歴史的大失態。ハマスの「イスラエル攻撃」に回った米バイデンの9000億円

 

民間人を手当たり次第に誘拐するハマスの悪質さ

2つ目は、大量のロケット(ミサイル)攻撃です。過去にも、ハマスがガザの支配権を確立して、イスラエルと睨み合いとなったこの20年間に、数回ほど両陣営が激しくミサイル攻撃の応酬を行ったことはあります。また、このために、イスラエルは独自に開発したアイアンドームというミサイル迎撃システムを保有しています。

ですが、今回はアイアンドームの迎撃能力をはるかに超える密度での攻撃を実施してきました。これは全く予想外でした。実際に大変な量のミサイルの搬入が行われたことを、少なくともイスラエルの諜報機関は捕捉できなかっただけでなく、そもそも世界の軍事闇市場では、ロシアが猛烈な勢いでミサイルを買いまくっていた中で、遂には北朝鮮の製造能力にまで頼る状況があるわけです。一体、どうやってハマスはこれだけのロケット(ミサイル)を用意したのかが謎となっています。特に資金面が疑われます。

3つ目は、誘拐作戦です。とにかく、ハマスのゲリラと思われる連中が、女性や子どもを具体的に誘拐する映像が出回るという恐ろしい状況になっています。人質には外国人も含まれ、アメリカ人もいるという説もあります。この問題ですが、過去も、ハマスはイスラエル人を誘拐して人質にするということはやっていました。

当初は、誘拐した人質を使って資金を得るようにしていたのですが、イスラエル側としては、そうした誘拐事件に備えて「交換要員としての戦争捕虜」を蓄えるようになっていました。例えば、2006年にハマスはイスラエルの兵士を誘拐して、イスラエルでは大騒ぎになったのですが、その際にハマスが誘拐したのは、たった1名でした。ですが、今回は兵士だけでなく、民間人を手当たり次第に誘拐する、しかも女性や子どもまでという前代未聞の状況になっています。

ということで、攻撃の悪質さに対して、イスラエルのネタニヤフ首相は「ハマスへの宣戦布告」を行いました。これによって、イスラエル国防軍(IDF)は大規模な予備役の招集を行いつつ、あらゆる種類の作戦を実施できることになっています。アメリカでは、ガザ地区への陸上侵攻の噂が報じられており、既に相当な兵力が国境周辺に集結しているという情報もあります。

最新の状況は以上の通りですが、では、このような事態に立ち至った原因はどこにあるのかというと、アメリカでは様々な議論があります。大きく分けるのであれば、原因として指摘されているのは次の3点です。

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