危惧されていた中でも最悪の事態が起きてしまった。ジャニー喜多川氏による性加害問題で、被害を訴える「ジャニーズ性加害問題当事者の会」に所属していた40代の男性が、大阪府内で死亡していたことがわかった。朝日新聞や読売新聞など、大手メディアが伝えた。死因は自殺と見られる。報道によると、男性はSNSなどで誹謗中傷を受けていたとされ、大阪府警が経緯を調べているという。SNS上にはこのニュースに関する多くのコメントが寄せられているが、問題なのは現在も「当事者の会」へ誹謗中傷のメッセージを送り続けている人々の存在だ。
性被害を訴えた元所属タレントに投げつけられる心無い誹謗中傷
複数の報道によれば、亡くなったのは大阪府内在住の40代男性で、10月中旬から行方がわからない状態だったが、その後、箕面市の山中で遺体となって発見。近くに遺書のようなメモが残されていたことや現場の状況から、自殺と見られるという。
読売新聞オンラインによれば、一部メディアでジャニー喜多川氏からの性被害を訴えでた男性に対して、SNS上に「うそはすぐバレる」「金が欲しいんだろう」といった書き込みが殺到。男性はこのような誹謗中傷に深く悩んでいたという。
今回亡くなった男性以外にも、名前や顔を出して発言を続ける「当事者の会」の所属メンバーのもとには連日誹謗中傷が届いているといい、事実、元ジャニーズJr.で俳優・橋田康氏もX（旧Twitter）に「僕にも誹謗中傷は昨日も今日も既に来ています 来ない日はないです」とポストしている。
僕にも誹謗中傷は昨日も今日も既に来ています
来ない日はないです。
今は僕への誹謗中傷は少ない方だと自分で勝手に感じてます。
僕でこれなら？と思うと他の方への誹謗中傷は計り知れない。沢山の想いがあると思うけど
本当にお願いします。
一度ブレーキを
誰も前に進めなくなってしまう。…— 橋田康 Yasushi Hashida (@824_MOL) November 14, 2023
今さらツイ消ししても手遅れでしかない
そんな誹謗中傷が一人の人間を自殺に追い込んでしまった今、これまで書き込んできた心無いコメントを慌てて削除している人物たちの姿が目に浮かぶ。
旧ジャニーズ「当事者の会」男性、大阪の山中で死亡…SNSで誹謗中傷受け
首を吊った男性は「嘘はすぐバレる。金が欲しいんだろう」と誹謗中傷された。当事者の会の一部は「虚言癖がある。デビューできなかったくせに」など誹謗中傷を刑事告訴した。慌ててツイ消ししても遅いhttps://t.co/QoBNQzLr6r
— 盛田隆二 ??? (@product1954) November 14, 2023
しかしながら、人を死に追いやるような誹謗中傷を書き込んでしまった過去は消しようがなく、取り返しのつかない行為であることは間違いない。どのような属性の人間による仕業なのか、ネット上ではさまざまな憶測が飛び交っているが、現時点で「書き込み犯」は不明だ。彼らには遠くない将来、司法の裁きが下されることになるだろう。
過去にも命を落とした「元ジャニーズ」たち
英国BBCのドキュメンタリー番組に端を発し、「当事者の会」を始めとする勇気ある方々の告発により、ようやく日本国内でも大々的に報じられるようになったジャニーズ性加害問題。ほとんど知られていないのだが、これまでも性加害を巡り命を落とした元ジャーニーズ関係者も存在した。
旧ジャニーズ事務所と20年以上に渡り対峙してきたジャーナリストの上杉隆氏を突き動かしたのは、少なくとも2人の少年がジャニー喜多川氏による性加害を苦にして自殺した事実だったという。
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さらに「週刊文春」元編集長・木俣正剛氏の手記によれば、ジャニー喜多川氏からの性被害を木俣氏に証言した元ジャニー喜多川の付き人で元アイドルだったという男性は、その後、渋谷のNHK前で割腹自殺を遂げたという。
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気骨の芸能ジャーナリストを排除してまで性加害報道を拒んだメディアの罪
上掲の記事に綴られているとおり、これまでも複数の人々が自死を選ばざるを得ないほど、被害者を追い詰めてきたジャニー喜多川氏。彼らの気持ちを鑑みれば、とても誹謗中傷などできるはずがないと考えるのが当然ではないだろうか。そしてもちろん、旧ジャニーズ事務所との「利益供与関係」で甘い汁を吸い、気骨の芸能ジャーナリスト・梨元勝氏を排除してまで性加害問題の報道を拒んできたマスメディアの責任が重大なことも明白である。
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死してなお犠牲者を出すジャニー喜多川氏の犯した罪は非常に重く、決して許されるものではない。その影響は今後も各方面に波及し、人気グループの解散やタレントのテレビからの排除といった事態も起きないとは限らない。仮にそのようなことになったとしても、何人たりとも誰に対しても誹謗中傷等を行ってはならないことは言わずもがなだ。少なくとも元所属タレントたちは、それを望んでいないだろう。今回、男性を自死に追いやった誹謗中傷の「犯人」が、旧ジャニーズのファンたちではないことを信じたい。
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