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マーケティングのプロが解説。なぜ「コラボ書店」は集客で大成功したのか?

アマゾンの台頭や本離れの影響で、大打撃を受けているとされる実店舗型書店。そのような状況を尻目に、堅実な業績を上げているリアル店舗が九州地区に存在することをご存知でしょうか。今回のメルマガ『理央 周の売れる仕組み創造ラボ【Marketing Report】』ではMBAホルダーの理央 周さんが、そんな企業の顧客に響くプロモーションを紹介。さらにそこから学べる「今必要なマーケティングの姿」を解説しています。

AI時代のリアル書店はどんな打ち手が必要か?コラボ書店に学ぶ自社ビジネスの定義の重要性

先日、日経新聞(23年9月4日)に、「コラボ書店、にぎわい増刷」という記事がありました。カルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)のフランチャイジーとして、25店舗を運営するニューコ・ワン(熊本市)の事例です。記事によると、

電子書籍の浸透や動画など競合コンテンツの台頭を受け、書店数は約20年間でほぼ半減。書店ゼロの自治体も26%に達した。逆風が続くなか、消費者が気軽に立ち寄れる強みを生かし、本+αの経営スタイルを築こうとしている。

 

「いらっしゃいませ、チーズはいかがですか」。7月、宮崎県高鍋町にある「TSUTAYAたかなべ店」に、明るい声が響いた。声の主は地元の高鍋農業高校の生徒たち。約1カ月間かけて手作りしたチーズなど乳製品の販売会を開催した。

 

あっという間に店内には長蛇の列ができ、チーズ約150個、ヨーグルト約200個がほぼ完売。近くに住む甲斐愛さん(44)は「おいしかったので、並び直して追加購入しちゃった」と話す。

とのことです。

このところ、ECの浸透や本離れが進んでいて、苦戦していると言われているリアル書店。

書店業界は、どんな打手を打てばいいのか、そのために何を事前に準備すべきか、というマーケティングについて、考えていきましょう。

まずは、現状のリアル書店の問題点について、いくつかリストアップしてみます。

  1. 顧客・訪問者数の減少:オンラインショッピングの普及で、店に足を運ぶ人が減っています
  2. 売り上げの減少:電子書籍やオーディオブックの台頭で、紙の本の売り上げが減っています
  3. 店舗運営コスト:家賃や人件費が上がる一方で、収益は減っています

このような問題の背景には、

といった、自社を取り巻く環境の変化に、大きく影響されていることが見えて取れます。

これまで多くの書店は、集客するために、著名な作家のサイン会や読書会などの、イベントを開催したり、オンラインと連携させ、WebサイトやSNSでのプロモーションを実施したり、「書籍を売る」ための販売促進を行ってきました。

これ以外にも、カフェを併設し、長居を促したり、SNSでの読書感想コンテストを実施したりもしています。

また、ポイントが貯まる、メンバーシップサービスの導入で、顧客サービスを充実させたりもしています。

これらのイベントは、古くからの顧客や、著者のファンにとって、とてもありがたいイベントです。

一方で、書店に馴染みのない顧客や、新規顧客には、なかなか到達のしづらい、販売促進になります。

なぜなら、自社を“本を売るための場所”と定義している上でのプロモーションなので、書店から離れた顧客や、今は書店の良さを知らない顧客には、響かないからです。

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先述のコラボ書店の事例では、自社を、本を売る場所ではなく、“本の中にある暮らしを提供する場所”と定義しているのです。

なので、この書店がいう通り(記事より引用)「場を創ることで体験に来る、応援に来るなど動機が増え、新しいお客さんに来ていただけている」という好循環が生まれるのです。

売り上げが低迷してくると、どうしても目先の利益の追求しがちです。

もちろんそれも大事なことですが、そういうときこそ、一旦自社ビジネスを見つめ直し、「うちの会社がビジネスを理由やっているは何か?」という原点を見つめ直し、そこから広く、柔軟な目線で、ビジネスを再定義することで、前述のコラボ書店のようなアイディアに、繋げて行くのです。

書店が直面する問題は深刻ですが、こうやって考えてみるとまだまだ解決策はあります。

イベントやオンラインとの連携、カフェや成果販売など多機能化など、顧客に新しい価値を提供することから始めるのがポイントです。

また、成功と失敗の事例をしっかり学び、固定観念にとらわれることなく、市場の動きに柔軟に対応する力も必要です。

マーケティングは売り込むのではなく、顧客に自然に買ってもらえる仕組みを作るもの。

それが、今回のコラボ書店の事例から学べる、今必要なマーケティングの姿です。

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image by: Ned Snowman / Shutterstock.com

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