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旨いけど高い。なぜ「大阪らしからぬ」うどん店が大阪人にここまでウケたのか?

お金と味にうるさい大阪人が「高いけど旨い!」と行列を作るうどん屋さんがあります。今回のメルマガ『繁盛戦略企画塾・『心のマーケティング』講座』の著者、佐藤きよあきさんがそのお店が売れる秘密を紹介しています。

大阪なのに、高いうどん屋さん。「旨いけど、高い!」と「高いけど、旨い!」は違う

大阪市天王寺区に、1948年創業のうどん屋さんがあります。

食の激戦区にあって、76年目を迎えた大人気店です。

元日以外の24時間営業・年中無休。カウンター、テーブル、座敷が50席ほどの大きさ。

うどん、そば、丼もの、定食、一品料理のメニューが、ずらりと並んでいます。

このお店が、なぜ流行っているのかを探ってみました。

お客さまの声から拾い上げると、まずは美味しいということ。

人気のある飲食店ならば、当たり前のことなのですが、舌の肥えた大阪人に美味しいと言われるのは、かなりレベルが高いことを証明しています。

次に、24時間営業・年中無休なので、食べたいと思った時に行けること。

早朝であっても、深夜であっても、好きな時に食べられるのは魅力的です。

そして、メニューが豊富。

うどん・そばの種類が多いことに加え、丼ものや定食、一品料理も迷うほどに揃っています。

また、ショーケースに並んだ、握り寿司や巻き寿司なども、つい手を伸ばしてしまいます。

うどん・そばを待つ間に、ちょっとつまむ人も多くいます。

この寿司は、専門の熟練寿司職人が握っています。うどん屋さんでは、珍しいことです。

うどん・そばの種類については、それぞれに、「きつね」や「天ぷら」などの定番に加え、「にしん」「かやく」「穴子天」「山かけ」「肉天ぷら」「すじ肉」などがあります。

中には、「ホームラン」「とんちゃん」「コール」など、常連さんにしかわからないメニューがあるのも面白いところです。

店員さんに聞いてみるのも、コミュニケーションとなって、楽しいものです。

一品料理では、「造り盛り合わせ」「タコ酢」「豚カツ」「カツとじ」「唐揚げ」「串カツ」「キス天」「下足天」「ハモ天」などがあり、居酒屋としても利用できます。

どれぐらいお客さまが多いかと言うと、厨房を見ればわかります。

横長の5口コンロが2列あり、常に5口は稼働している状態です。

その横では天ぷらが揚げられ、後ろではうどん・そばが茹でられています。

職人さんが、かなりの手際の良さと無駄の無い動きを見せてくれます。

惚れ惚れするほど、見入ってしまいます。まさに、繁盛店の職人さん。

出来上がった料理は、どれもこれも、見るからに美味しそうです。

ファンや常連さんが多いのも納得です。

しかし、このお店は大阪らしからぬところがあるのです。

値段が高いのです。

「にしん 1150円」「かやく 900円」「天ぷら 1100円」「穴子天 1180円」「山かけ 1230円」「すじ肉 1420円」など。

大阪のうどん屋さんで、この値段を掲げているお店は、まずありません。

シビアな大阪人が、どうしてファンになるのでしょうか。

24時間営業だから?年中無休だから?

それもありますが、やはり「美味しいから」なのです。

味にうるさく、お金にシビアな大阪人が、この金額を出してでも食べてしまうのは、それだけ魅力を感じているからです。出す価値があると認めているからです。

消費者の心理として、「旨いけど、高い!」と感じたら、二度と行きませんが、「高いけど、旨い!」と思うお店は、リピートしてしまいます。

「旨い!」が後に来るのは、旨い印象が強く、値段以上の価値があると判断したのです。

このお店は、大阪人にとって、身近で安価なうどん・そばを「高くても、旨い!」と位置づけさせた、類稀な事例だと言えます。

商品価値が高ければ、値段が高くても売れるということです。

image by: Shutterstock.com

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【著者】 佐藤きよあき(繁盛戦略コンサルタント) 【発行周期】 週刊

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