世の中の無知につけこむ警察とマスコミの“煽り”。日大「大麻問題」の印象操作

tv control in the handtv control in the hand
 

アメフト部員が逮捕され騒動になった日本大学の大麻問題。これに、メルマガ『和田秀樹の「テレビでもラジオでも言えないわたしの本音」』の著者で精神科医の和田秀樹さんは、マスコミと警察が世の中の無知につけこんでいるのではないか?と持論を展開しています。

世の中の無知につけこむ悪辣マスコミと警察

警察やマスコミが一般市民の無知につけこんで印象操作をやっていることに大麻問題がある。

私も、最近、初めて知ったのだが、大麻は所持は罪になるが、使用は罪にならない。

もちろん使用していたということは所持していたことを意味するので、警察で事情聴取は受けることになるだろう。

大麻の常習者はこういうときの言い逃れを知っている。

「みんなと一緒にやったので、俺は持っていなかったけど、そいつにもらった」

現行の法律では、自分で持っていたことを証明しないと、起訴できないし、有罪にもできない。「そいつが誰か言わないと逮捕するぞ」とか「そいつが誰か教えないとお前が持っていたことになるぞ」という脅しはできない。そんな嘘を言っての自白強要は、逆に警察のクビが危うくなる。

ただ、一般の、常習もしていない、たまたま遊びでやっていた学生は、そんなことは知らない。

ひょっとしたら先輩から、「お前がもっていてやったといったら罪になるから、捕まったら仲間とやったと言え」くらいの知恵はつけられているかもしれない。

学生に大麻が蔓延している中、学生の間では、使用では罪にならないことくらいは常識なのかもしれない。

だから、平気で「やった」と告白するし、もっと賢い人間なら「仲間とやった」といいふらすだろう。

こんな人を抱える学校の側からしたらたまったものではないが、慣れている学校では、学長がHPで遺憾のコメントを出すだけで、記者会見などは開かない。めったにこういう事件が起こらない、まじめな学生の多い学校では、あわてて記者会見を開いて、マスコミの袋叩きにあう。たとえば、日大は7万人も学生のいる大学なのだから、今の大麻のまん延状況からみれば1,000人に一人くらい、使用者がいても不思議でないが、たった一人で大騒ぎになる。

それだけ学生が真面目だという証拠だと思うが、確率でものを考えないマスコミと国民には通じない。

マスコミも警察も、大麻の使用が罪にならないことくらい知っているはずだが、国民がそれが犯罪だと思っていることを利用して、煽り報道をする。

私の大好きな泉谷しげるさんも、おそらく無知のために、いい加減なコメントを出していた。

押収した大麻を提出しなかったことについて、「要は尿検査で使用した証拠が出ないようにしただけだろ。明らかに隠蔽」との話だが、尿検査で陽性が出ても逮捕はできない。

去年の7月に使用を認めた学生がいたのに、部内で処理したことになっているが、実は警察に相談している。そして、その警察から事件化が困難だから十分に注意をするように指導を受けたのが事実だ。その後、警察も動きを見せて講習会も行っている。

こういうことについては、記者会見でもはっきり伝えたことだが、警察にしても、使用では刑事事件化できないから、所持の事実が確認できないと動けないというのが本音だろう。

ただ、世論もあるし、世の中の、とくに大学生の間での大麻のまん延に手をこまねいている印象を与えたくないので、急に態度を硬化させ、7月に使用の自主申告をした人間がいたのに何もしなかったと、マスコミを使って日大を叩くことになったということなのではないかと思う。

この記事の著者・和田秀樹さんのメルマガ

初月無料で読む

image by: Shutterstock.com

和田秀樹この著者の記事一覧

高齢者を専門とする精神科医、学派にとらわれない精神療法家、アンチエイジングドクター、そして映画監督として、なるべく幅広い考えをもちたい、良い加減のいい加減男。

有料メルマガ好評配信中

  初月無料お試し登録はこちらから  

この記事が気に入ったら登録!しよう 『 和田秀樹の「テレビでもラジオでも言えないわたしの本音」 』

【著者】 和田秀樹 【月額】 ¥880/月(税込) 初月無料! 【発行周期】 毎週 土曜日

print
いま読まれてます

  • 世の中の無知につけこむ警察とマスコミの“煽り”。日大「大麻問題」の印象操作
    この記事が気に入ったら
    いいね!しよう
    MAG2 NEWSの最新情報をお届け