更に、世界のトップ3の経済大国が国交断絶する経済ショックは、日本、米国、中国の経済崩壊に留まらず、世界経済をも崩壊させるだろう。もし、世界を混乱させることで、中国共産党の利益を守れるならば、中国はそれを選択するかもしれない。しかし、日本と米国にとっては容認できない。つまり、日米両国にとって、台湾独立、台湾との国交正常化は非常に困難な選択肢なのだ。
そもそも台湾有事とは、中国が一方的に台湾を侵攻することであり、中国が決定権を握っている。そして、中国は現在の状態を維持することも可能だ。
多分、中国は習近平政権の期間に結論を出すことはできないだろう。もし、行動を起こすとしても、台湾領内の小さな島を占領する程度であり、完全に台湾海峡を封鎖することもないと想う。戦争はそんなに簡単に起こせるものではないのだ。
編集後記「締めの都々逸」
「やくざの喧嘩は簡単だけど 堅気の喧嘩は難しい」
「台湾有事は日本有事」というフレーズは、安倍元総理が残した呪いなのでは、と感じています。こんなことを言うと、保守系の人に叱られそうですが、あまりに多くの人が台湾が攻撃されたら、自動的に日本も参戦すると思っているからです。実際には、戦争にも手続きが必要です。日本はそれほど簡単に戦争に参加できません。
日本に中国が攻めてきたら、直ぐに応戦できますが、台湾というのが微妙です。中国が台湾を攻撃しても、日本は中国と国交を結んでいて、一つの中国を承認しています。
日本の最大の貿易国は中国であり、中国には多くの日本企業が残っていて、日本人が10万人も住んでいます。ですから、好き嫌いの問題ではなく、簡単には喧嘩できないのです。(坂口昌章)
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