イスラム系武装組織ハマスが、イスラエルの防衛線を奇襲攻撃で突破しました。このことを北朝鮮に当てはめた場合、韓国の防御はどうなっていくのでしょうか。今回の無料メルマガ『キムチパワー』では、韓国在住歴30年を超え教育関係の仕事に従事している日本人著者が、その状況になった場合をシミュレーションしています。
ハマス奇襲攻撃で9・19南北軍事合意を再検討したい韓国の内情
イスラエルの防衛線がハマスの奇襲攻撃によって突破され、韓国軍の対北朝鮮安保戦略も非常事態となった。
イスラエルは、ソウル市の約半分の面積であるガザ地区を非武装地帯(DMZ)のような緩衝区域もない状態で高さ6メートルのコンクリート障壁で囲み全方位的な防御線を構築している。
しかし、ハマスが数千発のロケットミサイル攻撃を奇襲的に加え、同時に地上侵入戦を展開すると、防御線が崩れ、大規模な人命被害につながった。
ハマスの数百倍の火力を備えた北朝鮮のゲリラ式波状攻撃が行われる場合、白リョン島(ペクリョンド)、坡州(パジュ)など最前線地域はもちろん、首都圏も防御が難しいという懸念が出ている。
特に2018年文在寅政府が締結した「9・19南北軍事合意」で前方地域の偵察作戦、砲兵訓練など韓国国軍と在韓米軍の防衛態勢活動に制限が生じ対北防御戦線が脆弱になったという指摘が出ている。
9・19合意は軍事境界線(MDL)基準5kmで砲撃訓練はもちろん連隊級機動訓練を全面中断させ、われわれが優位な空中でも戦闘機・偵察機飛行をMDL西部以南20kmまで禁止したためだ。
軍内外では「イスラエル・ハマス事態を契機に9・19軍事合意を全面的に再検討しなければならない」という指摘が出てきた。
南柱洪(ナム・ジュホン)元国情院第1次長は、「9・19軍事合意は、北朝鮮が先制攻撃をしないという『善意』に全面的に依存している」とし、「北朝鮮がゲリラ式波状先制攻勢をする場合、9・19軍事合意が致命的な足かせになりかねない」と述べた。
文在寅の負の遺産がいろいろの形で露出し始めている。朝鮮半島の運命はいかに。
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