どんなに商品やサービスに自信があったとしても、集客がままならなければどうにもならないのは言わずもがな。誰しもが頭を悩ます集客ですが、大手はどのような策を打っているのでしょうか。今回のメルマガ『理央 周の売れる仕組み創造ラボ【Marketing Report】』ではMBAホルダーの理央さんが、セブンイレブンとイオンの集客術を紹介。その上で、2つの事例から学べる「集客の原点」について解説しています。
なぜ集客は難しいのか?セブンイレブンとイオンに学ぶ集客の大事なポイント
BtoCの小売業でも、BtoBのような法人向けのビジネスにしても、集客って厄介ですよね。
広告を出してもなかなか効かないし、展示会やセミナーに個別に誘っても、きてくれるとは限らない上に、誘いすぎると嫌がられるし…。
もちろん、楽な集客はありませんが、この「売る」ということについてまわる、“集客”の大変さについて、今号では考えていきます。
セブンイレブンのコーヒーの、サブスクが話題になっています。
日経クロストレンド10月23日の記事によると、
セブン─イレブン・ジャパンは2023年10月2日、月額2,000円のコーヒーの、サブスクリプション(定額課金)サービス「セブンカフェ サブスク」のテスト販売を、一部店舗でスタートした。大手コンビニでは、23年4~7月に愛知県内の約620店舗で、テストを実施したローソンの「MACHI cafe Prime」に次ぐ試みとなる。
セブンカフェ サブスクは、110円分のセブンカフェを1日1回、30日間利用できるサブスクサービス。110円のホットコーヒー、アイスコーヒーのR(レギュラー)サイズであれば差額無しで、110円を超えるドリンクは、差額分を支払えば購入できる。
30日間、アイスコーヒーのRを毎日注文すると、サブスクを利用しない場合、1カ月のコストは110円×30日で、3,300円。平日だけ毎日なら110円×22日で2,420円。これであればセブンカフェ サブスクが、割安といえる。
1日100円で飲めるこのコーヒー、平日だけでも元が取れる、ということになると、住まいや職場近くに、セブンイレブンがある、コーヒー好きな人は、毎日ストレスなく立ち寄るでしょう。
サブスク(=サブスクリプション・定期購入サービス)は、既存顧客が毎回購入する手間を省き、その分割安にする、という仕組みです。なので、一般的には既存顧客へのサービス、と考えられがちです。
しかし、こうやって考えてみると、セブンカフェのサブスクも、立派な集客策ですよね。
顧客にとっては先にお金を支払うものの、回数を稼げば1杯あたりの金額は割安になるし、セブン側にとっても、サブスクのコーヒーを買いに来たついでに、何かを買ってもらえれば、売り上げ増につながります。
この取り組みを見ていると、「値引きやクーポンだけが、集客策ではない」という示唆がありますよね。
人は行く理由がないと、来店しません。
基本的に、ここでしか買えない、とか、今だけ・期間限定、他より安いなど、顧客は“行く理由”があって初めて来店します。
毎朝のコーヒーを買いに行く、という理由がはっきりするからです。
集客するためには、ターゲットが「行くに値する理由」を、はっきり伝えないとダメなのです。
この記事の著者・理央 周さんのメルマガ
カンボジアのイオンも話題になっていました。
日経MJの11月6日の記事によると、カンボジアの巨大なイオンモールの中には、遊園地、プールや、巨大なイベントができるスペースがあるそうです。
ショッピングモールというより、滞在型のホテルのような感じです。
記事には、バイキングやお化け屋敷がある遊園地に、入場待ちの列ができていた、とあるほどの人気です。
人は、基本的に居心地のいいところに集まります。逆に言えば、自分が行きたいところ、行くと楽しくなるところに、行きたくなりますよね。
これは考えてみれば、当たり前のことだったりします。
私たちがITだSNSだといっている間に、顧客の楽しさ、とか、喜びという、とても大事なことが、忘れがちになってしまいます。
カンボジアのように、これから成長をしていく国であるゆえ、顧客価値が大事だという原点に忠実なのでしょう。
この温故知新な学びや気づきから、新しい顧客価値を生むことを、リバースイノベーションと呼びます。
集客、という言葉は、「客を集める」という意味なので、私たち企業側が主語です。
しかし、行きたくなければ顧客は来ません。
これが、集客の原点なのです。
顧客が楽しいか、顧客が行きたくなるか、顧客がいく理由はあるか、を問い続けていくと、集客に何が必要なのか、という答えに近づくことができるでしょう。
顧客が行きたくなる理由をはっきりさせること、顧客を主語にし、居心地の良い場所を作ること。
集客もマーケティング、顧客価値の創造から始まるということを、改めて気づかせてくれた、2つの事例でした。
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