安倍晋三亡き後の日本はどうなる?トランプ再選なら世界は大混乱に

2023.12.24
 

トランプが日米関係を重視しなくなる恐れも

一方、対中国ではバイデン政権と同じく厳しい姿勢で臨むことは間違いない。しかし、米中貿易摩擦がトランプ政権下で勃発したように、第2次政権でも先制的、懲罰的とも表現できる中国への経済制裁措置が発動され、バイデン政権下以上に米中の間で貿易摩擦が激化することだろう。中国産の製品に対する突発的な関税引き上げ、対米輸入の全面停止など、世界経済への影響はもっと大きくなろう。

しかし、トランプ政権は台湾情勢への関心を低下させ、同盟国にはさらなる負担を迫る可能性がある。トランプ氏は中国への経済制裁は自国経済を守るためと捉える一方、台湾の平和を米国の利益と考えていないだろう。バイデン氏はウクライナと同じく、台湾を民主主義と権威主義の戦いの一環と捉え、台湾への防衛支援を継続してきたが、トランプ政権下ではその優先順位は低下する。そして、日本や韓国、オーストラリアなど米国の軍事同盟国に対しては、もっと防衛費を増額し、自分の国は自分で守れと強く圧力を掛けてくる可能性がある。安倍政権時、日本とトランプ氏は良い関係を築いてきたが、それは安倍トランプの個人的な親しい関係で成立してきたものであり、岸田総理(もしくは次の首相)がトランプ氏と個人的に良い関係を作れるかは分からず、トランプ氏が日米関係を重視しなくなる恐れも十分にある。

トランプ氏が大統領に返り咲けば、欧州や中東、アジアを巡る情勢は大きく変わり、日本も決して楽観視できる状況ではないのだ。今のうちから新たなトランプリスクに対処していく必要がある。

image by: Maxim Elramsisy / Shutterstock.com

アッズーリ

専門分野は政治思想、国際政治経済、安全保障、国際文化など。現在は様々な国際、社会問題を専門とし、大学などで教え、過去には外務省や国連機関でも経験がある。

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