NTT広報が慌てて“火消し”。島田社長「NTT法議論」での“うっかり発言”とは?

Los,Angeles,,California,,Usa,-,12,June,2019:,Illustrative,Editorial
 

総務省の「情報通信審議会」において、有識者の問いかけをきっかけにNTTの島田社長が「NTTは、2025年までのNTT法廃止は求めていない」と発言。機を捉えたKDDIの高橋社長やソフトバンクの宮川社長が「NTT法廃止ありきではない」ことを念押しし、メディアも一斉に報じました。議論を傍聴していたメルマガ『石川温の「スマホ業界新聞」』著者で、ケータイ/スマートフォンジャーナリストの石川さんは、楽天・三木谷会長も加えた百戦錬磨の3人にNTT側がしてやられたと、詳しく解説しています。

島田社長「2025年のNTT法廃止は求めてない」に広報が火消しリリース──高橋社長が言質を取り、宮川社長が「安堵した」とダメ押し

12月13日に総務省で開催された情報通信審議会 電気通信事業政策部会 通信政策特別委員会は、まさに最後の10分間が見所であった。というか、最後の10分間だけで良かったかも知れない(最後の委員による長ったらしい独り言は除く)。

口火を切ったのは有識者の一人である長田三紀委員(全国地域婦人団体連絡協議会幹事)。島田社長に「個人的には今回の議論は降って湧いたように思える。NTT法を2025年に廃止するということに不安を覚えるユーザーの気持ちはどう思っているのか」と迫ったのだ。

それに対してNTTの島田明社長は「2025年に廃止するということは私たちが言っているのではなく、自民党の税務調査会が出した提言に書かれている」とコメント。

これを聞き逃さなかったのがKDDI・高橋誠社長で「いま、NTTとして2025年(の廃止)を求めているわけではない、ということで、島田社長から前向きで良い話を聞けたと思う。ありがとうございます」と確認。審議会に参加、傍聴していた全員が「NTTは2025年までのNTT法廃止を求めていないのか」と拍子抜けしてしまったのだった。

さらにダメ押しをするようにソフトバンクの宮川潤一社長が「今回、(島田社長から)NTT法廃止ありきではないという話を聞けて安堵した。2025年という期限も自民党のプロジェクトチームが勝手に言ったことも理解できた。そうであれば、NTTという会社がどうあるべきか、立ち止まって議論すべきだと考える」と今後の審議会の方向性も決めてしまったのだった。

審議会終了後、総務省の1階でぶら下がり取材が行われたのだが、その直前、楽天モバイル・三木谷浩史会長を含めた3人が集まるシーンを目撃。お互い、労をねぎらうというか、「2025年までにNTT法の廃止は求めない」という島田社長の言質を取れたことに相当、大満足している様子がうかがえた。さすがの島田社長も、百戦錬磨の3人が相手だけに太刀打ちできないのも無理はない。

その後、メディアが一斉に「NTTは2025年にNTT法の廃止を求めていない」という見出しの記事を出したせいか、NTT広報室が「火消し」とも言えるリリースを出していたのが印象的であった。そのリリース自体も歯切れの悪い文言が並んでおり、もうちょっとNTT自身のやる気が感じられる内容になっていれば良かったような気がする。

いずれにしても高橋社長が「ステップ1として、NTT法の改正として、技術開示に関する問題を含む喫緊の問題を解消すればいい。NTT法の廃止については措置を含めて、2025年度にこだわらず議論すればいいと考えますが、いかがでしょうか」と「提言」し、島田社長も「私たちが2025年度に(NTT法廃止を)やるとは言っていないことは事実としてある」と納得しているだけに、2025年までに廃止という結論は難しくなってきたのではないだろうか。

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日経トレンディ編集記者として、ケータイやホテル、クルマ、ヒット商品を取材。2003年に独立後、ケータイ業界を中心に執筆活動を行う。日経新聞電子版にて「モバイルの達人」を連載中。日進月歩のケータイの世界だが、このメルマガ一誌に情報はすべて入っている。

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