中国の警告「米国頼りの危うさ」に真実味。外されたウクライナの“梯子”

 

イスラエルを訪問したジェイク・サリバン大統領補佐官(安全保障担当)も、低強度でピンポイントに攻撃を行うことをイスラエルに求めたと伝えられる。12日にはジョー・バイデン大統領も「イスラエルはガザ地区に対する『無差別攻撃』によって国際社会の支持を失いつつある」とこれまでにない厳しい口調でイスラエルに苦言を呈し、話題となった。

だがネタニヤフ政権は、対ハマス戦が「長期間続く」との見通しを示し、強硬な姿勢も相変わらずだ。アメリカがイスラエル支持を変えることは現状では考えにくく、バイデン政権に降りかかる火の粉は当面弱まる兆しもないのだ。

パレスチナ問題に翻弄されるアメリカが、ウクライナに割ける関心は弱まらざるを得ない。結果として「梯子外し」になってしまいかねない状況なのだ。

ここで目を中国に転じると、思い出されるのは、かつての中国が繰り返し台湾に向けて発した「アメリカに頼ることの危うさ」という警告だ。その意味では目の前のゼレンスキーの窮状は、絶好の事例が降ってきたに等しい。いま「ウクライナこそ明日の民進党政権」と喧伝すれば効果は絶大だ。

しかし、習近平政権は意外なほど静かだ。2022年8月、ナンシー・ペロシ米下院議長(当時)が台湾訪問を強行したころの反応と比べれば、隔世の感だ。

台湾総統選挙の終盤にきて目立っているのは、民進党の影響下にあるとされる農作物の輸入の制限を続けていることくらいだ。今後は民進党政権が設けている対大陸の貿易障壁(2509品目に対する輸入制限など)を理由とした対抗措置だが、それも選挙を直撃するような話とはいえなさそうだ──(『富坂聰の「目からうろこの中国解説」』2023年12月17日号より一部抜粋、続きはご登録の上お楽しみください。初月無料です)

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1964年、愛知県生まれ。拓殖大学海外事情研究所教授。ジャーナリスト。北京大学中文系中退。『週刊ポスト』、『週刊文春』記者を経て独立。1994年、第一回21世紀国際ノンフィクション大賞(現在の小学館ノンフィクション大賞)優秀作を「龍の『伝人』たち」で受賞。著書には「中国の地下経済」「中国人民解放軍の内幕」(ともに文春新書)、「中国マネーの正体」(PHPビジネス新書)、「習近平と中国の終焉」(角川SSC新書)、「間違いだらけの対中国戦略」(新人物往来社)、「中国という大難」(新潮文庫)、「中国の論点」(角川Oneテーマ21)、「トランプVS習近平」(角川書店)、「中国がいつまでたっても崩壊しない7つの理由」や「反中亡国論」(ビジネス社)がある。

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