タイから覚醒剤1kg密輸で日本人の男(30)逮捕、宅配便でヤク発送“ゆとり世代”にネットから厳しい声のナゼ。「死刑」か「恩赦」か…タイ刑務所オドロキの実態とは?

2023.11.09
by kousei_saho
The,Fight,Against,Drugs,And,Drug,Addiction,Topic:,Addict,Holding
 

祖国を遠く離れた海外の刑務所で死刑を待つ日々…そんな状況は、人にどのような心境を抱かせるのだろうか。7日、FNNプライムオンラインはスクープとして、覚醒剤1㎏を宅配便を使って日本に密輸しようとした疑いで、日本人男性がタイで逮捕されたと報じた。日本ならば無期懲役もしくは3年以上の懲役となる販売目的の覚醒剤密輸だが、タイでは「死刑」になることもあるという。弁護士も「世界的に見ても最高レベルの厳しさ」というタイで逮捕された日本人男性は、これから当地の刑務所でどのような生活を送ることになるのだろうか。


覚醒剤を宅配便で送るリスクすら判らぬ“ゆとり世代”の末路

FNNプライムオンラインによると、津原悠馬容疑者(30)が逮捕されたのは10月29日夕方。バンコク近郊の空港で、現地警察により身柄を拘束された。2022年11月、国際宅配便を使い、バンコクから日本に向け1㎏以上の覚醒剤を販売目的で日本に発送した疑いが持たれているという。津原容疑者は容疑を否認しているが、タイ警察は同様の手口で密輸を繰り返していたと見ている。

覚醒剤の日本への密輸手段として宅配便を使ってしまうというあたり、控えめに言っても「愚か」としか言いようがない。容疑者は30歳ということだが、年齢的に「ゆとり世代」のど真ん中に当たる。宅配便で覚醒剤を送るリスクすらも考えられなかったのだろうか。

中国では麻薬密輸の罪で日本人を死刑執行

2000年代の半ば以降、日本人が麻薬等の密輸容疑で中国当局に逮捕され、死刑を求刑されるニュースを目にすることが増えた。2010年4月には死刑判決を受けていた日本人4人の死刑が執行され、日本でも大きく報道されたことは記憶に新しい。

今回、津原容疑者が逮捕されたタイは、前述の通り違法薬物への量刑が世界最高レベルで厳しいことで知られる。最悪の場合は死刑や終身刑、軽く済んだと言われるものでも懲役30年という例もある。一度、終身刑を受けてタイの刑務所で50年以上も暮らす自身の姿を想像してみてほしい。それはもはや恐怖でしかないだろう。

刑務所内で「一服セット」を販売し貯蓄100万円超の大儲け

ではその実態はどのようなものなのだろうか。2002年、タイの空港で出国直前に覚醒剤密輸の現行犯で逮捕された竹澤恒男氏は、たびたびメディアに登場し、タイのムショ暮らし体験を明かしている。

上記の罪でいきなり死刑を求刑されたという竹澤氏だが、二審で懲役30年となり、三審でも覆らずに刑が確定。収監された長期刑専門の刑務所には、囚人が運営している「売店」があったという。なんと刑務所内で囚人が商売することが黙認されており、竹澤氏もさっそく手を染める。彼がまず目をつけたのはあんドーナツ。1日70個ほどが売れたという。その後はタバコとコーヒースティック1杯分のバラ売りに転向し売上は順調。一時期は100万円ほどの蓄えがあったというから驚きだ。

しかしながらタイ人受刑者の目に余る違法行為を防止するための所内の点検を含め、何度も房を移動させられたりしたためその商売もできなくなってしまったと竹澤氏は語っている。

携帯電話で外部に麻薬売買の指示を出すマフィアも

また、タイの刑務所では規則違反ではあるものの小型の電化製品ならば入手できた時期もあったという。受刑者の中には携帯電話を入手して外部と連絡を取る者もいたが、そのほとんどはタイ人マフィアで、麻薬売買の指示を出していたというから笑えない。

30年の実刑判決を受け2004年に収監された竹澤氏だったが、2016年、王女の誕生日による恩赦で減刑され懲役14年で釈放となる。これもタイならではと言えよう。その年の9月に帰国を果たした竹澤氏。しかし母や妻など失ったものはあまりにも大きく人生を後悔しているという。

一般市民が運び屋として利用される可能性も

今回逮捕された津原容疑者に対して日本のネット上では、「処刑しろ」「日本の恥」など厳しい声が多く上がっている。なぜ日本の世論は、海外で犯罪を犯したり外国人へ危害を加えた日本人に対しては、こうも厳しいのであろうか。先日、横浜でタイ人飲食店従業員に日本人男性が刺殺される事件が起きた際にも、被害者に向けられたのは「自業自得だ」といった同様の反応だった。

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さて、もし万が一、今回の件が何者かによって仕組まれた「冤罪」だとしたらどうだろうか。海外では「スーツケースに知らぬ間に勝手に麻薬を入れられた」という話を頻繁に耳にする。自分が運び屋として利用され、騙されて「発送させられた」宅配便が原因となり逮捕される可能性が、100%ないとも言い切れない。なお、津原容疑者は販売目的での覚醒剤密輸の疑いについて「手伝ってほしいと言われただけ」と容疑を否認しているという。

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