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不便さで気づいたビジネスも。生成AIだらけのNY「NRFカンファレンス」レポート

「世界最大級」と言われる小売業界の展示会、NRF小売カンファレンス。ニューヨークで開かれた全米小売業協会が主催するこの見本市ですが、やはり目玉は「生成AI」だったそうです。今回の『メルマガ「ニューヨークの遊び方」』ではNY在住の人気ブロガー・りばてぃさんが、そんなNRFの様子をリポート。日本からの参加者も多数見られたというカンファレンスの様子を写真とともに詳しく伝えています。

どこもかしこも「生成AI」だった今年のNRF小売カンファレンス

今年も大盛況だったNRF

全米小売業協会(NRF)主催の小売カンファレンスNRFビッグ・ショーが、1月14~16日まで、ニューヨークにある東海岸最大規模の国際展示場ジャビッツセンターで開催されました。

世界中から4万人近い参加者が集まり、出展企業は1,000以上。基調講演など各種セッションも100を超える大規模なイベントとなっています。特に近年ではアメリカを中心とした小売企業によるリテールテック導入の流れもあり、最新の小売事情を知れる重要なカンファレンスの1つです。

ちなみに、今年はなぜか日本からの参加者が非常に目立っていました。会場のそこかしこに、数名のグループで参加する日本人を何度も目撃。日本は昨年夏ごろからようやく「コロナ明け」という状況だったので、今年は昨年より多いのかな?と思っていたのですが、小売関係者の話によると、コロナ明けもあるけども、生成AIの小売への導入について、大手企業がこぞって最新事情を勉強すべく参加していたようだとのことでした。特に日本法人を持つ米系企業は本社がNRFに出展しているので、日本側のクライアントを連れてきているというのもあったようです。

それに表題のとおり、今年の目玉は生成AI。オープンAIがChatGPTをリリースして1年ほどなので、日系企業に限らず参加した人々の間で生成AIを活用した事例やサービスを見れるのではないかという期待は高まっていましたので、他の国でも同様の動きはあったかもしれませんね。

まぁ、そんなわけで、ようやく日本の小売関係者も数多く参加するようになったNRFですが、上述したようにブースは1,000以上。周りきれません。すべてに話を聞きにもいけません。生成AI人気もあるので、細かく見ていきたいところですが、まずは、NRF側が提携し開催するプレス(報道メディア関係者)向けのツアーをまずは紹介したいと思います。

プレス向けエキスポツアー

ツアーにはエキスポツアー、イノベーションラボツアー、フードテックツアーなど複数あり、すべて参加していますが、まずはメイン会場のツアーであるエキスポツアーでまわった企業をみていきます。

なお、このツアーはCIMツアーズという会社がNRFと提携し実施しているものですが、何年も前にNRFに参加したダンさんという創業者が、「こんなに出展ブースがあっては周りきれない…」と感じたことがきっかけで、その年の注目の企業やサービスをピックアップしたツアーを開催することになったんだそうです。まさに不便さで気づいたビジネスチャンスですね。

そんな理由からはじまったツアーなので参加しがいのあるものとなっています。1時間ほどでまわったのは5社。「え?1時間でたったの5社なの?」そう思ったかもしれませんが、何せ会場がものすごく広いので移動だけでも数分はかかりますし、ブースごとの説明や質問への回答など含めると1時間でもギリギリ。実際、最後の会社は次の参加予定のものがあったので途中退出しています。

というわけで、順番にみていきましょう!

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1.  Verintベリント

ベリントは顧客体験(CX、カスタマー・エクペリエンス)の向上と運営コストの削減を自動化するサービスを提供。すでにグーグルやコストコといった大手企業含む1万社以上に採用されているとのこと。

ブースでは自動化ボットなどを紹介。例えば、お客から電話がかかってきた際、まず最初に対応するのが音声でのAIボット。非常に高性能なAIボットで、問い合わせてきた客が本物なのかどうかも質問により導き出し、AIボットが対応可能な要件はそのまま対応。不可能なものは人間のカスタマーセンターに繋ぎます。すでに問い合わせてきた客が本人であることを確認済みなので、再度確認作業は必要なく、また要件もすでに要点がまとめられてるので本題に入ることができ客の要望に対応できるというもの。少なくても1つの電話問い合わせで2分もの時間を減らせることができるそうです。

Verintのブース担当者の説明によると、74%の売上は小売店舗によるものだけど、そのうち60%は何かしらのオンライン上の経験から購入につながっているとのこと。つまり、店舗で買う前にオンラインで知りリサーチして実際に店に行くことにつながり、さらには購入もすると。なので、実店舗での売上につながるオンラインでの効率的な顧客対応はその後の購入決定に関係するので重要とのことで、当然、顧客対応から客の満足度なども含めたアナライズも提供しているそうです。

2.  Dragonfruitドラゴンフルーツ

小売向けのビジュアル・インテリジェンス(画像解析)企業で、防犯アラームから小売インサイト、棚の在庫管理、セルフレジの不正検出防止機能などを提供。アメリカでは特にセルフ会計での不正(会計に通したふりした万引きなど)が問題になっているので、特にその防止のためのサービスに力を入れているとのこと。

店内の画像解析をするとなると、多くの小売企業の悩みの種は新たなシステムの導入によるコスト増ですが、ドラゴンフルーツではすでに店舗に入れている既存のカメラを使っての解析が可能なので、予算を抑えられるとのこと。

なお、店内画像解析により客の動向(万引き防止)を見れるのなら店員やセキュリティスタッフを減らしても大丈夫かという質問があったのですが、必ずしもそうならないだろうとのこと。AIの仕事は「このお客の動向がAI的に怪しい」、逆に、「この客は2回も同じ商品をセルフレジでスキャンしているようだ」といった客の動向から導き出される可能性を提案してくるだけなので、実際に不正や誤った行動を訂正するのは、店舗にいる人間の店員がする必要があると補足していました。

説明がめちゃくちゃわかりやすかったAmitさん

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3.  Salesforceセールスフォース

小売といったらこの会社、セールフォース。日本にもオフィスがあるので、使っているという方も多いでしょうし、何をしている会社なのかもなんとなくわかるという人もいると思います。実際に使っている企業も多く、実例も豊富。NRFでは毎年、メイン会場にドーン!と大きなブースを設け、しかもデザインも良いということで目立っていますが、生成AI時代の今、セールスフォースもどんどん新しいサービスを提供しているということで、今年はプレス向けツアーの訪問ブースに選ばれました。

セールスフォースのAIはアインシュタインというので、アインシュタインモチーフです。ここのブースはいつもイラストが可愛い

ブースでは実際にセールスフォースを利用するロレアル(AIを使ったカスタマイズリップの作成など)、サックスフィフスアヴェニュー(コマースクラウド、オーダーマネージメントなど)、ウィリアム・ソノマなどの実例を紹介していました。

(『メルマガ「ニューヨークの遊び方」』』2024年1月30日号より一部抜粋。続きはご登録の上、お楽しみください。初月無料です)

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image by: メルマガ「ニューヨークの遊び方」

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ニューヨークの大学卒業後、現地で就職、独立。マーケティング会社ファウンダー。ニューヨーク在住。読んでハッピーになれるポジティブな情報や、その他ブログで書けないとっておきの情報満載のメルマガは読み応え抜群。

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【著者】 りばてぃ 【月額】 初月無料!月額880円(税込) 【発行周期】 毎週 水曜日 発行予定

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