“飲む中絶薬”ようやく承認。日本の「性教育」をも妨げる旧統一教会の弊害

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女性の身体に大きな負担を強いる人工妊娠中絶。これまで日本でその方法は手術のみに限られていましたが、今年4月、経口中絶薬が認可されました。今回のメルマガ『ジャーナリスト伊東 森の新しい社会をデザインするニュースレター(有料版)』では著者の伊東さんが、「飲む中絶薬」の使用条件や費用などについて詳しく解説。その上で、「予期せぬ妊娠」を防止するための性教育が、日本においてここまで遅れている裏事情を白日の下に晒しています。

プロフィール伊東 森いとうしん
ジャーナリスト。物書き歴11年。精神疾患歴23年。「新しい社会をデザインする」をテーマに情報発信。1984年1月28日生まれ。幼少期を福岡県三潴郡大木町で過ごす。小学校時代から、福岡県大川市に居住。高校時代から、福岡市へ転居。高校時代から、うつ病を発症。うつ病のなか、高校、予備校を経て東洋大学社会学部社会学科へ2006年に入学。2010年卒業。その後、病気療養をしつつ、様々なWEB記事を執筆。大学時代の専攻は、メディア学、スポーツ社会学。2021年より、ジャーナリストとして本格的に活動。

ここにも統一教会の影。性教育も「飲む中絶薬」承認も遅れを取る日本

人工妊娠中絶のための飲み薬である経口中絶薬が、今年の4月28日、国内で初めて承認された。

製品名は「メフィーゴパック」。2種類の飲み薬を組み合わせて使う。イギリスの製薬会社ラインファーマが2021年12月に厚生労働省に承認申請していた。

使うことのできる対象は、妊娠9週0日までの妊婦。企業が臨床試験(治験)で有効性や安全性を確認したのもこの妊娠期間の人のみなので、それ以降は使うことはできない(*1)。

使用方法は、まず妊娠を続けるために必要な黄体ホルモンのはたらきを抑える薬「ミフェプリストン」を1錠飲む。

36~48時間後に、子宮を収縮させるはたらきがある薬「ミソプロストール」4錠を、左右の奥歯とほおの内側に2錠ずつ含み、30分かけて溶かして粘膜から吸収させる。30分後でも口の中に薬が残っていれば、飲みこむ。

このような、飲む中絶薬は、1988年に世界で初めて承認され、現在は80以上の国・地域で使用されている。

一方、日本では長らく承認されず、妊娠初期の中絶方法は手術に限られていた。

その方法は、スプーン状の器具でたいのうなどを出す「そうは法」や、ストロー状の管でたいのうなどを吸い出す「吸引法」、この2つを併用する形で手術を行っていた。

中絶そのものに否定的な意見を持つ人もいて、薬の導入議論はあまり進んでいなかった。しかし、個人輸入した中絶薬で健康被害が出るケースも目立つようになる。

また、世界保健機関(WHO)が2012年に発表したガイドラインで、妊娠中絶の「安全で効果的」な方法として、吸引法か中絶薬を推奨。

このようななか、日本でも薬の承認を求める声が高まっていた。他方、日本では旧統一教会(世界平和統一家庭連合)が、“純潔教育”の下、自民党右派とともに性教育をバッシングしてきた経緯がある。

目次

  • 中絶そのものが長らくタブー視されてきた日本
  • G7で最も遅かった日本の「飲む中絶薬」承認
  • 背景に統一教会。「予期せぬ妊娠」を増加させる元凶

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