていくためにも、日韓の関係改善と連携は米国にとっても急務なのです。
そしてそれは日本にとってもよいことです。
共同声明では、日米韓のホットラインの設置、より頻繁な日米韓演習、サイバーセキュリティとミサイル防衛の取り組みの共有なども発表される見込みだという。
日本が最も懸念しているのは、ユン大統領が1期限りで退任した場合、次の韓国政府が日本との安全保障同盟に熱心でなくなることだという。
東京とソウルは2015年、韓国の「慰安婦」問題を「最終的かつ不可逆的に」解決する合意に調印した。文政権は2019年、この合意を一方的に破棄した。
「東京は、ソウルの新政権が2、3年後に新たな安全保障協定を反故にすることを止められるのか、と自問している」と東京大学、山口亮助教授は語った。
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解説
韓国は政権が変わると日本との合意を破棄した前例があります。
米国が立ち合い人となることによって、破棄がしにくくなるという事はよいことです。
それとは別にひとつ関心があります。
日韓で何らかの合意をしての共同声明ですが、それが日本と海外でどのように報道されるかです。
昨年10月、岸田首相とオーストラリア首相との安全保障について会談後、日本の新聞では「新安保宣言に署名」という報道をしていました。
しかし一部の海外の新聞は「条約(pact,treaty)に調印」と書いています。
「条約」なら国会の承認が必要なので日本語訳では「宣言」としたのであって、実質的には条約である可能性があります。
このように海外報道では日本報道では分からないボカしている点をはっきり書くことがあります。
今回の米大統領立ち合いの下での日韓首脳会談。その共同声明を海外がどのように報道するか興味あるところです――(この記事はメルマガ『在米14年&起業家兼大学教授・大澤裕の『なぜか日本で報道されない海外の怖い報道』ポイント解説』8月6日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はこの機会に初月無料のお試し購読をご登録ください)
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