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スラップ訴訟で次々と敗訴。「言論の萎縮」という思惑が外れた旧統一教会

24年9月に「情報ライブ ミヤネ屋」で本村健太郎弁護士が発したコメントに名誉を傷つけられたとして、読売テレビと同弁護士を訴えていた旧統一教会。25日に判決があり、東京地裁が教団の請求を棄却しとことが伝えられました。このニュースを取り上げているのは、かつて旧統一教会の信者だったジャーナリストの多田文明さん。多田さんはメルマガ『詐欺・悪質商法ジャーナリスト・多田文明が見てきた、口外禁止の「騙し、騙されの世界」』で今回、東京地裁が下した判決及び本村弁護士サイドの発言を紹介するとともに、旧統一教会に解散命令が下る日が近いとの見立てを記しています。

旧統一教会が「スラップ訴訟」で次々と敗訴。本村弁護士の発言「前提事実の重要な部分は真実である」と認められる

ミヤネ屋の番組内で本村健太郎弁護士が「裁判所が布教活動自体を違法と認定し、司法の場では完全に違法な団体、違法な活動をしている違法な組織であると認定済みである」と発言した内容が、名誉棄損にあたるとして、旧統一教会は読売テレビと同弁護士を訴えました。

その判決が今月25日にあり、原告(教団)の請求は棄却されました。

すでに、八代英輝弁護士を訴えた裁判でも、教団の請求は棄却されており、それに続くものです。

3月には、有田さんや紀藤弁護士の判決もありますが、ここでも教団側の敗訴となれば、教団の起こした裁判自体が、言論の萎縮を狙ったスラップ訴訟に過ぎなかったことが、より明らかになってくると思います。

2001年の札幌地裁判決

本村弁護士の発言は、岸田首相が「社会的問題が指摘されている団体」と述べたことに関するものでしたが、「2001年の札幌地裁の判決が、初めて統一教会の布教活動の違法性を正面から認定した判決でした」とも話しています。

この裁判では元信者らが、統一教会という正体を明かさずに不特定多数の人に声をかけて布教するという指示を受けて「違法な勧誘活動等をさせられて損害を被った」として起された裁判になります。

今回の東京地裁の判決のなかでも、札幌地裁判決について、次のように指摘しています。

「(札幌地裁の判決は)一連の勧誘活動などが社会的にみて相当性があると認められる範囲を逸脱した方法及び手段を駆使したものであって、違法性があると判断した」としており、「信者らの違法行為は外形的に本件原告教会の事業の執行につきされたものといえ、民法715条1項に定める使用者責任を免れない旨を判断したことが認められる」と続いています。

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本村弁護士の発言について「前提事実の重要な部分は真実である」と認められる

裁判後に行われた会見のなかで本村弁護士は「(判決文には)札幌地裁の判決が、札幌高裁・最高裁においても維持されているとあり、これらの事実を総合して『裁判所の判断として原告の統一教会活動が違法であると認定されている』という私の発言の前提事実の重要な部分は真実であると認められたということです」と話します。

訴訟代理人である御船剛弁護士も「今の点が重要な理由ですが、統一教会側(の主張)は札幌地裁判決を始めとした過去の民事事件の判決で違法とされた勧誘行為は信者の行為であって、統一教会自体の行為ではないとしています。この事件においても、そういうロジックだから、原告(教団)の行為が違法とされたわけではないのにもかかわらず、本村さんの発言で原告自体の関与行為が違法とされたことを強調していました。しかし今回の判決では、それが完全に否定された感じです」といいます。

以前から旧統一教会は、教団名を隠した正体隠しの布教活動や霊感商法は、信者らが勝手にやったことで、教団本部は関係ないという立場をとっています。しかしもはやこうした主張は通らない状況ですが、それも、その主張を延々と繰り返し続けています。

おそらく、解散命令請求の裁判でも同じ主張を続けるのでしょうから、もはや敗訴という結果になると思われますので、解散命令の日は着実に近づいてきているといえます。

旧ジャニーズの被害者への対応を、旧統一教会は習うべきとの指摘

全国統一教会対策弁護団は、旧統一教会との集団交渉を行っていますが、教団側は「除斥期間・消滅時効にかかったものは不当な請求であり、応じられない」としています。

しかし、弁護団は「各通知人には請求できなかった事情があること等を考えると、権利行使できないとすることは著しく正義に反する」などとして「除斥期間・消滅時効は主張すべきではない」としています。

会見のなかでも指摘されていましたが、旧ジャニーズ事務所は、過去の性被害を受けた人たちに対して時効は関係なく、すべての人に賠償する形で救済に向けて動いています。それが本当に被害者に向き合う側の姿勢であるといえます。
こうした姿勢に習うべきだと思います。

しかしながら残念なことに、その姿勢はまったくみえていません――(この記事はメルマガ『詐欺・悪質商法ジャーナリスト・多田文明が見てきた、口外禁止の「騙し、騙されの世界」』2024年1月28日号の一部抜粋です。続きは、ご登録の上お楽しみください、初月無料です)

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image by: Sun Myung Moon, CC BY-SA 4.0, ウィキメディア・コモンズ経由で

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悪徳業者などへの潜入取材した数は100ヶ所以上。数々の現場経験と被害者への聞き取り取材から、詐欺・悪質商法に詳しいジャーナリストとして一線で活動し、多数のテレビ・ラジオに出演している。現在はヤフーニュースのオーサ・公式コメンテーターとして、コメントやニュース記事を執筆中。消費者庁「若者の消費者被害の心理的要因からの分析に係る検討会」(2017年~18年)の委員も務めた。雑誌「ダカーポ」にて、悪徳商法に誘われたらついていく連載を担当。それをまとめた著書「キャッチセールス潜入ルポ~ついていったらこうなった」(彩図社)はフジテレビで番組化され、ゴールデン枠の特番で第8弾まで放送された。新刊11月予定「信じてみたら、ダマされる。~元統一教会信者だから書けたマインドコントロールの手口」(清談社清談社Publico)

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