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人気も人望もなし。それでも“ドリル優子”が初の女性総理を目指すべき理由

9月13日、支持率上昇を期待し内閣改造・党役員人事を行った岸田首相。その効果は得られなかったと言っても過言ではありませんが、見るべきポイントは多々あったようです。政治学者で立命館大学政策科学部教授の上久保誠人さんは今回、「岸田人事」の複数の注目点を挙げ各々について詳しく解説。さらに選対委員長に抜擢された小渕優子氏が日本初の女性首相を目指すべき理由を詳説しています。

プロフィール:上久保誠人(かみくぼ・まさと)
立命館大学政策科学部教授。1968年愛媛県生まれ。早稲田大学第一文学部卒業後、伊藤忠商事勤務を経て、英国ウォーリック大学大学院政治・国際学研究科博士課程修了。Ph.D(政治学・国際学、ウォーリック大学)。主な業績は、『逆説の地政学』(晃洋書房)。

支持率ダダ下がりの岸田政権「付け焼き刃の内閣改造」を斬る

岸田文雄首相は、内閣改造・党役員人事を断行した。党役員には、麻生太郎副総裁、茂木敏充幹事長、萩生田光一政調会長が留任。総務会長に森山裕選挙対策委員長が、選対委員長に小渕優子組織運動本部長が起用された。内閣人事では、松野博一官房長官、鈴木俊一財務相、西村康稔・経済産業相、河野太郎デジタル相、高市早苗経済安全保障担当相が留任した。また、経験豊富なベテランの新藤義孝・元総務相が経済再生相に起用された。連立を組む公明党からは、斉藤鉄夫国交相が続投となった。

岸田首相は、重要閣僚、党幹部を派閥の会長や幹部で固めた。政権の基盤を安定させることを重視している。異次元の少子化対策、物価高対策など経済政策、そして防衛費の大幅増など歯止めのない歳出拡大の中での難しい財政運営、東京電力福島第一原発の処理水放出の対応、マイナンバー制度のトラブルを受けての「総点検」、経済安全保障体制の確立など、難しい舵取りを求められる懸案に、継続性や経験値を重視した人事を行ったのだ。

だが、各種世論調査で内閣支持率は横ばいか下落。不支持率は60%を超えている。人事の「刷新」による政権の浮揚効果は限定的だ。今回は、岸田人事が示す日本政治の現状と、今後の展望を考察したい。

私の考えだが、人事を安定させるための鉄則の1つは「敵は内側に、味方は外側に」配置することだと思う。自民党に当てはめれば、「敵は閣内に、味方は党に」ということになる。

例えば、小泉純一郎内閣時、ポスト小泉を狙い、郵政民営化に反対の麻生太郎氏を、その担当の総務相に起用し、「イエスマン」と呼ばれて首相に絶対の忠誠を誓った武部勤氏を幹事長に起用した。その武部氏も、小泉内閣発足時は構造改革に反対だった。首相が農相に一本釣りして重用して「イエスマン」に変えたのだ。

一方、第一次安倍晋三内閣は、官房長官に塩崎恭久氏、首相補佐官に世耕弘成氏、小池百合子氏、根本匠氏ら首相側近を起用し「お友達内閣」と呼ばれた。だが、族議員の大物などを閣外に置いた布陣は混乱を生み、内閣はわずか365日で瓦解した。

この反省から、第二次安倍政権では、潜在的に首相の座を争う最も強力な政敵だった麻生太郎元首相を副総理・財務相に起用し、最側近として重用した。それは、安倍政権が憲政史上最長の長期政権を築けた要因の1つとなった。

茂木敏充にはかけられなかった「財務相の呪い」

今回の岸田人事はどうか。まず、留任となった茂木幹事長だ。幹事長の続投は、人事の日程が迫ってきてもなかなか決まらなかった。首相に対抗しうる強大な権力を持つ幹事長に、「ポスト岸田」の有力候補である茂木氏を続投させることのリスクを、首相が自覚し、悩み続けたのだという。

実際、茂木氏は「ポスト岸田」への意欲を隠さない。岸田首相が打ち出した「異次元の少子化対策」について、茂木氏は児童手当の所得制限撤廃に踏み込む発言をした。また、8月に打ち出した経済対策で、首相が言及していない補正予算編成の考えを示した。いずれも、首相から主導権を奪おうとしたといわれても仕方がない言動だ。今後も、茂木氏の勝手な振る舞いが続けば、政権の基盤を揺るがすことになりかねない。

一方、茂木氏を財務相に起用するという案があった。将来の政敵になり得る者を閣内に取り込むという意味で有効な策だ。だが、それだけではない。財務相は、首相を狙う政治家にとって「鬼門」のポジションだからだ。

自民党で、財務相(および旧蔵相)から直接首相になった政治家は、戦後一人もいない。財務相は、常に族議員やその背後の業界からの予算獲得の圧力と、財政再建という難しい課題の間で板挟みとなる。そして、国民から不人気の増税を検討することになる。次期首相候補としての支持を失ってしまうのだ。

ただし、民主党政権の財務相、菅直人氏、野田佳彦氏は財務相から直接首相に就任した。それは、財源の確保に失敗して財政が悪化し、マニフェストの政策を撤回し、公約にない消費増税に取り組まねばならない混乱の中で財務相が首相に就任した例外的事例といえる。実際、菅、野田両氏は、どちらも消費増税が命取りになり短命政権に終わっている。要するに、財務相は政治生命を削る、難しい仕事だということだ。

今年8月末に各省庁の概算要求が締め切られた。その総額は約114兆円と過去最大を更新した。財政の膨張に歯止めがかからない状況だ。その一方で、岸田内閣は今年の「骨太の方針」に「歳出構造を平時に戻していく」と明記した。現状と真逆ともいえる方針を示しているのだ。

毎年1兆円ずつ増加するとされる社会保障関連予算や、国債の元利払いなど構造的な歳出増に加えて、異次元の少子化対策、物価高への対応、行政のデジタル化をはじめ幅広い分野で、予算が増加している。さらに、5年間で2倍近くに増やす方針の防衛費の増加がある。

コロナ禍で、さまざまな救済策が打たれて以降、財政のタガが外れてしまった。20年度以降、新規国債の発行は年50兆-100兆円に膨張した。その残高も1000兆円を超えた。歳出増の圧力は増える一方で、それを抑えることは政治的に困難だ。そうなると、増税で国民に負担させるしかなくなる。

茂木氏が財務相になれば、間違いなく国民からの批判に晒される。ポスト岸田としての支持も失ってしまうリスクが高い。岸田首相が茂木氏を内閣の運命と一蓮托生の存在に抑え込みたいならば、財務相起用は妙手だったかもしれないが、それはなかった。

麻生副総裁から岸田首相への進言があったという。岸田内閣は、第2-4派閥の領袖である麻生氏、茂木氏、首相の「三頭政治」によって、政権運営の方向性を決めてきた。政権基盤の安定には、その枠組みを維持したほうがいいという進言だ。

加えて、麻生副総裁が、財務省への強力な影響力を失いたくなかった。鈴木俊一財務相は、副総理の義弟だ。副総理は財務相在任3205日で戦後最長を誇る。鈴木財務相はお飾りで、麻生副総理が実質的な財務相にみえる。茂木氏に譲りたくなかったのではないだろうか。

要するに、岸田首相は政権基盤の安定を優先させて、茂木幹事長を留任させた。だが、自民党の人事の鉄則「政敵は閣内に、味方は党に」に反している。今後も、茂木幹事長が首相の見せ場を奪うスタンドプレイを続けるようだと、政権基盤が不安定化しかねない。

旧統一教会と関係のあった議員を積極的に起用した意図

岸田内閣を支えてきた「三頭政治」は継続となった。党内最大派閥である「安倍派」はどうか。安倍元首相暗殺事件後、安倍派の会長ポストは不在となっている。結局、萩生田政務調査会長、世耕参議院幹事長、松野官房長官、西村経済産業大臣、高木毅国会対策委員長の「5人衆」を中心とする15人の合議制では派閥を運営する体制となった。100人を超える大派閥をまとめるには、誰もが「帯に短したすきに長し」で力量不足ということだ。

「政敵は閣内に、味方は党に」の鉄則からいえば、閣内と党に5人組をバランスよく配置した。安倍派の5人衆は、統率力は疑問だが、実務能力は高く評価されてきた政治家だ。敵同士がそれぞれ実務で業績を挙げることを競い合う形で、結果として岸田首相に求心力が向く。逆にいえば、安倍派内では遠心力が働き、まとまりを欠いていく仕掛けだ。安倍派は今後、分裂の可能性も含めて、少しずつ衰退していくだろう。

安倍派の5人衆の中で、特に注目されるのが、萩生田政調会長の留任だ。安倍元首相の側近として、政策実現のために汚れ役も厭わない腕力の強さで叩き上げた政治家だ。

今回の人事では、官房長官就任が検討されたようだ。だが、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)との深い関係が厳しく批判されてきた。官房長官は連日記者会見がある。メディアから教団の問題を必ず追及されると懸念された。結局、政調会長への留任となった。

しかし、政調会長の留任も、旧統一教会の問題と関係がある。岸田内閣は、10月中に教団の「解散命令」を東京地裁に請求する方針を固めた。そして、自民党は「旧統一教会との関係を完全に切った」と主張している。

私は、2022年に旧統一教会の問題が社会問題化した当初から、岸田内閣は解散命令を下すしかないと指摘してきた。厳しい世論の批判を抑えるには、他に方法がないからだ。慎重な段取りを踏まねばならないが、結論は最初から決まっていたと思う。

一方、私は、自民党は旧統一教会と関係を切れないとも主張してきた。選挙など日常の活動を通じて、国会議員から地方の首長、議員、スタッフまで、関係が深く、複雑すぎるのだ。だから、岸田内閣が「解散命令」を出しても、表面的なことにすぎない。

反共産主義で保守的な思想の旧統一教会が、野党を支持することはない。選挙では自民党以外には投票しない。表面的に関係を切っても、旧統一教会が、自民党を「勝手に投票する」のを、自民党側が拒む理由はないのだ。

自民党は「旧統一教会との関係を完全に切った」と主張するならば、旧統一教会との関係を理由に萩生田氏を政調会長から外したら、その主張と矛盾する。萩生田政調会長を続投させるしかなかったともいえるのだ。

また、今回の人事で、いずれも初入閣の鈴木淳司総務相、盛山正仁文部科学相、伊藤信太郎環境相、木原稔防衛相が、昨年実施した自民党の点検で旧統一教会との接点を認めている。特に、盛山文科相として解散命令請求などの教団への対応を所管する立場だ。だが、岸田内閣は「旧統一教会との関係を完全に切った」のだから起用には何も問題がないということだろう。むしろ、旧統一教会との関係断絶をアピールするために、関係のあった議員を積極的に起用したとさえ、いえるのかもしれない。

文春砲を激しく浴び続けながら、官房副長官から幹事長代理・政調会長補佐の兼務への異例の配転となった首相最側近・木原誠二氏もいる。今後、岸田内閣の頻発するスキャンダルへの対応は、「なにも問題はない」と開き直り、何の説明責任も果たさず、強行突破するというものになるのだろう。

従来の女性政治家の抜擢とは一線を画す小渕優子の起用

岸田首相は女性閣僚を内閣改造前の2人から5人に大きく増やした。女性閣僚数としては、第一次小泉純一郎内閣、第二次安倍晋三改造内閣と並び過去最多だ。ポスト岸田の有力候補の1人の高市早苗経済安全保障担当相が、高い専門性と実務能力を評価されて留任となった。

首相が特に重視する外相には、ハーバード大学卒で、法相として麻原彰晃死刑囚の死刑執行を決断した度胸と手腕が評価される上川陽子が起用されることになった。日本は、女性の人権問題について国際社会から厳しく批判されてきた。日米関係、日英関係の発展など自由民主主義陣営の結束強化、ウクライナ支援、グローバルサウスとの関係構築などさまざまな課題がある。上川外相の実務能力が期待されるとともに、国際社会に日本の女性政治家の活躍を強くアピールする狙いもあるようだ。

復興相には無派閥の土屋品子氏が初入閣した。また、副大臣を経験していない自見英子・内閣府政務官を地方創生担当相に、加藤鮎子・元国交大臣政務官をこども政策・少子化担当相に抜擢された。岸田内閣の支持率低迷が続いている。この状況を打開するために、「ジェンダー平等」と政権の清新さをアピールする思惑のようだ。

そして、党役員人事で、選対委員長に小渕優子氏が起用された。これは、従来の自民党の女性政治家起用とは一線を画したものと思われ、注目に値する。

従来の女性政治家起用は、女性政治家の華やかさと人気を内閣支持率に取り込むことと、「女性の社会進出」という現代的な課題に積極的に取り組んでいるアピールだった。

しかし、その中で高市経済安全保障担当相、小池百合子・現東京都知事、野田聖子・前子供政策担当相など、経験を積み、政策手腕、政治手腕を身に着けて主要閣僚などを歴任し、実績を上げる女性政治家も出てきた。だが、小渕選対委員長の起用はこれに当てはまらないのだ。

まず、小渕氏は内閣支持率を下落させる懸念材料である。小渕氏は、第84代総理大臣である故・小渕恵三氏を父に持つ世襲議員であり、戦後最年少の34歳9か月で内閣府特命担当大臣として少子化対策や男女共同参画などに携わり、14年には経済産業大臣に就任し、順調なキャリアを積み重ねていた。

ところが、経産相在任時に政治資金規正法違反のスキャンダルが発覚し、経産相を辞任した。それ以降、小渕氏は閣僚に就いていない。党組織本部長などどちらかといえば裏方といえる仕事で汗をかいてきた。小渕氏にとって、今回は久しぶりの要職起用といえる。しかし今、「ドリル優子」という言葉がTwitter(現X)でトレンド入りしている。「ドリルで破壊した説明責任を果たせ」などの声が、SNS上に多数見られるのだ。

「ドリル優子」とは、14年のスキャンダル発覚時に、東京地検特捜部が小渕氏の後援会事務所などを家宅捜索した時、会計書類などを保存したパソコンのハードディスクに電動ドリルで破壊された痕跡が見つかったことからついた、小渕氏の異名である。

小渕氏は、嫌疑不十分で不起訴となった。だが、証拠隠滅の疑惑に対する国民の視線はいまだに厳しい。小渕氏の起用は、岸田内閣の支持率向上には逆効果になりかねないのだ。

また、小渕氏は政治家として顕著な実績があるわけではない。経済安全保障の専門家として存在感を見せる高市氏や、子ども家庭庁の設立に携わった野田氏のような、豊富な実務経験に裏打ちされた能力を評価される政治家ではない。

「我々の使命は小渕優子内閣を作ること」

小渕氏は、政治家として修羅場の経験値も高いとは言えない。高市氏、野田氏は初の女性首相を目指し総裁選を闘っている。特に、野田氏は「郵政造反議員」として05年の郵政解散総選挙において小泉首相に反旗を翻し、選挙区に「刺客候補」を立てられる苦境を生き残った。

それに対して、小渕氏は元首相の令嬢として、政界の先輩から可愛がられた。最年少の閣僚起用や、経産相への抜擢は、能力や業績の評価ではなく、先輩の寵愛を受け続けた結果だ。

今回の人事でも、小渕氏の抜擢は、「参院のドン」と呼ばれた故・青木幹雄氏の「遺言」に基づくものだという。小渕恵三内閣の官房長官で、茂木派の長老として隠然たる影響力があった青木氏は生前「我々の使命は小渕優子内閣を作ることだ」と公言していた。

亡くなる前、青木氏は茂木幹事長の小渕氏への交代を求めていたという。小渕氏に茂木派の実権を移し、後に派閥の総裁候補にしたかったのだ。

そして、森喜朗元首相がその「遺志」を後押しした。青木氏は森内閣の生みの親であり、その恩義がある。また、「安倍派の仕切り役」を辞任する森氏は、小渕氏を台頭させて茂木派の分裂を狙ったという指摘がある。

今回の小渕氏の選対委員長への起用も、長老の寵愛による抜擢である。実力でもぎ取った要職と毛頭言えないのが、小渕氏の政治家としての「ひ弱さ」だ。

岸田首相は、故・青木氏、森氏の意向は組みつつも、茂木幹事長を交代させなかった。小渕氏には「選挙」を任せた。最も結果が目に見えるものである上に「政治家は選挙に落ちたらタダの人」という言葉があるように、その結果責任をシビアに問われる難しい職務だ。

岸田首相自身、何度も総裁選に挑戦して煮え湯を飲まされるような経験をした後に、首相になった。世襲議員といえども、権力は自らの手で奪い取らねばならないことを、小渕氏に示した。

しかし、小渕氏が国民に不人気な政治家であり、長老の寵愛で要職を与えられたにすぎなくても、それには重要な意義がある。日本政治における女性の社会進出を次の段階に進める可能性があるものだからだ。

小渕氏の起用が、従来の小池氏、野田氏、高市氏など女性政治家の要職への抜擢と一線を画しているからだ。彼女たちは、自民党政権の人気取りのパフォーマンスを求められた起用だった。後に、彼女らは与えられた職務で実績を上げることで実力者となった。だが、自ら仲間を集い、若手の面倒を見て汗をかき、派閥を率いて自らの力で権力を勝ち得ようとはしてこなかった。彼女らは「無派閥」で総裁選に出た。神輿として担がれることで初の女性首相となることを目指した。

これに対して、小渕氏は神輿として担がれるには人気も人望もない。だが、長老から与えられた機会ではあるが、自ら汗をかき、泥をかぶって仕事をし、成果を出せば、従来の女性政治家にはない「数の力」を得て、権力を奪うことができるのだ。

選対委員長は、一人一人の候補者の選挙の勝利に汗をかけば、これほど感謝され、人望を得る好機はない。所属派閥である茂木派だけでなく、支持を他派閥にも広げることができる。

自民党は2030年までに国政の女性議員に比率を35%にする公約を掲げている。だが、今回の人事で副大臣・政務官に起用された女性議員がゼロだった。要は、若手の女性議員が少なすぎるのだ。小渕氏が選対委員長として公約実現に向けて、女性候補者を育成し、立候補させ、当選させて、酷い状況を打開すれば、評価を高められる。「小渕ガールズ」とも呼ぶべき自らの権力基盤となるグループを形成できるかもしれない。茂木派の後継者として認められ「小渕派」を率いることになるかもしれない。

日本初の女性首相を目指すべき小渕優子

これまでも、山東昭子氏という女性の派閥領袖はいた。だが、あくまでリリーフ役の領袖であり、総理総裁候補ではなかった。小渕氏は、史上初の女性首相を目指す、本格的な女性の派閥領袖となれるかもしれない。

これは、日本の女性の政界進出が、次の段階に進む可能性があることを示す。これまで、国会における日本の女性議員の比率がわずか10%で世界164位にとどまっている。その中で、数人の人気・実力のある女性政治家を神輿に担ごうとする動きが変わる。

女性政治家が自ら「数の力」を持つ、その「数の力」で権力を獲得する時代の始まりになるのかもしれないのだ。なにより、選対委員長として成果を出せば、茂木派の後継者として認められ「小渕派」を率いることになるかもしれない。小渕氏は、自らに課せられた使命の大きさを知るべきである。「ひ弱さ」を捨てて、汗をかき、泥をかぶって、日本初の女性首相を目指すべきである。

image by: 木原誠二 - Home | Facebook

上久保誠人

プロフィール:上久保誠人(かみくぼ・まさと)立命館大学政策科学部教授。1968年愛媛県生まれ。早稲田大学第一文学部卒業後、伊藤忠商事勤務を経て、英国ウォーリック大学大学院政治・国際学研究科博士課程修了。Ph.D(政治学・国際学、ウォーリック大学)。主な業績は、『逆説の地政学』(晃洋書房)。

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